災害に備えて

 
I 地域での防災活動
 
 

2. 被害を予測してみよう

 

自分たちの住んでいる地域や、職場・学校のある地域は災害に対してどのような弱点があるのかを把握し、被災したらどのような状況になるかを予測しましょう。

予測にあたっては、平日・休日の別や時間帯別の予測を行うことが大切です。

地域の特性による災害危険の違いと課題

◆中高層住宅地区の災害危険と課題

マンションなどの集合住宅の多いこの地区では、防火や耐震など建物自体の防災力の高さと、昼間は女性の割合が多いという特徴を踏まえると

  1. 日ごろのサークル活動で、看護師など災害時に活躍できる特殊な技能を持っている人や、反対に介助が必要となる人を把握し、災害時の対応について検討する。
  2. 初期消火をする人や集合住宅のオープンスペースに避難して来る外部の人たちの受け入れ体制(炊き出しなど)についても検討する。

などが、具体的な活動のメニューとして挙げられます。

中高層住宅地区の特徴

長所 住宅の耐火・耐震能力が比較的高い。
短所
  1. 危険意識が薄く、防災への無関心さが拡大。
  2. 昼間人口が少なく、常時活動できる住民が限られている。

◆木造住宅密集地区の災害危険と課題

古くからの住民が住む木造住宅の多いこの地区では、多くの住環境上の問題があり、地域防災力を向上させていく取り組みが、そのまま普段の生活を快適にしていくことにつながります。そのためには、建物や道路などといった住環境のハード面の整備が欠かせません。災害に強いまちをつくるためには、住民同士の合意や、行政の担当部署との調整・交渉などが求められます。

中木造住宅密集地区の特徴

長所 古くからの住民が多いことから、一般的に防災意識が高く、自主防災組織活動の充実度も高い。
短所
  1. 木造住宅が密集することで、火災の発生・延焼の危険性が高い。
  2. アパート・マンションの増加で関心の薄い人たちが増えている。

◆繁華街・商業地区の災害危険と課題

住民が極端に少なく、事業所が多いこの地区では「町内会の法人会員化」が進み、災害時の活動の中心も事業所の従業員とならざるをえません。その中でも、来訪者の安全確保と混乱の防止が重要な課題となります。繁華街・商業地区の地域防災活動をレベルアップさせていくためには、新しい地域防災の概念に基づく新たな組織づくりが求められます。

例えば、従業員による自主防災組織や消防団の結成や、不特定多数の来訪者を対象に、災害発生時の混乱防止を目的として、地域防災のネットワークをつくることが考えられます。

繁華街・商業地区の特徴

長所 食料・生活物資等の備蓄面で期待ができる。
短所
  1. 昼夜間で大量の人口移動がある。
  2. 災害時のコントロールがききにくい。