
稲毛地区、国道14号線から少し入った高台にある『千葉市ゆかりの家・いなげ』。
昔は海岸線だった国道14号線。この旧家は海を見下ろす家だった。埋め立ては進んだが、海を見つめていることは今も変わりない。
楢橋氏の作品は、千葉市を独自の目線で切り取ったもの。
大きく開いた窓から中庭越しに見える千葉市の景色と相乗効果を成す。
会場には普段の展示物があり、それとの分離のために、和室2部屋分の長い壁面を設置。
外側が楢橋展、裏側が既存展となる。
部屋の境界と縁側手前の障子の桟に、障子一見幅の鏡板(両面)をいくつかはめこむ(鏡面にも展示可能)。
中から外を見るときに、千葉市を借景に鏡に映った展示作品を重ねることができる。またゲスト自身も映り込み、新しい景色が生まれる。
桟に嵌めた鏡はスライド可能であり、天気や時間帯によって日々位置を変え、最も効果的な演出を探れる。
部屋の境界に設置した鏡は、空間の奥行きを無限に感じさせる錯覚を生む。


洋間は、窓のない2面に黒い展示壁を設置。
縁側から出入りする。

庭に立って建物側を見る。
鏡に景色が映り、その奥に展示壁面見え、両者の相乗効果が美しい。

茶室はできる限りそのままの佇まいを残した上で展示する。
床の間を挟んで右の障子戸をミラーに変える。
左の襖を黒壁に変える。
向き合った両者がお互いを引き立てる。




















