千葉市立加曽利貝塚博物館 > 調査研究 > 調査 > 令和元年度 発掘調査日誌
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更新日:2020年12月12日
先日11月30日(土)に開催された発掘調査現地説明会の様子をご紹介いたします。
当日は天候に恵まれ、約800人の見学者が訪れました。
発掘調査の現地説明会にこれだけ多くの方が来場されるのは珍しく、加曽利貝塚への関心の高さが窺えます。
出土した土器や土偶を見学できるエリアでは、顔を近づけて、細かな文様や特徴を観察している方も多く、今から数千年も昔の遺物とは思えない繊細さに、感心している声が聞こえました。
発掘現場は今後埋め戻し作業を行い終了します。今週中はまだ発掘現場の様子を外から見学可能ですので、ぜひご覧ください。
明日は発掘調査現地説明会を開催します。
いまいちど現地説明会のご案内をしたいと思います。
明日は10時から12時(受付11:30まで)と、13時から15時30分(受付15:00まで)の時間で実施します。この時間内にお越しいただければ、順次解説をお聞きいただけます。事前申し込みは不要です。
こちらの写真は昨年の現地説明会の様子です。同じように発掘調査現場のすぐ近くで、職員による解説を聞くことができます。
現地を見学したあとは、博物館横のテントに移動し、出土遺物をご覧いただけます。
今年度出土したこのような遺物と併せて、昨年・一昨年の発掘調査で出土した資料も展示予定です。
明日の天気予報は晴れのようですので、ぜひこの機会に足をお運びください。
また、夕方からは縄文の夜の暮らしを体感できる「ナイトミュージアム」を開催します。
ナイトミュージアムトークでは、普段開放していない博物館の屋上をご案内するとともに、星空解説会と観察会、貝塚コンサート(JAZZ演奏)、音と踊りと映像による野外インスタレーション「縄文ルネッサンス」など、盛りだくさんの内容でお届けします。16時からはグルメの販売も行いますので、現地説明会とあわせてお楽しみください。
詳しくは → 発掘調査現地説明会とナイトミュージアムの開催について
本日は午後から雨もあがり、今週末開催の現地説明会の準備をおこないました。
さて本日の日誌では、調査で発見された人骨をご紹介します。
写真中央にまとまっているのが頭蓋骨です。この人骨は、昭和39(1964)年の発掘調査の際に一度発見されていた人骨で、取り上げずに埋め戻されていました。
今回の調査で改めて出土したのですが、新たに発見された縄文時代中期の竪穴住居跡の床面付近から発見され、いわゆる「廃屋墓(はいおくぼ)」であることがわかりました。
本日の発掘作業は雨天のため中止となりました。
雨天による中止は作業が進まないため辛いところです。
さて本日は日誌ではまだ公開していなかった遺物についてご紹介します。
黒色土中より出土したミニチュア土器です。大きさは直径5cm程度で、小さなお椀形をしています。どんな目的に使用したのか想像が膨らみます。
来週末の11月30日(土)には、これらの遺物をみることができる「発掘調査現地説明会」を開催します。
詳しくはこちら!(別ウインドウで開く)
大型住居跡も柱穴の発掘まで進んでいます。
前回の日誌にもある通り、焼けた土の部分を掘ると炉が発見されました。さすが大型住居だけあって、炉も通常の竪穴住居に比べて大きい印象です。炉の底面は焼けた土で赤くなった部分と、炭化物で黒くなった部分が確認できます。
今月末には調査成果を間近で見学できる説明会を実施しますので、ぜひ足をお運びください。
詳しくはコチラ→「発掘調査現地説明会」
大形の住居跡の発掘を進めています。
調査区中央部にある縄文時代の晩期の大形住居跡の発掘も次第に下方に進み、縄文時代の生活面(床面)と壁面の検出を行っています。焼けた土も出てきており、炉の跡になりそうです。
本日の発掘調査は雨天のため中止となります。
さて、調査区北西部の縄文時代の後期から晩期の遺物を大量に含む黒色土の発掘もだいぶ進んできました。
そのような中、黒色土の下部から石製装身具がまた見つかりました。
大きさは長さ3㎝、幅1.7㎝を測ります。先端は細くなり、勾玉状に少し曲がっています。色は緑色をしており、ヒスイかもしれません。
硬い石なのに、きれいに穴があけられており、技術の高さに感心させられます。
縄文時代晩期の大形の住居跡の壁際において、土で作って焼いた長方形の板状の遺物が出土しました。土版と言います。縄文時代晩期の遺跡でしばしば出る遺物です。
表面の中央には線で渦巻状の模様を描き、その周りには弧線が配置されています。
出土したものは大人の手のひらに入るような大きさのもので、護符のようなものと考えられています。
台風19号が接近し、今後雨と風が強まることが予想されるため、テントをたたんだり、出土している遺物を取り上げて収納したりするなど、台風対策を実施しました。
先日の調査で、かわいらしい土偶が出ました。
調査区西部において、縄文時代後期から晩期の遺物を含む黒色の土の上面を掘り始めたところ、全長約6㎝、横幅約4㎝の小型の土偶が出土しました。
頭の上半分と右足の一部は欠けていますが、それ以外はほぼ完全な形で残っており、これまで加曽利貝塚で出土した土偶の中でもっとも残りが良いものと言えます。
両手は左右に広げ、足のサイズは大きめでどっしりと安定感があります。
下半身には細い線が刻まれていて、パンツをはいているように見えます。
胸の2つの乳房があること、お腹が膨らんでいるところは妊娠した女性を表現しており、多くの土偶に共通した特徴と言えます。
子宝に恵まれることを願ったのでしょうか。
○石でできた装身具の発見
調査区北西部の縄文時代後期から晩期の遺物がたくさん含まれている黒色の土を掘り下げていたところ、長さ3㎝、幅2.5㎝ほどの石でできた装身具が発見されました。
表面はつるつるに磨かれていて、上端には刻みによる装飾が施されています。
下端は折れてしまって無くなっているのですが、曲がっているので、全体としては鈎状ないしは勾玉状の形をなしていたようです。
また上方には小さな孔が貫通してあけられており、紐を通して身につけていたかと思われます。
色は薄緑色気味の白色といったところです。
小型ながら重量感があり、割れていなければ…と惜しまれます。
ヒスイの可能性もあるので、発掘が終了したら、材質を分析してみたいと思います。
北西部の黒色の土を掘っていたところ、直径6㎝ほどの丸い遺物が出土しました。
浅いお椀のような形をし、表面はつるつるに磨かれています。中に液体を入れてもたいして入らないので、伏せて使ったもの、つまり土器の蓋(ふた)と思われます。
よく見ると一端(写真の上方)に直径1㎜ほどの穴があいています。細い紐を通して土器と結び、開けたり、閉めたりするのに使ったのでしょう。
それにしても縄文時代にこの穴に通る糸のような細い紐があったのかと考えると驚きです。
発掘調査区内には地表下30㎝から60㎝にかけて縄文時代後期の終わり頃から晩期にかけての遺物を多量に含む黒色の土があります。
8月から9月前半にかけては中央から北東部において黒色の土を掘り、さまざまな遺物が出土しましたが、北東部の黒色の土はほぼ掘り終わりました。
そこで黒色の土の発掘の主体を調査区北西部に移しました。
調査区北西部は下に貝層が埋まっているので、黒色の土を掘り下げたところ、その下から貝層が現れてきました。
写真で白く見えるのが貝層です。
これは縄文人が海から採ってきて食べた貝の殻を捨てたものですが、一緒に捨てたシカやイノシシの骨もぽつぽつ出土しています。
○寄生虫の分析
縄文人は何を食べていたのか、縄文時代のトイレはどこにあるのか?
このような疑問は多くの方が抱くことと思います。
この疑問に答えられる可能性がある分析として寄生虫分析があります。
本日、遺跡出土の寄生虫を分析している研究者の方が遺跡に来られ、土のサンプル採取が行われました。どんな結果が出るか楽しみです。
○早稲田大学による調査終了
早稲田大学考古学研究室による考古学実習と貝層のレーダー探査調査は今週末で終了しました。
皆様には、フィールドワークの時間を割いて台風直後の園内の落枝等の撤去にご協力いただきました。ありがとうございました。
実習、お疲れ様でした。
○台風通過後の復旧
台風15号通過後の発掘現場の写真です。
調査区周囲を囲むオレンジ色のネットフェンスが強風で傾き、調査区脇にあった大木の枝が折れ、樹木の折れた小枝や葉っぱが調査区内に散乱していました。
フェンスの傾きは直し、大木の折れた枝は除去し、小枝や葉っぱをかき集めて清掃しました。
一日で何とか元に戻すことができました。
○早稲田大学考古学実習後期班の発掘で土偶発見
後期班の発掘がはじまりました。
後期班は縄文時代後期やそれに後続する晩期という時期の遺物が出る場所を調査していますが、後期班の発掘エリアで土偶の顔が発見されました。
丸い顔の中央に鼻がつけられ、その両脇に丸い目、さらにその外側の耳の部分には丸い耳飾りがはめてあります。その顔の表現がフクロウに似ることからミミズク型土偶と呼ばれています。
土偶は過去3年間の発掘でも数点しか出ておらず、希少なものですが、本品はそれらの中でも顔の
表現がもっともよくできています。
ちなみにこの土偶は学生が掘って出たものではなく、台風の雨で表面の土が流れて出たものです。
早稲田大学考古学研究室の皆さんは2班に分かれて実習を行っており、前半の実習生と入れ替わりに本日から後半の実習生が加曽利貝塚を訪れています。
前半組の皆さんには縄文時代に堆積した黒色の土を発掘してもらい、縄文時代後期の終わり頃や、それに後続する晩期という時期の遺物が多量に出土しました。
8月31日の日誌で奇妙な縄文土器の出土を報告しましたが、そのすぐ近くの土の中から、小型の縄文土器、凹みのついた石器、土偶の足などが出土しました。
その中の小型の土器は高さが8㎝ほど。
ひょうたんのような形をし、表面には遮光器土偶の目のような模様が描かれています。液体を注ぐ土器のようですが、注ぎ口がとれてしまっていました。
注ぎ口が付く土器はふつうはもっと大きな形をしているのですが、この土器は小型で、珍品と言ってよいでしょう。
大形の住居跡の発掘については、住居跡の南半分を調査していますが、その中の東側半分は、深さ1.4mほどに掘り進みました。
住居跡の中に堆積している土を見るため、土の断面の写真を撮影しました。上3分の1は黒色の土、下3分の2は黄色の土が堆積しています。
そして最下部にまた黒っぽい土がたまっています。人が生活していた部分は有機物がたまるので黒くなることがあり、この最下部の黒っぽい土があるあたりが縄文人が生活していた深さと思われます。
8月29日から、早稲田大学考古学研究室の皆さんが加曽利貝塚の調査に訪れています。
9月1日には実習生6名と大学院生2名が発掘に参加し、調査区の北西側の2区画を担当してもらいました。
写真はジョレンという道具を使って土の表面を精査しているところです。若い力に期待です。
また、ベテランの作業員さんたちによって大形住居跡の調査の作業が進められました。
住居跡の中に堆積した黄色っぽい土の中から大きな土器片が出土したので、同じ深さでその周囲を掘り広げてみました。そうしたところ、土器がさらにたくさん出てきました。足の踏み場もないほどです。
縄文時代晩期のある時、ここに土器が大量に捨てられたようです。
土器を一時期に大量に捨てたのには、何か理由があったのでしょうか?
いよいよ8月も最後の日となりました。
調査日誌の更新がなかなかできませんでしたので、今日はいくつかをまとめてご紹介します。
○大形住居跡の調査
住居跡の掘り込みの中に堆積した黄色っぽい土を掘っています。
住居跡の壁の近くで大きな土器片がまとまって出てきました。この住居に住むのをやめ、別の住居に引っ越した後、この住居があった窪地が捨て場となり、壁の近くに土器をたくさん捨てたようです。
○縄文時代の遺物を多く含む黒色の土の発掘
調査区のほぼ中央付近で黒色土を掘りました。
ご覧のように土器がたくさん出土しています。
縄文時代の後期という時期の遺物と、その後の晩期という時期の遺物が混ざって出土しています。
その遺物の中に、奇妙な土器がありました。
筒のような形をしていますが、上端部が開いており、土器の下半部は膨らんでいます。
土器の模様からすると縄文時代の終わりに近い晩期に作られたものです。下半部が割れてしまっているのが残念ですが、珍しい土器なので、修復すれば博物館で展示できそうです。
○貝層の調査
調査区の北側では縄文時代の遺物をたくさん含む黒色の土を掘っていますが、この付近には貝層があります。
写真で白く見えるのが貝殻です。貝層の調査はもう少し先になりますが、まずは貝層の上に堆積した土を取り除き、貝層の広がりを確認していきます。
連日猛暑がつづいていますが、みなさま体調は大丈夫でしょうか。発掘現場の作業は休憩をこまめに取りながら順調に進んでいます。
表題にも書いたとおり、13日(火)から16日(金)の期間はお盆休みのため発掘調査は休止となります。再開は8月17日(土)からです。
休止中でも写真のように現場の様子はご覧いただけますが、日差しによる発掘面の乾燥を防ぐため青いシートを被せています。
なお博物館は13日(火)をのぞいて通常通り開館しております。
しばらく天気の悪い日が続いていましたが、関東もついに梅雨があけ発掘現場の暑さも厳しくなっています。
そんな発掘現場からはひさびさに面白い土器が出土しました。
最大幅約5.5cm、高さ約4cmのミニチュア土器です。上部が欠損していますが、下部の残りは良く、小さいながらも丁寧に作られており、大切に扱われていたことが窺えます。
同じ土器を上から撮影したものです。手前に小さな穴があいているのがわかるかと思います。
よく観察すると反対側にも同じように穴があいており、対となる位置に穴があいています。
このミニチュア土器はどういった目的で作られたものなのか、想像が膨らみます。
本日の発掘調査は、雨天予報のため中止となりました。ご来館の方はご注意ください。
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さて、ここ数日は梅雨のジメジメとした空気の中が続いていますが、昨日はそんな嫌な空気も吹き飛ぶような発見がありました。
今年も出土しました、耳飾!!!一昨年・昨年に引き続いての出土です。
ただし、本日出土したこちらは、これまでのものに比べるとシンプル!筒状に成形した粘土の中心を窪ませただけの装飾のないものです。大きさは直径1.9cm、長さ1.5cm。これまでのものが直径5cmほどでしたので、だいぶ小さいものになります。
まだ発掘調査ははじまったばかりですが、さっそく興味深いものが出土し、今後も目が離せません。
今日は、測量に必要なデジタル画像の撮影日でした。長尺棒の先にデジカメを装着し、タブレットによる遠隔操作で撮影します。いずれ公開しますのでお楽しみに。
また、14時から調査員による現地解説が行われ、約30人の方々が熱心に話を聞いていました。
続いて、ふるいがけ体験を実施。貝や土器片を見つけては歓声が上がっていました。
本日の発掘調査は雨天のため中止となります。
本日の発掘調査は雨天のため中止となります。
本日の発掘調査は雨天のため中止します。
本日の発掘調査は雨天のため中止します。
なお、博物館は通常通り開館しています。
本日の発掘調査は雨天のため中止します。
本日より特別史跡加曽利貝塚の令和元年度の発掘調査を開始しました。
まだまだ作業的には準備段階ではありますが、初日の今日は現場で記者のみなさんを対象とした説明会をおこないました。
日々加曽利貝塚の案内をしてくださっているボランティアガイドのみなさんも、新しい発見に期待を込めて熱心に耳を傾けていました。
博物館手前の園路には、案内看板を設置しています。日・月・祝祭日・雨天時を除いて発掘は毎日おこないますので、ぜひ足をお運びください。
この日誌も随時更新していきますので、併せてチェックをお願いします。
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