千葉市ホームページ

文字サイズ

〒261-0012 千葉市美浜区磯辺3-31-1Tel. 043-277-7711(代表)

診療科のご案内

食道癌 / 胃癌 / 肝臓疾患

診療内容

消化器外科、乳腺外科、その他一般外科を8名の医師が担当しています。胃癌、大腸癌、食道癌、肝臓癌、膵臓癌などの消化器疾患、その他乳癌、痔疾患、ヘルニアなど幅広く外科治療を行っています。

早期消化器癌(食道癌、胃癌、大腸癌)に対しては、消化器内科と連携して、内視鏡的粘膜切除術(EMR法)や内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD法)、また腹腔鏡下手術などの縮小手術、機能温存手術を積極的に行っています。乳癌治療においても乳房温存術などを積極的に取り入れ、術後の生活の質を出来るだけ落とさないように努めています。

また進行癌においては進行度に合わせた適切な手術を行い、積極的な集学的治療(抗癌剤治療、放射線治療)を行っています。

当科は、一般救急も含め千葉市夜間外科系救急二次システムの一端も担い、急性虫垂炎、消化管穿孔、腸閉塞症などの腹部救急疾患に対する緊急受け入れ体制も整えております。

また、当院は、日本外科学会認定医制度修練施設、日本消化器外科学会専門医修練施設、日本大腸肛門病学会専門医修練施設となっており(認定施設とは学会がそれぞれの分野で専門医を育てるのにふさわしい診療を行っている病院であると認めるという意味であります。)、大学病院や他の施設より研修医や学生を受け、研修教育機関としての役割も果たしております。 以下、各分野別に特色を紹介いたします。

食道癌

当科では食道癌治療ガイドラインに沿った治療を行っています。食道癌の治療法には、内視鏡的治療、手術、化学療法、放射線療法があり、進行度により、それらを組み合わせた集学的治療を行っています。

早期癌に対しては、消化器内科と連携して、内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)を行っていますが、病理組織検査の結果で追加治療が必要な場合は、手術、化学放射線療法を行っています。進行癌に対しては、術前化学療法後の手術を標準治療としています。手術は胸部~腹部にかけての食道を切除し、頚部、胸部、腹部のリンパ節を郭清し、胃を使って再建する術式が基本です。癌の位置、浸潤度、リンパ節転移の程度によって切除部位が変わる場合があります。また胃切除後などで胃が再建に使用できない場合は大腸や小腸を使っています。

また、手術を希望されない場合や全身状態が不良なため手術に適さない患者さんには根治的化学放射線療法、食道ステント留置等を行っています。当院では、放射線治療専門医の指導のもと画像誘導機能を搭載した最新の放射線機器を使用した放射線治療を行っています。

胃癌

胃癌は、胃の内側の粘膜から発生し、胃壁の外側(粘膜下層、固有筋層、漿膜下層、漿膜)へ進行していきます。進行につれて血管やリンパ管に癌が入り込んで、リンパ節転移や他臓器転移を起こします。また癌が漿膜を食い破ると、腹膜に癌がこぼれおちて腹膜に転移を起こします。胃癌の病期は深達度、リンパ節転移、他臓器転移の有無の程度により決定されます。

当院では胃癌治療ガイドラインに沿ってその病期にあった適切な治療法を選択しています。

1. 内視鏡治療
リンパ節転移がなく、癌が粘膜内にとどまっているもので、2cm以下の分化型であれば、内視鏡で治療します。ただし、内視鏡で切除した結果、癌が予想より深く浸潤していたり、血管、リンパ管にはいりこんでいた場合は手術の追加が必要となります。また内視鏡治療の適応でも患者さんの治療リスクに応じて、手術と内視鏡治療を個別に検討する場合もあります。当院では内視鏡治療は主に消化器内科で行っています。

2. 手術療法
癌が粘膜下層以深におよんでいる場合は胃切除術を行います。胃を切除する範囲は、癌の位置とリンパ節郭清の必要度によって決定されます。胃切除術には①胃の出口である幽門側から2 / 3程度切除し、残胃と十二指腸や小腸とつなぎ合わせる「幽門側胃切除術」、②胃の入り口である噴門側から1 / 2程度切除し、食道と残胃をつなぎ合わせる「噴門側胃切除術」、③胃をすべて切除した後小腸を引き上げて、食道とつなぎ合わせる「胃全摘術」があります。いずれの手術でも必要に応じた範囲のリンパ節郭清をおこなっています。また早期胃癌を中心に体の負担が少なく、術後の回復が早い腹腔鏡下手術も導入しています。

3. 化学療法
リンパ節転移があるなどの進行した癌に対しては、術後再発予防のために抗癌剤治療(術後補助化学療法)を行います。また手術で切除不能な場合や再発した場合には、胃癌治療ガイドラインに準じた化学療法を行っています。使用する抗癌剤は、s-11、カぺシタビン、シスプラチン、ドセタキセル、パクリタキセル、イリノテカン、トラスツズマブ、ラムシルマブなどです。詳しくは担当医におたずねください。

肝臓疾患

肝切除術の対象となるのは、肝細胞癌、肝内胆管癌、転移性肝癌、肝門部胆管癌、肝内結石症などです。最近の傾向は大腸癌肝転移に対する肝切除の件数が増加しています。大腸癌の肝転移に対しては切除可能であれば積極的に切除する方針です。

近年大腸癌に有効な化学療法が増えており、それまでは切除不能と考えられていた癌も化学療法を先行して切除可能になる症例も増えてきています。

予定肝切除量が大きく残る肝臓の容積が少ない場合は、術後肝不全を予防するために術前門脈塞栓術(肝切除の数週間前に切除予定側の血管を閉塞させる処置を行って、残る側の肝臓を肥大させておく方法)を必要に応じて行い、安全に肝切除を行っています。

肝細胞癌に対しては手術治療を第一に、経皮的エタノール注入療法、ラジオ波焼灼療法、マイクロ波凝固療法、肝動脈塞栓療法など様々な非手術的治療があり、肝癌診療ガイドラインに基づき肝機能、進行度に応じて内科医と協力し最適の治療法を提供いたします。

最近では可能であれば積極的に腹腔鏡下肝切除を行っています。腹腔鏡手下術のメリットは創が小さく、術後の回復が早いことです。一方でデメリットとしては、手術可能な腫瘍の場所に制限があり、従来の開腹手術に比べると手術時間がかかることもあります。

以上の条件を考えて安全に行えると判断した場合、患者さんと相談のうえ手術の適応を検討します。