循環器内科のご紹介 心臓カテーテル検査(冠動脈造影)治療(経皮的冠動脈形成術)について

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更新日:2017年4月6日

循環器内科のご紹介 心臓カテーテル検査(冠動脈造影)治療(経皮的冠動脈形成術)について

冠動脈造影(CAG)とは

検査の流れ

経皮的冠動脈形成術(PCI)とは

 
カテーテル室

 冠動脈造影(CAG)とは

 狭心症の治療法には、①薬物療法、②動脈硬化により狭くなった冠動脈を風船やステント(細い金網の筒)により広げるカテーテルによる治療(経皮的冠動脈形成術)、③狭くなった血管の先にバイパスと呼ばれる迂回路をつくる手術(冠動脈バイパス術)の3つがありあります。冠動脈の狭窄の有無については、運動負荷検査や心筋シンチグラム、心臓CTで診断することができますが、正確な情報を得て治療方針を決めるためには冠動脈造影が必要です。

 検査の流れ

  検査室に行く前に病室で点滴が開始されます。通常の検査は手首の動脈から行いますが、血管が細い方では肘やそけい部の動脈より検査を行います。検査室ではベッドの上で横になり、胸に心電図のシールを貼ります。また、血圧計をまき、指に酸素濃度を測定する機器をつけます。これらの機器により検査中の状態を常に監視し、異変があれば早期に発見することができます。
穿刺する部位を消毒した後に清潔な布をかけます。消毒した後は体を動かすことができないので、『体がかゆい』などのことでも遠慮なくおっしゃってください。局所麻酔の注射をした後に動脈の穿刺を行い、シースと呼ばれる細い管を入れます。シースを入れることにより、カテーテルと呼ばれる細い管の入れ替えがスムーズに行えるようになります。ガイドワイヤーと呼ばれる細い針金(先端は血管を傷つけないように柔らかくなっています)を先行させて、直径1~2mmのカテーテルを動脈の中へ入れ冠動脈を造影します。冠動脈を多方向から撮影するために、ベッドや撮影装置が動くことがありますが心配ありません。最後に左心室造影といって、心臓の動きを見る検査を行う場合があります。
  血管が痙攣するタイプの狭心症(冠攣縮性狭心症)が疑わしい場合には、痙攣を誘発する検査を行います。また、冠動脈に中等度の狭窄がある場合にはその狭窄が心臓に負担をかけているのか(虚血といいます)を調べるために追加検査を行います(血管内超音波検査(IVUS)、冠動脈内圧測定検査(FFR))。
  検査室に入ってから退出されるまでの時間はおおよそ1時間弱(ただし、検査が追加される場合は、これよりも長くなります)で、入院期間は1泊2日~2泊3日程度です。

 

血管内超音波装置

 

 経皮的冠動脈形成術(PCI)とは

 ここからは実際の治療の説明となります。
坂道や階段を登ると胸が痛くなるために来院された方です。
問診や負荷心筋シンチグラムでは狭心症が強く疑われました。
冠動脈造影検査を施行したところ、下図のように冠動脈に狭窄が見つかりました。

前下行枝の高度狭窄

 


内服薬では、症状が改善しないためカテーテル治療を行うこととしました。
ガイドワイヤー(先端がやわらかくなった針金)を冠動脈に挿入します。針金といっても血管を傷つけないように先端は髪の毛のような柔らかさです。
狭くなった部分を風船で拡張した後に、ステントと呼ばれる金網の筒を留置しました。

狭窄を拡張

 

狭かった部分が前後と変わりなくきれいに広がっています。
現在は風船治療のみで終了する場合は少なく、再狭窄(広げた部位が再度狭くなること)を防ぐ目的でステント(細い金網の筒)を入れることが多くなっています。とくに、治療した部分での細胞の増殖を抑える薬剤を塗った薬剤溶出性ステントを用いた場合の再狭窄率は10%以下と、良好な成績をあげています。
この患者さんは、カテーテル治療により今まで悩まされていた胸の痛みから解放されました。
入院期間は2泊3日~3泊4日程度です。

血流が回復した血管

 

 急性心筋梗塞など重篤な疾患の場合は、蘇生処置と同時にカテーテル治療を行うことがあります。心臓や肺の代わりをする装置(経皮的心肺補助装置、PCPS)をそけい部(足の付け根)から挿入することにより、心臓や肺が停止していても数日間であれば主要臓器への血流・酸素を維持することができます。また、ショック状態の際には大動脈内バルーンパンピング(IABP)といって、冠動脈への血流を増加させる機器を用いることもあります。

大動脈内バルーンパンピング


冠動脈造影の結果、カテーテル治療よりも外科的処置が好ましいと判断される場合には、近隣の心臓血管外科を紹介させていただきます。

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