更新日:2023年1月6日

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生産者出張授業資料(牛乳)

生産者による出張授業は、地産地消の取り組みとして、「食」と「農」に対する理解と関心を深めるために平成18年度より実施しています。
学校給食に使われる千葉市産農畜産物の栽培方法や栄養、流通などについて、生産者、農協職員、千葉酪職員などを小学校に招いて授業するとともに、児童と一緒に給食を食べて交流を深めています。

ここでは過去の出張授業で使用した資料を再編集して紹介させていただきます。

 ☆牛乳の概要

牛乳とは

牛乳は牛の母乳である“生乳”を加熱殺菌して人が飲んでも問題ないようにしたものです。牛乳のもととなる生乳は、牛の母乳なのでメス牛からしか搾れません。みんなが飲んでいる牛乳は牛の赤ちゃんのための母乳を分けてもらっているのです。生乳を搾るための牛を乳牛といいます。乳牛を飼っている農家を酪農家といいます。日本の乳牛は、白と黒のまだら模様のホルスタイン種がほとんどですが、茶色の毛のジャージー種なども少しいます。

牛乳と千葉市

千葉県は日本の酪農の発祥の地と言われ、牛乳生産が盛んで生産量全国第6位です。(2018年農林水産省調査)実は牛乳の生産が盛んな土地なのです。市内長沼町辺りでは古くから酪農がおこなわれており、今でも緑区を中心に酪農がおこなわれています。 milk

 

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☆牛乳がみんなの口に届くまで

今回は牛の成長に合わせてみていきます。

1.生乳について

 牛乳は牛の母乳です。みんなが飲んでいる牛乳は牛の赤ちゃんのための母乳を分けてもらっています。
乳をしぼる牛のことを乳牛と言います。牛から搾った乳は生乳(せいにゅう)と言います。
この生乳を加熱殺菌などをして人がのんでも大丈夫なようにしたものが「牛乳」となります。
 

生乳

【写真1】牛乳ができるまで

 2.生乳を搾るまでの流れ

牛乳流れ

【写真2】生乳を搾るまでの流れ

乳牛は【写真2】のように、10か月ほど“妊娠期間”があり、10か月ほど“生乳を搾る期間”があり、3か月ほど“休む”という流れを4回ほど繰り返します。酪農家はこの流れを意識しつつ、自分の飼っている牛から常に生乳が搾れるように工夫しています。

3.子牛の成長

 【写真3-1】は生まれたての子牛です。出産した牛は毎日乳搾りがあるため子牛は、お母さんと別々に育てられます。子牛の成長には、母乳が必要なため、【写真3-2】のように牛用の哺乳瓶で生乳を飲ませています。
子牛は約6か月で【写真3-3】の乳牛育成牧場へ預けられます。千葉市では若葉区富田町に乳牛育成牧場があります。乳牛育成牧場は、各酪農家から子牛を預かり、広い敷地でのびのびと大きくなるまで育てていきます。子牛は16か月ほどで大人に生長し、妊娠した状態で預けた農家へ帰ってきます。出産後、乳牛として生乳を搾る期間に入ります。

子牛誕生

【写真3-1】子牛の誕生

子牛のお世話

【写真3-2】子牛のお世話

 乳牛育成牧場

【写真3-3】乳牛育成牧場の様子

4. 乳牛の生活

【写真4-1】のように、乳牛は、牛舎で1頭1頭区切られた指定の場所で繋ぎ飼いされています。草原に放牧というイメージがありますが、千葉では敷地が狭いのであまりしません。ホルスタイン種は元々寒い方を好むので、夏の暑さが苦手です。夏の暑い時期は、乳牛が夏バテしないように、牛舎の中を細かい霧を出したり、大きな扇風機を回したりして、涼しくなる工夫をしています。牛舎の気温がだいたい28℃を超えると牛が弱ってきて、病気になったり、搾れる生乳の量も減ってきます。
【写真4-3】は牛舎にあるものです。1は牛の水飲み場。2は塩分・ミネラル補給のための塩。3は耳標といい、牛の名札です。4は消毒漕です。牛が病気にかかりにくくするように、外から帰ってきたら、ここに足をつけます。
乳牛も人間と同じように、体調を崩すことがあります。調子が悪いと搾れる生乳の量が減ってきてしまいます。そのため定期的に専門の獣医さんに診察してもらい、薬を出してもらったりします。酪農家も乳牛が健康で長くいられるように健康状態を観察しながら世話をしています。

牛舎

【写真4-1】牛舎の様子

獣医の診療

【写真4-2】獣医による診療

牛舎の中にあるもの

1は牛の水飲み場。

2は塩分・ミネラル補給のための塩。

3は耳標といい、牛の名札です。

4は消毒漕、牛が病気にかかりにくくするように、外から帰ってきたら、ここに足をつけます。。

 
【写真4-3】牛舎にあるもの

 

5.乳牛の食事

牛も朝、昼、夕方と3回食事をします。酪農家は朝6時くらいから餌やりの作業を始めます。健康で、いい生乳が搾れるように“オーツ”“スーダン”“アルファルファ”などいろんな種類の牧草を餌として食べます。
【写真5-2】は、自動給餌機です。側面の操作盤でプログラムし、牧草などの餌を補う栄養価の高い配合飼料を、決められた時間に決められた量だけ、1頭ずつ落としています。牛舎内をレールで移動していきます。自動給餌機のおかげで酪農家は、1日何回か配合飼料をやる手間が省けます。配合飼料は購入して、タンクに保管しています。

牛の食事

 【写真5-1】牛の食事の様子

 エサやり機

 【写真5-2】自動給餌機

酪農家はたくさんのエサが必要になるので、一部は酪農家自身で育てます。【写真5-3】は牛のエサとなる飼料用のトウモロコシです。人が食べるトウモロコシはスイートコーンと呼ばれ甘くおいしいですが、この飼料用のトウモロコシは違います。品種にもよりますが、夏には背丈が2.5mほどにまで生長し、収穫します。これだけ大きいと収穫も大変なので【写真5-4】のように大きな機械で収穫していきます。
また、このトウモロコシを長期間保存して使えるように乾燥させたり、発酵させたりします。特に発酵させたものを“サイレージ”といいます。サイレージは、【写真5-5】のように樽型に固めて保存しておきます。

モロコシ畑

 【写真5-3】飼料用トウモロコシ畑の様子

 モロコシ収穫

 【写真5-4】飼料用トウモロコシの収穫

 サイレージ

 【写真5-5】サイレージ

 6.牛舎の掃除

 食事を残したままにしておくと、牛の病気の原因になります。エサ置場の掃除は、朝夕の2回行います。
乳牛も毎日糞や尿を人間と同じようにするので、掃除や片付け作業があります。糞尿は牛床と呼ばれる牛のベッドの後ろに溝があり、そこに落ちるようになっています。ちゃんと溝に落ちていないものは道具を使って、溝に落とし、牛の寝床となる牛床をきれいに保ちます。溝の下はバーンクリーナーと呼ばれる装置がぐるぐる回り、溝に落ちた糞尿が自動で牛舎の脇に停めた牛糞用のトラックに入るようになっています。また、別の場所の糞尿は大きなホイルローダーと呼ばれる機械を使ってトラックに積み込みます。糞尿処理の作業は、朝、昼、夕方の1日3回行い、運び出しは1日2回行います。酪農家は色々な機械を持っています。
糞尿は専用の施設で寝かせて堆肥にし、肥料として畑で飼料用トウモロコシを作るために使っています。 

糞尿処理

糞尿処理の様子

 

7.乳搾りの準備

皆さんが毎日飲む牛乳の元となるので、衛生面にはとても気を使われています。乳牛から搾った生乳を集めるパイプラインや装置を自動で洗浄します。乳がでる牛の乳頭は乳搾りの前と後両方に消毒します。これは牛が病気になるのを防ぐ意味あいもあります。
1日2回朝と夕方乳搾りをします。【写真7-2】のように乳搾り前は膨らんでいます。季節や乳牛の状態にもよりますが、1回あたり1頭から約28リッター(1リットル牛乳パック28本分)の生乳を搾ることができます。1回でも乳搾りを休んでしまうと乳房炎と呼ばれる病気になってしまう可能性があるので、1日も乳搾りを休むことはできません。病気の牛や薬を飲んでいる牛の生乳は出荷することができません。
酪農家の仕事は、1年365日1日も休むことなく毎日牛のお世話と乳搾りがあります。

消毒

 【写真7-1】消毒の様子

搾る前

 【写真7-2】乳搾り前の乳牛

 

8.乳搾り

【写真8-1】の機械は“ミルカー”と呼ばれ、乳搾りをする機械です。乳搾りの前に、「前搾り」という手搾りを数回行い、異常がないか確認し、これから乳搾りを行うという合図を乳牛に送ります。殺菌剤を浸したタオルで4つの乳頭をきれいに拭き取り、ミルカ―を装着します。自動でパイプラインを通して搾った生乳が運ばれていきます。
【写真8-2】は“バルククーラー”という機械です。ミルカ―で搾った生乳はパイプラインを通って集められ、バルククーラーの冷蔵タンクの中で5℃以下に冷やされます。搾りたての生乳は、乳牛の体温と同じ37℃ぐらいあります。 

乳搾り

【写真8-1】ミルカー

バルククーラー

【写真8-2】バルククーラー

 

9.生乳の出荷

【写真9-1】のように集乳車と呼ばれるタンクローリー車で各酪農家の牧場の生乳を集めて、牛乳工場まで冷やした状態で運んでいきます。検査用の生乳もサンプルで採ります。集乳車は1日1回生乳を集めに来ます。酪農家によりますが、午前に来て、前日の夕方搾った生乳と朝搾った生乳をまとめて、集乳車が他の酪農家の分と一緒に運んでいきます。
集乳車は千葉酪農農業協同組合の牛乳工場に到着後、タンクローリーの中の生乳をまず受入れ検査します。検査で異常がなければ、受け入れし生乳は大きなタンクに入れ、冷却します。【写真9-2】の2つのタンクには50トン(50,000リッター)の生乳が入ります。

出荷

【写真9-1】集乳車

千葉酪タンク

【写真9-2】千葉酪農農業協同組合のタンク

10.千葉酪農農業協同組合

千葉酪農農業協同組合(千葉酪)は、酪農家が集まった組合で、牛乳工場では組合員から預かった生乳を牛乳やヨーグルトに加工しています。工場で働く人や販売したり、酪農家のための事務の仕事をしている職員がいます。

千葉酪の牛乳工場では、牛乳以外にヨーグルトやアイスクリームも作っています。牛乳からできる乳製品としては、この他にチーズやバター、生クリームなどがあり、皆さんが大好きなケーキやスイーツ、ピザなどにも乳製品は欠かせません。 

11.均質化・殺菌・貯乳

貯蔵されたタンクの生乳は、清浄機を使って目に見えない小さなゴミを取り除きます。
生乳の脂肪分は脂肪球と呼ばれます。脂肪球は大きさに偏りがありそのままだとざらざらした舌触りになってしまいます。そこで、ホモゲナイザーと呼ばれる【写真11】の1の均質機を使って、生乳中の脂肪球を浮上させないように小さく均一な大きさにします(0.3ミクロン以下)。そうすることですっきりと飲みやすい口当たりになります。
 【写真11】の2の装置で生乳を一気に熱し、130℃で2秒間超高温殺菌し、ただちに冷却します。殺菌後冷却したものを【写真11】の3のタンクに貯蔵します。

均質化殺菌

【写真11】均質化、殺菌、貯乳の機械

12.パック詰め

 

生乳は加熱殺菌されて初めて「牛乳」と呼ばれます。学校給食用の小型紙パックや1Lの大型紙パックに機械を使って詰めていきます。学校給食用の牛乳は殺菌以外に生乳を調整していないので、成分無調整牛乳と呼ばれます。牛乳に含まれる脂肪分を減らしたり、新たな成分を加えたものは、低脂肪乳や調整乳と呼ばれ、パッケージに表示されています。
紙パックは、【写真12】のように、最初1枚のロール紙のようになっています。筒状にされ、1つ1つの大きさに裁断された後、底を作り、牛乳を充填して、口を閉めて完成です。外から雑菌などが入らないように機械の中でこの作業が行われます。

 

パック詰め

【写真12】パック詰めの様子

13.みんなの口に届くまで

パック詰めされた牛乳はベルトコンベアーで運ばれて、運搬用のコンテナ箱に入ります。その後、検査室で検査を行い、安全を確認し、冷蔵庫で保管され、保冷用のトラックで小学校やスーパーマーケットに運ばれます。そうしてみんなの口においしい牛乳が届きます。

まとめ

牛たちと酪農家や千葉酪などの多くの人の力と努力の結果、牛乳がみんなの口に届きます。そういった背景もたまに思い出しながら、家でも学校でも牛乳をおいしく残さず飲んでください。

 

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資料作成:千葉市経済農政局農政部農政課
協力:千葉酪農農業協同組合

 

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このページの情報発信元

経済農政局農政部農政課

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