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更新日:2017年1月5日

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「千葉市都市文化賞2016」の受賞作品が決定しました。

本年度は平成28年7月1日から8月31日まで募集を行いましたところ、49点のご応募がありました。
多数のご応募をいただきましたことを、心よりお礼申し上げます。
応募された中から千葉市景観総合審議会表彰選考部会での選考により、下記のとおり、受賞作品を決定しました。
また、「千葉市都市文化賞フォーラム2016」と題した、表彰式とパネルディスカッションを以下のとおり行いました。
たくさんのご来場をありがとうございました。

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(↑受賞者、選考委員及び主催者による記念写真)

「千葉市都市文化賞フォーラム2016」

総評

「文化」は「空間」で表徴されると同時に、「時間」の経過の中で育まれていくものです。
例えば、時を経るに連れて、衰退し、寂れ、記憶から消滅していくものを、我々は「文化」と呼ぶでしょうか。時とともに、磨かれ、活性化し、人々の生活を楽しく、豊かに賦活するものこそ「文化」の名に相応しいのだと思います。
「文化」は「時間」によって「熟成」されるものだからです。

しかし、資本主義経済が高度に昂進する現在では、「文化」はとても旗色が悪く見えます。なぜなら「時間」の関数である「文化」は、すぐには商品化しづらいからです。
身も蓋もない言い方ですが、「それは儲かりますか?」といった数値化しやすい価値が優先的に問われます。
ですから、「時間」と強くかかわりがあるものは、短期的には利益を生み出さないという理由だけで、価値のないものと見なされがちです。
そして、「自然」は壊され、「伝統」は忘れられ、「文化」はないがしろにされてきました。

特に、「都市」においてその傾向が顕著にあらわれてきます。
昨日まで慣れ親しんだ「景観」がわずかな時間で改変されてしまいます。
しばらくすると、以前のそこは、どのような「景観」であったのかさえ、思い出せなくなるほどの「速度」で変化していきます。
消費の坩堝である「都市」では「時間」を削ぎ落とすために、「速度」も重要なファクターになります。
ほんとうは「時間」がゼロになることが最も合理的で、効率的な経済活動だとも言えるからです。

こうした忙しい資本主義経済社会の中で忘れられているのは、「人間は時間的存在である」ということです。
肌触りのある人間の営為は常に「時間」とともにあるということです。
そして、言うまでもなく「文化」は「人間という時間的存在」によってのみ、生み出されるということを忘れてはならないと思います。

「都市文化とはなにか」という問いかけは、常にこの審査会の中で議論されるメインテーマですし、この賞が存続するかぎり問い続けられるものでもあります。

今回の都市文化賞では、特に前段で述べたように「時間」という観点を重視しながら応募作を、それこそ時間をかけて審査しました。

そしてグランプリとして「景観まちづくり部門」で応募された「パラソルギャラリー」を選定しました。
時間を遡ると、2000年に千葉駅前大通りが完成しました。
ケヤキ並木で彩られ、石舗装の歩道も拡がり、美しく整備された千葉市の顔です。
しかし、より魅力的な「都市景観」とするには人の賑わいが必要不可欠です。

「パラソルギャラリー」はこうした賑わいを演出するために、千葉市が主催する「都市景観市民フェスタ」の一環として2000年に第一回が開催されました。
パラソルを舞台に見立て、創作活動をする人たちがまちなかにギャラリーを開き、そこに人が集まり、賑わいを作り出します。

2009年に千葉市からの補助金が無くなりましたが、実行委員である出展者が費用を自己負担し、現在まで長きにわたって続けられています。
しかも、年々出展者、来場者が増え、街の風物詩として定着してきました。
当初から千葉大学が運営に深くかかわり、実践的まちづくり教育の場になっているのも効果をあげています。
さらにこの活動は、イベント時だけではなく、日常においても賑わいを演出する路上の利活用を促しています。

「市民」と「行政」と「大学」が一体となって作り出し、長い時間をかけて進化させてきた「賑わいの景観づくり」とも呼びうるこの活動は、千葉市が全国に誇れる「都市文化」として高く評価したいと思います。

千葉市景観総合審議会
千葉市都市文化賞表彰選考部会 部会長 栗生 明

受賞作品

グランプリ(1件)

 

パラソルギャラリー

所在地:千葉市中央公園プロムナード
主催 :パラソルギャラリー実行委員会

企画運営:千葉大学都市環境デザイン研究室

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「市民」と「行政」と「大学」が一体となって作り出し、長い時間をかけて進化させてきた「賑わいの景観づくり」とも呼びうるこの活動が、千葉市が全国に誇れる「都市文化」として高く評価された。

 

優秀賞(4件)

 

【景観まちづくり部門】HELLO GARDEN

所在地:稲毛区緑町1丁目
施主 :株式会社マイキー

設計者:(un)ARCHITECTS
施工者:アオキ家具アトリエ

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撮影者:長谷川健太|OFP

この活動は住宅地の空き地を活用して、暮らしにまつわる様々なイベントなどを行っているものであり、応募用紙の文面には「都市のスキマの暫定利用としての活動であり、場所に縛られない移動可能な実験家具シリーズにより空間を設えている」と記されている。今回応募された住宅地に限らず、市街地における展開も可能であるとともに、これらの装置群は素材・形状・色彩などのデザインが洗練されており、普遍的な「街具」としての発展が期待できる。

講評 八木 健一

 

【景観広告部門】HELLO GARDEN

所在地:稲毛区緑町1丁目
施主 :株式会社マイキー

設計者:(un)ARCHITECTS
施工者:アオキ家具アトリエ

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撮影者:(un)ARCHITECTS/長谷川健太|OFP

都市のスキマを地域の広場として活用し、人々の交流の場とする取り組みの中で、その活動の“存在”を伝え、活動プログラムを伝えるサインボードがユニークで楽しい。木組みの台に被せた袋にカンガルーのお母さんのお腹のようなポケットが付いたデザインは、そこから覗くプログラムを表記した入れ替え可能なパネルが参加を呼びかけ、優れた機能性と暖かな造形性を見せている。また、広場に設えた家具それぞれに僅かにペイントされたレモンイエローは、空間全体のテーマカラーとなって、周辺の景観から広場を際だたせ、 美しく印象的である。

講評 田口 敦子

 

【建築文化部門】cobuke coffee

所在地:稲毛区小深町
施主 :株式会社 翁

設計者:株式会社kurosawa kawaraten
施工者:株式会社kurosawa kawaraten

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撮影者:小野田 陽一

cobuke coffeeは、古くなった倉庫を”カフェ”という新しい価値にリノベーションしたものである。外観は、手を加えすぎず元々の倉庫らしさをそのまま残しており、また倉庫の空間的な利点ともいう高い天井高が生かされている。内装インテリアやテーブル・椅子はシンプルな色合い、デザインで統一されて洗練されており、多くの客でにぎわっていることが、このリノベーションによる雰囲気の良さを物語っている。このような倉庫リノベーションは千葉市においては先進的な取組みであり、千葉市の魅力、都市文化の向上に貢献しているといえる。

講評 鈴木 雅之

 

【建築文化部門】竹中工務店東関東支店ZEB化改修

所在地:中央区中央港1丁目
施主 :株式会社 竹中工務店

設計者:株式会社 竹中工務店
施工者:株式会社 竹中工務店

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撮影者:新建築社 写真部

千葉みなと地区にある2003年に竣工した建物の省エネルギー、環境配慮型への改修建物。街路樹の代わりとして駐車場空間に植栽された樹木や、低層で端正な印象を与えるファサードは十分魅力的ではあるが、それは2003年のもので、表層の雰囲気は変化していない。しかし、都市の快適性は目に見えない、気温、湿度、大気の質のほうが人にとって、地域にとって最重要であり、再評価に値すると判断した。今後選定基準として地域・地球環境に付与するという項目を付け加える必要を提示した作品といえる。

講評 山﨑 誠子

入選(3件)

【景観まちづくり部門】稲浜ショップの中高生によるウォールアート

所在地:美浜区高浜4丁目
施主 :株式会社千葉経済開発公社

原画設計:千葉市立稲毛高等学校・附属中学校 美術部
制作:千葉市立稲毛高等学校・附属中学校 美術部

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地域の商店街市場の空間が中高生の実習によってよみがえったプロジェクトです。応募資料にもその変化が記録されていて印象深く、まちづくりの活動として複数の審査委員から評価の声が上がりました。設備配管、自販機、ゴミ保管箱など雑然としたままの部分もまだありますが、それらを総合的にとりこむグラフィックの視点があるのではないかと、更なる発展形も期待させる内容です。単なる壁画にとどまらない公共景観デザインの可能性を示唆するほどに、中高生の熱意が感じられました。

講評 三谷 徹

 

【景観広告部門】cobuke coffee

所在地:稲毛区小深町
施主 :株式会社 翁

設計者:しなやかデザイン
施工者:株式会社kurosawa kawaraten

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撮影者:小野田 陽一

「cobuke coffee」は、倉庫の一部をリノベーションして作られたカフェ。内装は、高い天井と広々としたスペースでゆったりとした空間を確保している。細部まで神経が行き届いた椅子やテーブルと植栽、コンクリートと木材の素材感、濃いグレーの壁面などが一体となったインテリアデザインが心地よい空間をつくる。また、小深町やコーヒーを想起させる「CO」のロゴマークやパッケージ、HPなどの洗練されたグラフィックが特徴的で、魅力的な広告表現となっている。何かに媚びないデザインが上質の空間を提供し、ベッドタウンと商工業が渾然一体となる場所に、新しい街並形成の可能性を示すとして評価された。

講評 菊竹 雪

 

【建築文化部門】幕張インターナショナルスクール

所在地:美浜区若葉3丁目
施主 :学校法人幕張インターナショナルスクール

設計者:株式会社シーラカンスアンドアソシエイツ
施工者:株式会社畔蒜工務店

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増築された体育館の外観は、白を基調にしたすっきりしたカラーリングと、直線のフォルムがきりっと引き締まった表情を醸し出しています。大きな壁面も通りからセットバックされているため、威圧感なく周辺との調和が保たれています。内部は集成材等がふんだんに使われ、外観とは打って変わって穏やかで温かみのある空間が広がっています。南北に施された大きなガラス開口部は、外に向かって視界が遮られることなく、非常に気持ちの良い空間になっています。

講評 大内 啓子

 

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