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更新日:2019年5月27日

乳腺外科

概要

当科では乳がんを中心に、乳腺疾患全般の専門的な診断及び治療を行っています。乳がん以外には乳腺症、線維腺腫、葉状腫瘍、乳腺炎などが対象となります。
乳がんの罹患率は年々増加傾向にあり、女性においては現在第一位となっていて、それに伴い乳がんの診断、治療法も進歩しており、情報も日々更新されています。
当院では、手術療法・放射線療法・薬物療法をガイドライン、エビデンス(医学的根拠)に基づいて集学的に行っており、患者様のそれぞれの状態に応じた個別化治療に努めています。
乳房温存術(部分切除+放射線療法)やセンチネルリンパ節生検を積極的に行っています。温存術に関しては、超音波・CT・MRI等の最新機器を駆使して、整容性と根治性を両立した手術と術後の放射線照射を実践しており、センチネルリンパ節生検は色素法とRI法の併用で高い精度を維持しています。
進行乳がんに対しては、術前化学療法や術前ホルモン療法を行い、乳房の温存率の向上を目指します。
再発した乳がんに対しては、QOL(生活の質)を損なわないよう、抗癌剤治療、ホルモン療法、放射線療法等の集学的治療を行っています。
緩和医療に関しても、日本緩和医療学会指導医の元に緩和ケアサポートチームで細やかに対応しています。
乳がんの検診から診断および治療を患者様が安心して受けられるよう、専門医を中心とした経験を積んだ専門のスタッフが診療に努めています。患者様の立場に立った医療、患者様の安心と信頼が得られるような診療に取り組んでいます。

診療内容

乳腺外来を初めて受診された患者様には視触診に加えてマンモグラフィー(乳房のレントゲン)を撮影し、必要に応じて超音波検査を行います。
当院はマンモグラフィー検診精度管理委員会の認定を受け、「マンモグラフィー検診施設画像認定施設」となっています。
検診マンモグラフィ読影認定医(Aランク)、検診マンモグラフィー撮影診療放射線技師が4名(女性を含む)おり、撮影に関しては女性技師を指定することもできます。最先端の医療機器を駆使し、経験豊富な女性技師による検査と専門医の診断により、極めて早期の段階で乳がんを発見することが可能です。さらに必要な場合には、細胞診断や組織診断(エコー下)を行い、迅速かつ低侵襲で最適な治療方法を確定いたします。

乳がんの診断となった場合、CT、MRI、骨シンチグラフィー等の最新機器を駆使して他臓器への転移の有無、手術前の進行度診断や術式の決定を行っています。

【初めて受診される方へ】

  • 地域医療連携室経由にて「紹介患者予約システム」をご利用いただき、前日までに予約手続きしていただくことが可能です。
  • 午前中に予約なしで来院された場合、午後までお待ちいただく事があります。
  • 月曜日、水曜日の午前中は手術日となっており、診療は行っていませんので、ご注意ください。

【千葉市の乳癌検診を受診される方へ】

  • 千葉市乳癌検診は予約制となっております。予約をお取りになった上で受診をお願い致します。結果に関しましては郵送にてお知らせします。


【お電話でのご予約が可能です】

  • 予約受付時間・・・平日の15時~17時(TEL:043-277-6577)

【検診日について】

  • マンモグラフィー検診・・・平日の10時~11時

なお、検診日ごとに人数に限りがございますので、お早めにご予約ください。

  • 1次検診で要精査となった方が対象の2次検診は完全予約制となります。

診療スタッフ

氏名 職名 資格
三好 哲太郎 乳腺外科科長

日本外科学会専門医

日本乳癌学会乳腺専門医

日本乳癌学会乳腺認定医

検診マンモグラフィ読影認定医師

日本がん治療認定医機構がん治療認定医

医学的根拠(エビデンス)に基づいた治療

乳がんの治療では、エビデンス(医学的根拠)に基づいた標準的治療を行う必要があります。そのような治療が行われない場合は、治るべき患者さんが再発したり、再発後の治療においては生活の質(QOL)が著しく低下するということが起こりかねません。当院では、まずはエビデンスに基づいた国際的に標準とされている治療法を提示します。その上で、患者様のご希望に沿う形で治療法を選択するように心がけています。

乳癌の手術について

乳がんの手術法は、乳房温存術と乳房切除術があります。
乳房温存術を行うには、“しこりが一つで大きさが3cm以下である”などの条件があります。術後は温存した乳房からの再発予防の為に、5〜6週間にわたり外来で放射線治療を行います。
乳房温存術が適応でない方、もしくは希望されない方には乳房切除術を行います。
術後に乳房再建術を行う事も可能です。(形成外科と連携して行います)
乳房温存術は、乳房切除術と生命予後が変わらないことが確認されています。

当院の乳房温存術は、エコーで病変の範囲を検出しやすい浸潤癌に対してはもちろん、エコーや触診では病変の評価が困難であるような非浸潤癌に対しても、病変の範囲を正確に評価できるCT画像ガイドによる乳房温存術を行っています。患者様に満足していただけるよう、根治性を保ちつつも整容性を重視した乳房温存術を目指しています。

手術は全身麻酔で、いずれも2時間程度です。翌日から歩けますし、食事もご自分で取れます。手術直後は腕が少し動かしにくいですが、リハビリによりもとに戻ります。

センチネルリンパ節生検でリンパ節に転移がない場合は、わきのリンパ節郭清を行いませんが、転移がある場合はわきのリンパ節郭清をします。これにより、3〜4割の方に腕のしびれ、浮腫み、痛み等の後遺症が残ります。

当院ではセンチネルリンパ節生検によりリンパ節郭清を省略した場合も、良好な成績を治めています。

当科における手術件数

 2015年 原発性乳癌 106例(温存術:74例)  良性腫瘍:6例

 2014年 原発性乳癌 74例(温存術:41例)  良性腫瘍:8例

 2013年 原発性乳癌 51例(温存術:29例)  良性腫瘍:5例

 2012年 原発性乳癌 50例(温存術:25例)  良性腫瘍:10例

 2011年 原発性乳癌 55例(温存術:23例)  良性腫瘍:4例

センチネルリンパ節生検

わきのリンパ節のそうじ(リンパ節郭清)は重要ですが、これにより3~4割の方に腕のしびれ、腫れ、痛みなどの後遺症が残ります。
そのため、明らかなリンパ節転移がない方を対象として、アイソトープと色素によりがん細胞が最初に流れつくリンパ節(センチネルリンパ節)を染めて、これにがん細胞がなければ、他のリンパ節を切除しないというセンチネルリンパ節生検を行っています。
現在のところ、センチネルリンパ節の発見率は98%以上ですが、センチネルリンパ節が見つからない場合は通常のリンパ節郭清をすることになります。また、5%以下の確率ですが、手術後の詳しい検査でリンパ節転移が発見され、再手術を要する場合も有ります。

術前化学(ホルモン)療法

しこりが大きく温存療法が適応にならない方等を対象として、手術前に抗がん剤やホルモン剤を3~6ヶ月間使用したのちに手術をする治療法です。
この治療法でしこりが十分に小さくなれば、温存術ができるようになる場合があります。
これらのお薬は再発予防のために術後に使用するものと同じなので、お薬が患者さんに合うかどうか、あらかじめ調べられるという利点もあります。
乳房温存術を行う場合、切除する乳房の体積をより少なくし、整容性を高める事のできるCT画像ガイドによる手術を行っています。まれに治療中にしこりが大きくなることがあり(5%以下)、この場合には途中で手術が必要になることがあります。

術後薬物療法

術後に再発する可能性をできるだけ低くするため、薬物療法を行います。乳がんの場合には、国際的な薬物療法のガイドラインが2年ごとに出されています。しかし、現在行われている標準治療も完全なものではなく、さらにより良いものにするために、新しい治療法の開発が行われています。

当院では、ホルモン療法、化学療法いずれもガイドラインに則り、それぞれの患者様の状態、希望に適うよう行っています。

副作用等に関しても、ガイドラインに則り適切に対応させていただいております。

放射線治療

乳がん領域における放射線治療には、大きく分けて下記の3つの目的があります。

1)乳房温存手術後の、温存した乳房への放射線治療


2)進行乳がんに対する乳房切除後の放射線治療


3)転移、再発乳がんに対する放射線治療

当院には、これらの治療に対応できる施設基準を満たした放射線治療装置と、放射線治療専門医が在籍しており、乳腺外科での手術療法、化学療法と併せて、集学的な治療を受けることができます。

治療装置にVarian社のTrueBeam STxを導入し、強度変調放射線治療(IMRT)などの高精度治療を極めて短時間に、かつ高精度で行うことが可能となりました。

治療は放射線治療科にて放射線治療専門医と専門技師により行います。

  1. 乳房温存手術後の放射線治療について現在では、腫瘍の大きさが3cm以下の乳がんにおいては、積極的に乳房温存療法(乳房と乳頭を残して乳がんを切り取る手術)が試みられています。また乳房温存手術においては手術後の放射線治療により乳房内の再発が約1月3日に減少することが証明されています。現在までに乳房温存手術後に放射線治療を省略してもよい条件ははっきりとわかっておらず、放射線を当てる側の腕が上げられない、妊娠中や膠原病にかかっている、既に同側の乳房に放射線を当てたことがある、等の特殊な事情がある場合を除き、原則として乳房温存手術を受けられた患者様全員に、温存した乳房への術後放射線治療をお勧めしています。

    具体的な治療手順としては、手術終了後、手術創が治癒し、摘出標本の病理診断結果が判明した後(術後補助化学療法が必要な場合は化学療法終了後)、放射線治療科を受診し、治療計画を立てます。通常は温存した乳房全体に、総線量50グレイ(グレイとは放射線量の単位)を25回(平日5日間、合計5週間)にわけ、1回線量2グレイ照射します。1回の照射時間は1分程度で通院の時間以外は通常の生活が可能です。毎日照射することでがん細胞が次第に少なくなっていき、途中に長期の休みを入れると放射線治療の効果が薄れます。数日程度の休みは問題ありません。

    さらに、病理診断結果の所見によっては、切除前に乳がん病巣があった場所に追加照射(ブースト照射)を行う場合があります。
  2. 進行乳がんに対する乳房切除後の術後放射線治療
    近年になり、乳房切除術(乳房を全て切除する手術)の後でも、胸壁やリンパ節などから再発の危険性が高い場合は、抗がん剤やホルモン療法に加えて、術後に放射線治療を行った方が良いということがわかりました。

    具体的には、再発の危険性が高いとされる、わきのリンパ節の4個以上転移があった患者様や、腫瘍が大きかった(5cm以上)の患者様では、抗がん剤やホルモン療法の他に放射線治療を行うことで再発のリスクを下げることができます。

    治療は、手術終了後、手術創が治癒し、摘出標本の病理診断結果が判明した後(術後補助化学療法が必要な場合は化学療法終了後)、放射線治療科を受診して頂き、治療計画を立てます。腫瘍があった側の胸壁と鎖骨上窩に総線量50グレイ(グレイとは放射線量の単位)を25回(平日5日間、合計5週間)にわけ、1回線量2グレイ照射します。1回の照射時間は1分程度で通院の時間以外は通常の生活が可能です。
  3. 転移、再発乳がんに対する放射線治療乳がんの脳転移、骨転移、局所再発(胸壁、リンパ節)に対して、放射線治療を行う場合があります。脳転移に対しては2つの放射線のかけ方があり、1つは全脳照射といって、脳全体に放射線をかける方法、もう一つは定位照射といって、病巣のみに放射線をあてる方法です。治療には通常の放射線治療装置に加え、ガンマナイフと呼ばれる装置を使います。

    全脳照射の場合、病巣の状況に合わせて1回線量2~4グレイを5~10回照射します。また定位照射(ガンマナイフ)の場合は通常1回の照射で済みます。

    骨転移に対しては、ホルモン療法、抗がん剤治療などの全身療法に加え、ゾレドロン酸やRANKL抗体による治療を行います。さらに大腿骨頚部、腰椎、胸椎、骨盤などに体重が加わる部位に溶骨性転移(骨が溶けて弱くなり骨折の危険性がある)がある場合や、痛みの伴う骨転移の場合は、放射線治療が有効です。治療は病巣の状況に合わせて総線量を分割して照射します。

    局所再発(胸壁、リンパ節)に対しては、全てを摘出可能であれば手術療法も選択肢に上がりますが、不可能な場合はホルモン療法、抗がん剤治療などの全身療法に加え、再発した病巣部分に集学的治療の一環として放射線治療を行います。病巣の状況に合わせて総線量を分割して照射します。

~照射線治療に伴う副作用について~

乳がん手術後の乳房や、胸壁に行う照射線治療に伴う副作用としては、皮膚炎、倦怠感、放射性肺炎などがあります。皮膚炎はほとんどの患者さんで照射した部位に限られて見られますが、重篤なものではありません。その他、頭髪の脱毛や吐き気、めまい等はなく、白血球減少もほとんど起こりません。かつては心臓に放射線があたってしまうことにより心筋梗塞などの病気が心配されましたが、現在では放射線治療の技術が高まりほとんど問題になりません。

脳転移に対する全脳照射の場合は、だるさ、むかつき、食欲不振、頭痛等の副作用が生じる場合もあります。しかし照射が終われば副作用もほとんど消失します。照射により頭髪は抜け、生えそろうまでに数カ月かかります。

緩和ケア

緩和医療というと終末期の医療と考える患者様が多いのですが、早期より患者様とご家族に対して、身体的・心理的・社会的な問題に関して評価をした上で対処する事により、QOL(生活の質)を改善していく事が目的となります。

当院では、乳腺外科と緩和ケアサポートチームが比較的早い段階から連携し合い、患者様の苦痛をできる限り取り除く事ができるよう取り組んでいます。

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