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更新日:2019年11月21日

インフォームド・コンセントガイドライン

Ⅰ 目的

インフォームド・コンセントは一般に「説明と同意」と訳されているが、本来は「説明を受け(理解し)た上での同意」が正しい。すなわち医療者側は十分な説明を行い、一方患者側はそれを十分理解した上で自由意志に基づいて同意をするということが本来の意味である。このガイドラインはその過程が正しく行われることによって、医療者および患者の相互理解が深まり、共通認識のもと協力して医療が行われるようになるために作成したものである。すなわち当院の基本理念に謳われた「わかりやすく納得のいく医療」が確実に実践されることが最終目的である。

Ⅱ 対象

1 医療行為
ほとんどの医療行為は患者の精神および身体に何らかの侵襲を与えるものであるが、その程度は各々の医療行為によって様々である。当院ではほとんどすべての医療行為を以下のように4つのカテゴリーに分類し、カテゴリーごとに取るべき手順を定めている。
各カテゴリーに含まれる医療行為はこちらで参照できます。

カテゴリー1(別ウインドウで開く):口頭の説明のみを行い、同意も口頭のみでよいもの。
侵襲がごく軽度で、従来から口頭の説明のみで同意を得ており、その手続きが社会通念上も許容されるもの。ただし、その医療行為の必要性や同意を得た旨など、必要最低限のカルテ記載は行うこと。

カテゴリー2(別ウインドウで開く):口頭の説明に説明文書を追加するが、同意は口頭のみでよいもの。
侵襲は軽度で重大な副作用や危険性は少ないが、患者理解を深めスムーズに施行するために、文書での説明を追加したほうがよいもの。

カテゴリー3(別ウインドウで開く):口頭の説明に加えて所定の説明書を用いて説明し、文書で同意を得るもの。

カテゴリー4(別ウインドウで開く):口頭の説明に加えて、個々に説明書を作成し、文書で同意を得るもの。詳細な説明書を添付できればよりよい。

2 対象者
① 患者本人が同意能力を有する成人の場合には、当然本人に説明し同意を得る。ただし、親、兄弟、子、成年親族あるいは代理人などで患者本人が指定した第三者の同席が望ましく、そのように勧めるべきである。患者本人に本人以外への説明を望まない意志が強い場合には、その旨をカルテに明記しておく。尚その場合であっても、担当医が本人または家族等の生命、身体または財産の保護のために必要であると判断する場合であれば、家族等へ説明することは可能である(個人情報保護法第23条第1項第2号に該当)。また、同席できる適当な人物が居らず、その結果本人のみへの説明となる場合にも、その旨をカルテに明記する。
② 患者本人の理解力が不十分で、意思決定能力に乏しく、合理的な判断ができないと判断された場合には、親、兄弟、子、成年親族あるいは代理人などに説明し同意を得るよう努める。
③ 患者が未成年の場合、親(親権者)もしくは他の成年親族または代理人に説明し同意を得るように努める。また患者本人にも医療行為の理解が得られるよう発達段階に応じた説明を心掛ける。患者に十分な理解力と意思決定能力を有していれば、本人に直接説明し同意を得てもよい。ただし、親(親権者)もしくは他の成年親族または代理人の同席が望ましい。その他①に準ずる。
④ 患者に意識障害、精神障害などで同意能力が無く、親族や代理人も同席していないが医療行為に緊急性がある場合は、とりあえず親族や代理人に電話などで説明し同意を得る。事後に改めて詳しく経緯を説明すること。
⑤ 患者に同意能力が無く、連絡のつく親族や代理人もいない場合には、倫理的配慮に基づいて複数の医療者が協議し、最善と思われる医療行為を行う。またその旨をカルテに明記する。

Ⅲ 具体的な実施手順

1 説明の時期
① 初診時
その時点で確定した内容(検査所見や予想される病名など)およびその後の方針などを説明し、同意を得る。
② 治療方針がほぼ決定した時
治療方針を説明し同意を得る。病状の変化に応じて治療方針が変更になれば、その都度説明する。
③ 入院時
入院治療の必要性、入院後の治療計画などを説明する。入院診療計画書を作成し、7日以内に患者に交付する。入院の目的(治療方針)が大幅に変更になった場合や転科(≒治療方針の変更)した場合には、新たに入院診療計画書を作成し交付する。尚、ごく短期の入院で書類の作成・交付が間に合わなかった場合にはその旨カルテに明記するが、書類は完成させること。
④ 実施する手術・処置などの具体的な内容が決まった時
ほぼ上記カテゴリー4に該当すると思われ、口頭の説明に加えて個々に説明書を作成し、文書で同意を得る。説明書と同意書は医療者側と患者側の双方がそれぞれ保管する。
⑤ 退院時
退院可能となった理由やその後の方針についてわかりやすく説明し、患者側が納得して退院となるよう努める。

2 説明の場所
外来診察室、病棟の説明室などプライバシーの守られる場所で行うよう努める。

3 説明の担当者
原則として、その医療行為を実際に行う医療者が説明を担当する。それだけでは十分な理解が得られにくい場合には、必要に応じて上席者が同席するかもしくは改めて面談を設定し追加の説明をする。実施する医療者に何らかの都合があり直接説明出来ない場合には、代理人が説明することもやむを得ないが、説明した内容は必ず実施者にも伝える。

4 説明の同席者
患者側は親、兄弟、子、成年親族あるいは代理人など第三者の同席が望ましい。同席者は患者本人の信頼があり、同席に同意すれば原則誰でもよい。一方、医療者側もできるだけ同席者(看護師など)を設けるよう努める。

5 説明の内容
① 予定する医療行為の種類や具体的名称。
② 現在考えられている病名、病状および今後の予想。
③ ①で示した医療行為の実施予定日時や期間。未定の場合はその旨を。また、日時が決定したら速やかに追加説明を加えること。
④ ①で示した医療行為の具体的内容、必要性、得られる効果や結果など。
⑤ ①で示した医療行為により予想される合併症や危険性。
⑥ ①で示した医療行為に代わる方法の有無。ある場合にはその内容。
⑦ ⑥で示した方法によって得られる効果およびその程度の差。また①で示した方法と比較した場合の利点と欠点。
⑧ 医療行為を実施しなかった場合に予想される結果。
⑨ ①で示した医療行為を受けるにあたって、患者側要望の有無。あればその具体的内容。
⑩ その他。①~⑨以外の内容で、患者側に伝えたほうがよいことなど。たとえば①で示した医療行為で得られる効果や結果に影響をおよぼす可能性がある患者側の要因・問題点(高齢、肥満、糖尿病、低栄養、喫煙歴、併存症など)。
⑪ 最終的な決定権は患者側にあること。たとえ同意しなかったとしても不利益を被ることはないこと。同意はいつ撤回してもよいこと。セカンドオピニオンを希望することができること。

Ⅳ 手続き上の注意点

1 患者側の理解度が上がるように、説明の際には専門用語の使用はできるだけ避け、平易な言葉で説明するよう努める。また図や模型を用いることも推奨される。説明文書を渡す場合には、必ず口頭でも説明し重要な部分には下線を引いて強調することなどを加える。
2 患者側に意思決定までの十分な時間を与えるために、説明直後に同意書に署名を求めることは避ける。一旦書類を預け、改めて同意書を提出してもらうよう努める。
3 家族が本人へは告知せず家族のみへの説明を求めた場合には、患者の病状などは患者本人の個人データであり、それを第三者に提供する時には原則として本人の同意が必要であることを説明し、あらかじめ本人の同意を得るよう説得する。一方、本人または家族等の生命、身体または財産の保護のために必要であると判断される場合であれば、本人の同意が無くとも家族等へ説明することは可能である(個人情報保護法第23条第1項第2号に該当)。


(改訂 令和元年8月5日)

 

 

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