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更新日:2021年6月23日
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千葉都市モノレール株式会社の会社再建について紹介します。
会社の経営状況を平成17年3月期でみると、約30億円の営業収入に対して、営業費が約37億円となっており、営業損益と営業外損益を加えた経常損益では約6億円の赤字を計上し、累積損失は約199億円であった。
会社は開業当初から、運行のための施設・設備である車両、信号・電気設備、駅務機器等の整備に係る初期投資に起因する膨大な償却資産及び借入金債務を抱えており、営業費に占める減価償却費の率が大手民鉄の21%に対し千葉都市モノレールでは43%となっていた。その結果、減価償却前では約8億円の黒字を計上しつつも、減価償却後では約7億円の赤字決算を続けていた。
また、資金収支では、約34億円の収入に対して、借入金債務の償還が約22億円あったこと等から、資金需要は約46億円となっており、不足分は県及び市からの財政支援によって賄われていた。
会社の経営は毎年度、市及び県による財政支援によって支えられていたが、この先、運輸収入に大きな増加が見込めないまま現状で推移していった場合、平成44年度までの28年間で、単年度黒字を生み出せないまま累計損失は約370億円となり、不足資金の累計は約280億円に及ぶものと見込まれる。
このことは、市・県による財政支援の継続が必要であり、なおかつその先も経営収支の大きな改善は期待できない状況が続くことと考えられていた。
開業以来、利用客が低迷し、厳しい経営状況に陥っている千葉都市モノレールを、市民・県民等のための健全な公共交通機関として機能させるため、関係分野の専門家による客観的な立場からの検討の場として、平成14年度に「千葉都市モノレール検討調査委員会」を、また、平成15年度には「千葉都市モノレール評価・助言委員会」を設置し、千葉都市モノレールの現状と将来について検討が行われ、次のような意見報告を受けた。
※「残された課題」
千葉都市モノレールは、開業以来厳しい経営を続けながらも、平成16年度では約1,600万人の市民・県民等に利用されてきたという実績があり、定時制や安全性に優れ、誰もが安心して利用できる公共交通機関として、大きな役割を果たしてきた。
また、その機能・特性から、道路交通の混雑緩和、自動車交通量の無秩序な膨張の抑制、沿道環境の改善等に寄与するとともに、まちづくりの軸となる交通インフラとして、沿線での市街地形成を誘導、促進してきたほか、幅広い経済効果ももたらしてきた。
さらに、今後も、少子高齢社会に対応した望ましい公共交通機関として、また、地球環境面においても環境負荷を低減する優れた交通施設として、モノレールが果たしていく役割は大きく、重要である。
なお、千葉都市モノレールの整備による便益は、開業から平成16年度までで約1,700億円、開業から40年間では約3,000億円と見込まれている。
財政支援を続けながらモノレールの運行を維持していくことは可能であるが、それでは将来にわたって経営の展望は開けず、評価・助言委員会の報告が指摘するように「最低限の設備更新もままならず、サービスの低下、モノレール離れ、という悪循環」を断ち切ることはできなくなる。
外部委員会の報告を受け、市及び県では、千葉都市モノレールが果たしてきた役割と将来を見定めたうえで、公共交通機関としてモノレールを今後も安定して存続させる必要があること。そのためには、モノレールの運行を担ってきた会社の経営構造を、抜本から改善して強固な経営基盤を構築する必要があるとの認識から、そのための方策を検討し、市民・県民の理解を得ながらその実施に向け、取り組むことが喫緊の課題であると考えた。
都市モノレールは、道路と同等に公共施設として自治体が整備したインフラ部を第三セクターである会社が使用して運行を担う仕組みとなっている。したがって、会社がこれまでの業務経験とノウハウを引き続き活かしながら、自立した意識と強い意欲を持って運行の安全とサービスの向上に邁進していける経営環境を築く必要がある。
また、その機能と役割から高い公共性を有する一方で、事業採算性をも求められている都市モノレールの再建にあたっては、会社自らの経営改善に対する努力等、公共と民間(会社)それぞれが果たす役割と責務を明確にしたうえで将来に対処していくということが必要である。
会社は、開業当初から、過大な軌道資産の借入金債務の償還と維持負担が経営を圧迫する財務・収支構造を抱えていた。この構造から脱却して、単年度黒字化を実現し、資金収支上も自立化を図ることが必要である。また、債務超過状態を解消して、自立した企業としての信用力を回復させることも必要である。
このため、株主の責任と協力のもとで現在の資本金を適正な限度まで減資を行うこと。市・県の貸付金債権を活用して増資(債務の株式化DES)及び再度の減資を行うこと。経営収支構造の圧迫要因となっている軌道資産の一部を公共側へ移す(資産分離)こと。これらの再建方策を効果的に講じることにより、会社の債務超過と累積損失の解消、単年度収支の黒字化及び資金収支の改善を図り、自立した企業としての経営基盤を再構築する。
会社再建方策及び事業主体移行に係る手続き等は相互に関連し、市・県・会社において確実に実行される必要がある。また、新たな公的支援や市・県間における応分の負担等を内容とする重要事案であることから、市・県議会はもとより市民・県民にもこれら手続きの相互の関連性を明確にした全体像として示し、理解を得る必要がある。
以上のことから、3者間の契約として、市・県議会の議決を必要とする「和解」により、当事者それぞれが自ら行なうべき事項の確実な実行を担保するとともに、「和解」を議案とすることにより、相互に関連する手続きを包括的かつ明確にした全体像として市・県議会に示し、また議会での審議をとおして市民・県民にもそれらを明らかにすることができるものと考えた。
市と県は各々、平成18年第1回定例会に「和解」(PDF:12KB)について議会に諮り、平成18年3月28日に千葉簡易裁判所において、和解が成立した。
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