旧神谷伝兵衛稲毛別荘は、かつては眼下に海が広がり、潮の香りが漂う緑の松林に囲まれたリゾート地として知られた。この洋風建築は、「日本のワイン王」と呼ばれた神谷伝兵衛が晩年に愛した海辺の別荘である。
ロマネスク様式のアーチが並ぶ外観と、豪華な内観をそのまま生かし、金川晋吾氏の展示が、そこに融合するような会場デザインを提案します。
小さな古写真を細い柱状の展示台に置き、それが乱立する空間です。
それらは独自の配列を成しており、家具を避けることなく融合します。
地下はコンクリートに囲まれたストレージのような空間。
無骨な柱と梁がバックヤード感を強調しています。
左右に3本ずつある柱を利用し、コの字型の小空間を9つ作ります。
それらに金川晋吾氏のポートレイト作品を展示します。
ひとつのテーマだが、空間に分けられることで新たな編集軸が生まれ、朗読音を流すことによって、鑑賞者が独自の想いを喚起させられます。