平成27年度 千葉市立青葉病院 病院指標



■病院指標とは
 DPCデータを用いて、厚生労働省が定めた集計条件等に基づき作成する指標です。
 患者さんや市民の皆さんに情報公開することにより当院の特徴や急性期医療の現状を理解していただくことを目的としています。
 ※全国統一の定義と形式に基づく作成であるため、病院の実態を表す診療実績とは異なります。
■DPCとは
 入院患者さんの傷病名や治療行為に応じて、国で決められた各診断群に分類することをいいます。
 傷病名と手術、処置等の組み合わせにより14桁のコードで表現されます。
■集計条件等
 ・平成27年4月1日から平成28年3月31日までの退院患者さんで、一般病棟に1回以上入院した患者さんが対象
 ・医療保険のみ(公費、生活保護を含む)を使用した患者さんが対象で、自動車賠償責任保険や労災保険、
  自費等の患者さんは対象外
 ・入院後24時間以内に死亡された患者さんや臓器移植の患者さんは対象外
 ・他病棟間の転棟、転入、一般病棟間の転科も1患者さんとして集計
 ・年齢は入院日時点の年齢を基準として集計

  1. 年齢階級別退院患者数
  2. 診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位3位まで)
  3. 初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数
  4. 成人市中肺炎の重症度別患者数等
  5. 脳梗塞のICD10別患者数等
  6. 診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位3位まで)
  7. その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)
年齢階級別退院患者数ファイルをダウンロード
年齢区分 0~ 10~ 20~ 30~ 40~ 50~ 60~ 70~ 80~ 90~
患者数 128 128 268 448 646 716 1284 1691 1034 245
【解説】
 市立病院である当院は幅広い年齢層の患者さんにご利用いただいていますが、症状が比較的重症になりやすい高齢の患者さんの入院が多くなる傾向にあります。
 年齢階級別では70歳代が一番多く、60歳以上の患者さんが全体の約6割を占めています。

【定義】
 退院患者さんの人数を10歳刻みの年齢階級別に集計しています。
診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位3位まで)ファイルをダウンロード
呼吸器内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
040080x099x0xx 肺炎、急性気管支炎、急性細気管支炎(15歳以上)  手術なし  手術・処置等2なし 222 12.35 14.34 4.50 74.54
040081xx99x00x 誤嚥性肺炎  手術なし  手術・処置等2なし  定義副傷病なし 102 18.45 21.69 16.67 83.30
040040xx99100x 肺の悪性腫瘍  手術なし  手術・処置等1あり  手術・処置等2なし  定義副傷病なし 70 2.49 3.29 0.00 68.60
呼吸器内科では細菌による肺炎や急性気管支炎の患者数が最も多く、次いで誤嚥性肺炎の患者数が多くなっています。
肺炎は高齢の方が罹患する率が高く、特に誤嚥性肺炎は脳梗塞後遺症患者や喉頭の筋肉や嚥下反射が衰えたことにより発症するため、平均年齢が高くなっています。
肺炎につきましては、指標4【成人市中肺炎の重症度別患者数等】もございますのでご参照ください。
3番目に多い「肺の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等1あり」は、肺癌疑いの気管支鏡検査目的での入院患者さんも含まれているため、平均在院日数が短めとなっています。
糖尿病・代謝内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
100070xxxxxxxx 2型糖尿病(糖尿病性ケトアシドーシスを除く) 116 13.69 15.35 0.00 60.84
100060xxxxxxxx 1型糖尿病(糖尿病性ケトアシドーシスを除く) 14 15.64 14.30 0.00 52.43
100040xxxxx00x 糖尿病性ケトアシドーシス、非ケトン昏睡  手術・処置等2なし  定義副傷病なし 14 16.14 14.20 0.00 59.71
糖尿病・代謝内科では、主に血糖コントロール目的のため入院となる2型糖尿病の患者さんが最も多く、患者数は年々増加傾向にあります。
次いで1型糖尿病の患者さんや、1型2型問わず糖尿病によるケトアシドーシスや昏睡を伴う患者さんが多くなっています。
血液内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
130010xx97x2xx 急性白血病  手術あり  手術・処置等22あり 79 33.44 43.59 6.33 61.75
130060xx99x4xx 骨髄異形成症候群  手術なし  手術・処置等24あり 71 9.41 11.17 0.00 71.69
130030xx99x40x 非ホジキンリンパ腫  手術なし  手術・処置等24あり  定義副傷病なし 52 17.92 17.69 1.92 68.81
血液内科では急性白血病が多く、特に急性骨髄性白血病で輸血と化学療法を行う患者さんが最も多くなっています。
次いで患者数が多いのが骨髄異形成症候群で、71件全てアザシチジン投与入院となっています。
3番目に多いのが、非ホジキンリンパ腫でのリツキシマブ投与入院となっており、病型別ではびまん性大細胞型B細胞性リンパ腫の患者さんが多くなっています。
循環器内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
050130xx99000x 心不全  手術なし  手術・処置等1なし  手術・処置等2なし  定義副傷病なし 75 17.55 18.36 4.00 81.72
050050xx0200xx 狭心症、慢性虚血性心疾患  経皮的冠動脈形成術等  手術・処置等1なし、1,2あり  手術・処置等2なし 59 4.75 4.87 1.69 67.97
050050xx99100x 狭心症、慢性虚血性心疾患  手術なし  手術・処置等11あり  手術・処置等2なし  定義副傷病なし 53 2.83 3.07 0.00 65.70
循環器内科では心不全の患者数が最も多く、高齢の患者さんが多いこともあり平均年齢が高くなっています。
次いで患者数が多い2項目は、どちらも狭心症や慢性虚血性心疾患での入院患者さんであり、
2番目のものは経皮的冠動脈ステント留置術等を行う症例、3番目のものは心臓カテーテル法による諸検査を行う症例になります。
内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
110310xx99xxxx 腎臓または尿路の感染症  手術なし 59 12.93 12.60 10.17 77.59
161070xxxxx00x 薬物中毒(その他の中毒)  手術・処置等2なし  定義副傷病なし 57 2.12 3.58 0.00 38.58
180010x0xxx0xx 敗血症(1歳以上)  手術・処置等2なし 28 20.68 18.99 14.29 77.39
その他内科疾患では急性腎盂腎炎や尿路感染での患者さんが多くなっています。
次いで救急入院での急性薬物中毒の患者さん、敗血症の患者さんとなっています。
敗血症につきましては、指標7【その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)】もございますのでご参照ください。
消化器内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
060102xx99xxxx 穿孔または膿瘍を伴わない憩室性疾患  手術なし 33 9.79 7.91 3.03 65.21
060210xx99000x ヘルニアの記載のない腸閉塞  手術なし  手術・処置等1なし  手術・処置等2なし  定義副傷病なし 32 9.78 9.17 6.25 72.06
060130xx99000x 食道、胃、十二指腸、他腸の炎症(その他良性疾患)  手術なし  手術・処置等1なし  手術・処置等2なし  定義副傷病なし 32 7.84 7.38 6.25 68.88
この指標では、大腸腫瘍や大腸ポリープに対する内視鏡的手術を行った患者さんで、短期滞在手術等基本料を算定している場合は集計対象外となっているため、指標6【診療科別主要手術別患者数等】とは定義が異なります。
そのため、この指標における消化器内科の患者数は「穿孔または膿瘍を伴わない憩室性疾患」が最多で、中でも大腸の憩室性疾患が多くなっています。
次いで患者数が多い2項目は同患者数となっており、「ヘルニアの記載のない腸閉塞」では術後イレウスの患者さんが比較的多くなっています。
「食道、胃、十二指腸、他腸の炎症(その他良性疾患)」では、主に逆流性食道炎や胃炎、消化管出血での入院患者さんとなっています。
リウマチ科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
070560xx99x0xx 全身性臓器障害を伴う自己免疫性疾患  手術なし  手術・処置等2なし 23 27.21 18.15 4.35 62.21
070470xx99x0xx 関節リウマチ  手術なし  手術・処置等2なし 14.90
070510xx99xxxx 痛風、関節の障害(その他)  手術なし 12.96
リウマチ科では「全身性臓器障害を伴う自己免疫性疾患」の分類が最も多く、リウマチ性多発筋痛や全身性エリテマトーデス等の膠原病疾患の患者さんとなっています。
2番目以降の症例につきましては、患者数が10未満となっているため「-」と表示しています。
神経内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
010060x099000x 脳梗塞(JCS10未満)  手術なし  手術・処置等1なし  手術・処置等2なし  定義副傷病なし 22 16.91 15.80 31.82 69.41
010230xx99x00x てんかん  手術なし  手術・処置等2なし  定義副傷病なし 17 6.06 7.03 0.00 55.65
010060x099030x 脳梗塞(JCS10未満)  手術なし  手術・処置等1なし  手術・処置等23あり  定義副傷病なし 15 24.87 18.08 73.33 65.13
神経内科では「脳梗塞(JCS10未満) 手術なし 手術・処置等なし」の分類にあたる患者数が最も多くなっています。
次いで患者数が多いのがてんかんによる入院です。
3番目に多いのが「脳梗塞(JCS10未満) 手術なし 手術・処置等23あり」の分類にあたる患者さんで、15件全てがエダラボン投与入院となっています。
脳梗塞において転院率が高くなっている理由は、当院での急性期治療が終了後、脳卒中地域連携パスの運用により近隣の回復期リハビリテーション病院へ
紹介しているためです。
外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
060335xx0200xx 胆嚢水腫、胆嚢炎等  腹腔鏡下胆嚢摘出術等  手術・処置等1なし  手術・処置等2なし 81 7.44 7.84 0.00 61.09
060035xx0100xx 結腸(虫垂を含む。)の悪性腫瘍  結腸切除術 全切除、亜全切除又は悪性腫瘍手術等  手術・処置等1なし  手術・処置等2なし 52 20.11 17.41 1.92 70.48
060020xx01x0xx 胃の悪性腫瘍  胃全摘術 悪性腫瘍手術等  手術・処置等2なし 21 23.00 20.63 0.00 72.29
この指標では、大腸腫瘍や大腸ポリープに対する内視鏡的手術、鼠径ヘルニアに対する手術を行った患者さんで、短期滞在手術等基本料を算定している場合は
集計対象外となっているため、指標6【診療科別主要手術別患者数等】とは定義が異なります。
そのため、この指標における外科の患者数は胆のう疾患(胆石性胆のう炎や胆のう腺筋腫症等)に対する腹腔鏡下手術が最も多くなっています。
次いで結腸癌での開腹や腹腔鏡下による手術治療が多く、52件のうち29件が腹腔鏡下手術となっています。
3番目に多い症例は胃癌に対する胃切除術または胃全摘術となっています。
産婦人科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
120060xx01xxxx 子宮の良性腫瘍  子宮全摘術等 109 8.87 10.18 0.00 43.72
120180xx01xxxx 胎児及び胎児付属物の異常  子宮全摘術等 74 9.09 9.94 0.00 33.84
120170xx99x0xx 早産、切迫早産  手術なし  手術・処置等2なし 34 11.82 20.87 2.94 30.41
産婦人科では子宮の良性腫瘍で入院する患者数が最も多く、109件全て子宮筋腫における手術治療となっています。
次いで胎児及び胎児付属物の異常という分類の患者数が多く、これは全て帝王切開による分娩です。
この指標は、指標6【診療科別主要手術別患者数等】とは定義が異なり、子宮頸部異形成等の患者さんで短期滞在手術等基本料を算定している場合は集計対象外となっています。
そのため、3番目に多い症例は切迫早産の管理入院となっています。
整形外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
160800xx01xxxx 股関節大腿近位骨折  人工骨頭挿入術 肩、股等 123 20.57 28.70 61.79 80.22
160740xx97xx0x 肘関節周辺の骨折・脱臼  手術あり  定義副傷病なし 66 2.02 5.41 0.00 15.44
070230xx01xxxx 膝関節症(変形性を含む)  人工関節再置換術等 57 23.00 27.21 0.00 72.81
整形外科では「股関節大腿近位骨折  人工骨頭挿入術 肩、股等」の分類が最多で、123症例全てが大腿骨骨折に対する治療となっており、
中でも大腿骨頚部骨折の患者さんが多くなっています。
転院率が高くなっている理由は、大腿骨頚部骨折地域連携パスの運用により当院での急性期治療が終了後、近隣の回復期リハビリテーション病院へ
紹介しているためです。
次いで肘関節周辺の骨折・脱臼、なかでも上腕骨遠位端骨折に対する治療が多く、入院患者さんの平均年齢は低めとなっています。
3番目に多い分類が、膝関節症における人工関節置換術となっており、一般整形外科診療のほか専門的治療も行っています。
泌尿器科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
11012xxx040x0x 上部尿路疾患  体外衝撃波腎・尿管結石破砕術(一連につき)  手術・処置等1なし  定義副傷病なし 104 2.16 2.89 0.00 58.50
110200xx04xxxx 前立腺肥大症等  経尿道的レーザー前立腺切除術 80 7.86 7.90 0.00 70.66
110070xx0200xx 膀胱腫瘍  膀胱悪性腫瘍手術 経尿道的手術  手術・処置等1なし  手術・処置等2なし 77 7.55 7.59 0.00 72.09
この指標では、前立腺癌の疑いに対する前立腺針生検を行った患者さんで、短期滞在手術等基本料を算定している場合は集計対象外となっています。
そのため、この指標における泌尿器科の患者数は尿路結石に対する体外衝撃波腎・尿管結石破砕術が最多となっており、低侵襲治療のため他症例に比べ平均在院日数が短くなっています。
次いで多い症例が前立腺肥大症に対する経尿道的レーザー前立腺切除術となっており、低侵襲なレーザー治療の患者さんが上位を占めています。
3番目に多い症例は、膀胱癌に対する膀胱悪性腫瘍手術(経尿道的手術)となっています。
皮膚科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
080011xx99xxxx 急性膿皮症  手術なし 22 9.68 11.97 0.00 63.55
080110xxxxx0xx 水疱症  手術・処置等2なし 12 33.08 31.95 8.33 71.92
080011xx970x0x 急性膿皮症  手術あり  手術・処置等1なし  定義副傷病なし 17.84
皮膚科では「急性膿皮症・手術なし」の分類が最も多く、うち9割が細菌感染症である蜂窩織炎の患者さんとなっています。
次いで水疱症での患者数が多く、天疱瘡と水疱性類天疱瘡の診療を行っています。
3番目の症例につきましては患者数が10未満となっているため「-」と表示しています。
小児科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
040080x1xxx0xx 肺炎、急性気管支炎、急性細気管支炎(15歳未満)  手術・処置等2なし 23 5.14 5.72 0.00 3.13
040100xxxxx00x 喘息  手術・処置等2なし  定義副傷病なし 6.31
150010xxxxx0xx ウイルス性腸炎  手術・処置等2なし 5.50
小児科では患者数の約半数が肺炎や急性気管支炎、急性細気管支炎の治療となっています。
2番目以降の症例につきましては、患者数が10未満となっているため「-」と表示しておりますが、DPCコード・名称より感染症や気管支喘息を中心とした治療を
行っていることがわかります。
初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数ファイルをダウンロード
初発 再発 病期分類
基準(※)
版数
Stage I Stage II Stage III Stage IV 不明
胃癌 38 10 16 11 1 7
大腸癌 37 34 23 24 1 7
乳癌
肺癌 63 69 1 7
肝癌
※ 1:UICC TNM分類,2:癌取扱い規約
【解説】
 ★『実患者数』ではなく『延べ患者数』であるため、同じ患者さんが集計期間中に何度も入退院を繰り返した場合は、全て上記人数に含まれています★
 ★ステージ『不明』とは、TNM分類が当該入院中に評価できず病期(ステージ)が不明な場合を示しています★
 ★上記分類は『治療前に得られた情報に基づく分類』であるため『治療後の分類』と異なる場合があります★

 ○胃癌の『再発』11について
   ・・11人全てが別の患者さんではなく、同じ患者さんが繰り返して入院した数も含まれています。
 ○肺癌の『不明』69について
   ・・69人中66人が癌疑いに対する気管支鏡目的での患者さんであり、入院中に検査結果が得られないため『不明』となっています。
     退院後、最終的には確定診断が得られています。
 ○肺癌の『ステージⅣ』63について
   ・・ステージⅣと最も進行した癌の患者さんが多いため、化学療法目的で同じ患者さんが再入院治療をされることで患者数が多くなっています。
 ○胃癌と大腸癌について
   ・・当院は、胃癌と大腸癌において千葉県がん診療連携協力病院の指定を受けている病院の1つとして、開腹手術だけでなく腹腔鏡下手術による治療も
     積極的に行っているため、患者数が多くなっています。
 ○肝癌について
   ・・肝癌の患者さんが各ステージで10未満であったため患者数が反映されていませんが、肝癌の合計患者数は27人となっており、
     ほとんどが肝細胞癌の症例で動脈塞栓術や化学療法を行っています。

【定義】
 5大癌について、初発患者さんはUICC(=国際対がん連合)のT(=原発巣の大きさと進展度)N(=所属リンパ節への転移状況)
 M(=遠隔転移の有無)から示される病期分類による患者数を、再発患者さんは患者数のみを集計しました。
 ※ステージ「0」は集計対象外としています。
 ※患者数が10未満の場合は「-」と表示しています。また、患者数は延べ患者数になります。
   
*-----------------------------------------------------------------------------------------*
初発とは・・・当院にて癌の診断や初回治療を行った場合。
再発とは・・・(当院・他院を問わず)初回治療が完了した後、当院にて患者さんを診療した場合。
           また、治療癌が寛解後に局所再発・再燃または新たな遠隔転移をきたした場合。
*-----------------------------------------------------------------------------------------*

成人市中肺炎の重症度別患者数等ファイルをダウンロード
患者数 平均
在院日数
平均年齢
重症度 0 31 7.77 54.68
重症度 1 55 12.40 74.75
重症度 2 77 14.60 79.42
重症度 3 24 14.29 82.58
重症度 4 17 20.29 86.35
重症度 5
不明
【解説】
 重症度別で患者数が最も多いのは中等症(重症度1、2)であり、全体の約6割を占めています。
 重症度分類に年齢も評価されるため、平均年齢が上がるにつれ重症度も高くなり、在院日数も比例して伸びる傾向となっています。

【定義】
 成人(20歳以上)の市中肺炎患者さんについて重症度別に患者数、平均在院日数、平均年齢を集計しました。
 重症度は、市中肺炎ガイドラインによる重症度分類(A-DROP)により分類しています。
 ※ウイルス性肺炎や誤嚥性肺炎は除外としています。
 ※入院後に発症した肺炎や一般病棟外からの転入、他院からの転院は除外としています。

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   市中肺炎とは・・・病院外で日常生活をしていた人に発症した肺炎をいいます。
   AーDROPとは・・・A(=Age 年齢 / 男性70歳以上 女性75歳以上)
              D(=Dehydration 脱水 / BUN21mg/dl以上または脱水あり)
              R(=Respiration 呼吸 / SpO2 90%以下(PaO2 60Torr以下)
              O(=Orientation 見当識 / 意識障害(肺炎由来)あり)
               P(=B.Pressure 血圧 / 血圧(収縮期)90mmHg以下)
   重症度分類とは・・・A-DROPの該当項目数により、0~5と分類しています。
                軽症(重症度0)
                中等症(重症度1、重症度2)
                重症(重症度3)
                超重症(重症度4、重症度5)
 *-----------------------------------------------------------------------------------------*

脳梗塞のICD10別患者数等ファイルをダウンロード
ICD10 傷病名 発症日から 患者数 平均在院日数 平均年齢 転院率
G45$ 一過性脳虚血発作及び関連症候群 - 10 5.70 69.60 10.00
G46$ 脳血管疾患における脳の血管(性)症候群 -
I63$ 脳梗塞 3日以内 41 24.24 69.71 53.66
その他 12 24.17 68.08 41.67
I65$ 脳実質外動脈の閉塞及び狭窄,脳梗塞に至らなかったもの -
I66$ 脳動脈の閉塞及び狭窄,脳梗塞に至らなかったもの -
I675 もやもや病<ウイリス動脈輪閉塞症> -
I679 脳血管疾患,詳細不明 -
【解説】
 ICD10がI63$に分類される「脳梗塞」の患者数が最も多くなっています。
 特に、発症日から3日以内の患者さんが多く、迅速に治療を開始することで早期離床に繋げています。
 また、転院率が高くなっている理由として、脳卒中地域連携パスの運用により当院での急性期治療が終了後、近隣の回復期リハビリテーション病院へ
 紹介することが挙げられます。

【定義】
 脳梗塞の病型別の患者数、平均在院日数、平均年齢、転院率を集計しました。
 ※発症日から「3日以内」「その他」に分けて示しています。ただし、患者数が10未満になる場合は分けずに合計した患者数を示しています。

診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位3位まで)ファイルをダウンロード
循環器内科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K5493 経皮的冠動脈ステント留置術(その他のもの) 54 1.44 2.39 1.85 67.93
K5492 経皮的冠動脈ステント留置術(不安定狭心症に対するもの) 31 0.10 7.52 0.00 69.87
K5972 ペースメーカー移殖術(経静脈電極の場合) 27 5.33 9.04 0.00 73.04
循環器内科では経皮的冠動脈ステント留置術が最も多く、請求区分の違いにより2項目に分かれていますが、どちらも心筋梗塞や狭心症に対する手術です。
K5492の方が、K5493より重症な患者さんに対して行う手術であり、在院日数が長くなることから平均術後日数に差があります。
3番目に多いのがペースメーカー移殖術(経静脈電極の場合)で、房室ブロックや洞不全症候群という不整脈の患者さんに行っています。
消化器内科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K7211 内視鏡的結腸ポリープ・粘膜切除術(直径2センチメートル未満) 124 0.18 2.09 0.00 66.20
K654 内視鏡的消化管止血術 33 1.79 11.15 6.06 67.91
K688 内視鏡的胆道ステント留置術 19 8.89 10.74 0.00 73.84
消化器内科では短期入院で行う、大腸腫瘍や大腸ポリープに対する内視鏡的結腸ポリープ・粘膜切除術が最も多くなっています。
次いで内視鏡的消化管止血術が多く、胃潰瘍や十二指腸潰瘍、癌等による消化管出血の際に行っています。
3番目に多いのが内視鏡的胆道ステント留置術で、結石や炎症による良性胆道狭窄や悪性疾患の患者さんに対して行っています。
血液内科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K9212ロ 造血幹細胞採取(一連につき)(末梢血幹細胞採取)(自家移植の場合) 14 19.57 2.36 0.00 61.14
K0461 骨折観血的手術(肩甲骨、上腕、大腿)
K6261 リンパ節摘出術(直径3センチメートル未満)
血液内科では、造血幹細胞移植を行った患者さんは集計対象外となっているため、造血幹細胞採取(末梢血幹細胞採取)(自家移植の場合)の患者さんが多くなっています。
その他の症例につきましては、患者数が10未満となっているため「-」と表示していますが、2番目の骨折観血的手術は全て整形外科との転科があったため、血液内科で項目が上がっています。
外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K7211 内視鏡的結腸ポリープ・粘膜切除術(直径2センチメートル未満) 116 0.01 2.03 0.00 63.66
K672-2 腹腔鏡下胆嚢摘出術 88 1.34 5.10 0.00 61.00
K634 腹腔鏡下鼠径ヘルニア手術(両側) 87 1.15 3.13 0.00 63.87
外科では短期入院で行う、大腸腫瘍や大腸ポリープに対する内視鏡的結腸ポリープ・粘膜切除術が最も多くなっています。
次いで胆のう炎等に対する腹腔鏡下胆嚢摘出術、鼠径ヘルニアに対する腹腔鏡下鼠径ヘルニア手術、と、腹腔鏡下手術が多くなっています。
特に今年度は前年度と比べて、腹腔鏡下鼠径ヘルニア手術の件数が増加しています。
産婦人科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K877 子宮全摘術 121 2.40 7.55 1.65 47.73
K8982 帝王切開術(選択帝王切開) 71 1.45 6.82 0.00 33.79
K867 子宮頸部(腟部)切除術 63 0.00 0.35 0.00 40.13
産婦人科では子宮全摘術が最も多くなっており、ほとんどが子宮筋腫の患者さんですが、子宮癌や前癌病変である子宮頚部異形成、子宮腺筋症等の患者さんに
対しても行っています。
次いで分娩時の帝王切開術(選択帝王切開)が多く、前回分娩が帝王切開であった患者さんや児頭骨盤不均衡の患者さんに対応しています。
3番目に多いのは子宮頸部(腟部)切除術であり、前癌病変である子宮頚部異形成や子宮頸癌初期の診断のもとに行っています。
整形外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K0461 骨折観血的手術(肩甲骨、上腕、大腿) 135 1.69 12.59 34.07 63.60
K0821 人工関節置換術(肩、股、膝) 118 2.68 19.86 2.54 70.31
K0462 骨折観血的手術(前腕、下腿、手舟状骨) 58 1.88 8.93 5.17 45.55
整形外科では骨折観血的手術(肩甲骨、上腕、大腿)が最も多く、特に大腿に対する骨折観血的手術が135件中76件となっています。
転院率が34.07%と他症例に比べて高くなっていますが、これは大腿骨頚部骨折に対して地域連携パスを運用し、他病院との連携を図っているためです。
次いで人工関節置換術(肩、股、膝)が多く、中でも主に膝関節症の患者さんに行っている人工関節置換術(膝)に対するものが118件中60件と
約5割を占め、前年度に比べて手術件数が増加傾向となっています。
3番目に多いのは骨折観血的手術(前腕、下腿、手舟状骨)で、主に前腕、下腿の骨折となっています。
泌尿器科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K768 体外衝撃波腎・尿管結石破砕術(一連につき) 106 0.10 1.06 0.00 58.45
K8036ロ 膀胱悪性腫瘍手術(経尿道的手術)(その他のもの) 81 1.23 5.67 0.00 72.56
K841-21 経尿道的レーザー前立腺切除術(ホルミウムレーザーを用いるもの) 79 1.14 5.75 0.00 70.63
泌尿器科では腎結石症や尿管結石症に対する体外衝撃波腎・尿管結石破砕術の患者さんが最も多くなっており、低侵襲治療のため平均術前日数、
平均術後日数ともに短めとなっています。
次いで膀胱癌に対する膀胱悪性腫瘍手術が多く、年々患者数が増加傾向にあります。
3番目に多いのがホルミウムレーザーを用いた経尿道的レーザー前立腺切除術であり、前立腺肥大症患者さんに行っています。
その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)ファイルをダウンロード
DPC 傷病名 入院契機 症例数 発生率
130100 播種性血管内凝固症候群 同一
異なる
180010 敗血症 同一 14 0.21
異なる 38 0.58
180035 その他の真菌感染症 同一
異なる
180040 手術・処置等の合併症 同一 20 0.30
異なる
【解説】
 敗血症において入院契機病名と異なる患者さんは、38件のうち29件が肺炎や尿路感染症などの感染症をきっかけに入院となった患者さんでした。
 全体的に感染症を伴っての入院がほとんどで、中には基礎疾患に癌があるなど、入院時点で敗血症に陥りやすい状態の患者さんが多くなっていました。
 手術・術後の合併症については、入院契機病名と同一の患者さんとなっており、手術・処置などの合併症を主訴として当院に入院され、治療を受ける
 患者さんが多いということになります。
 病名の内訳としては、人工関節の脱臼やゆるみ、感染を主訴として入院される患者さんが最多で20件中13件となっています。
 他には処置や手術に続発する感染症、手術創の出血や離解となっています。

【定義】
 医療資源を最も投入した傷病名が、播種性血管内凝固、敗血症、その他の感染症、手術・術後の合併症の患者数を入院契機病名と同一、または
 異なるものと分けて集計しました。

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   入院契機病名
      入院のきっかけとなった病名のことです。
   播種性血管内凝固
      感染症などによって起こる、全身性の重症な病態です。
   敗血症
      感染症によって起こる、全身性炎症反応の重症な病態です。
   その他の真菌症
      真菌による感染症です。
   手術・処置等の合併症
      手術や処置などに一定割合で発生してしまう病態です。
      合併症はどのような手術でも、どのような患者さんでも一定の確率で起こり得るもので、医療ミスとは異なります。
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更新履歴
2016/9/28
平成27年度の病院指標を公開しました。