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更新日:2022年1月19日

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第1回 千葉市美術館 館長 山梨 絵美子さん

(区長)
今日は千葉市美術館に山梨館長をお訪ねさせていただきました。館長、よろしくお願いいたします。
本来はここで館長のプロフィールをご紹介するところですが、インタビューの時間が限られていますので、プロフィールにつきましてはこちら(PDF:294KB)をご覧ください。

 「歴史」、時間の層が文化を感じさせる

(区長)
それでは早速ですが、これからのまちづくりでは「文化」や「アート」というものもキーになっていくのではないかと思っています。今策定している市の基本計画案の中央区のまちづくりの方針でも、「人々が行き交い にぎわいと文化を生み出すまち」を掲げています。館長はその辺りについてどのようにお考えになるのか、まず最初にお聞かせいただけますでしょうか。

(山梨館長)
鈴木博之さんという東京大学の建築史学の先生だった方が、時間の層の蓄積がその場所で見えるというのが、その土地の魅力であって、その場所の文化を感じさせるとおっしゃっているんです。
私は、「千葉」のこの場所においてもそうだと思っていて、「千葉」という街は比較的古いものを残そうとしていると感じています。ただ、それを大きなデザインの中で、有機的に絡める形での活かし方がまだ出来ていないのではないかと思っています。区として、市としてかつてあったデザインを折りたたみながら、その古いものの一つひとつが生きてくるというか、つながっていくと言うような、そういうことが重要なのではないかと思うんです。

 千葉市美術館があるこの辺りも、都川、そして亥鼻城があって、かつての水運を思い起こさせる石屋さんもありますよね。吾妻橋、大和橋があって、そして吾妻町から河口まで至るといったまちづくりがあったわけです。
それが今、中央何丁目になってしまっていて、吾妻町っていう名前ですとか、「蓮池」という名前を今でも守っていらっしゃる方たちはいるんですけど、それがどういう意味なのかが外から来た人にはすぐ伝わらない。そこがもったいないと思うんです。
いくつか石碑みたいなのが建ってはいるんですけども、こういう歴史があることを、旧町名などを手掛かりに歩きながら分かる仕組みがあれば、もっと面白いと思います。

 

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(区長)
街を残そうという考え、意識は以前からあるのですが、まだ連続性に若干欠けているところがあるのは確かかと。これまでに街を変えていく中で、ある意味「薄れて」しまっている部分も出てきているのかなと思います。
吾妻町や、特に「蓮池」の皆さんなどは、昔のたたずまいを何とか復活できないかと色々取組みをいただいていますが、今、私どもの都市局が行っているウォーカブルな街をつくろうという取組みなどとも、今みたいなお話しをつなげていけないかなと思いました。

    さや堂 

(館長)
美術館はそういう歴史的な文化の部分を発信できる場所だと思っていますので、街がうまく歴史を感じさせるようになってくださったら、展覧会との調和もうまくとっていけるかなと思いますし、「さや堂」での色々な、もっと歴史を感じさせる賑わい、イベント的な事も一緒にできると思います。

(区長)
因みに、館長がお考えになる、「ここ、文化とかアートとかそういうものを感じるよな」という街って、思いつくところはどこですか?

 

 

(館長)
それぞれの街、その場所の歴史で色々な創りこみがあって良いと思うんですけども、例えば上野のあたりですね。いわゆる谷根千という下町。
北千住の辺りも千住大橋から日光街道に行くところがずっと街道沿いの問屋街だったそうで、まだ旧家が残っていて、ここに旧家があったという札が立っているんです。その通りはまだ賑わいがあって、あまり大きいスーパーなどが入っていなくて、割と小売業がまだ元気なんですよね。そういうところが賑わっていて、千住なりの歴史を感じると思っています。

(区長)
千葉県の海沿いでも、やはりかつての千葉街道(房総往還)は昔っぽい雰囲気を漂わせているところもありますが、確かにこの辺りまでは来てませんね。

 

「つなげる」「みえる」

(区長)
次に、実はもうすでにヒントをいただいてしまっているんですけれども、「千葉」の街で、さらに文化やアートの面で、「ここ何とかした方がいいんじゃないの?」とお感じになられているところがあるんじゃないかと思うのですが、如何でしょうか?

 

 

 区長&千葉市美術館長対談

(館長)
やはり、歴史ですよね。それをそれぞれの場所で分かるようにしていくとずっと魅力的になると思います。昔の地名を何らかの形でもう少し復活させて、そして、中世近世近代の街のプランが歩いて見えるような形を作ることが必要だと思います。それは地形とも連携しているわけですけれど、そういう形が歴史を感じさせるようになると思います。
点ではなく、もっと大きなデザインを見える形にして、そしてそれぞれのスポットになるところを、アプローチも含めて点ではなく線にしていく。それをそれぞれの場所でわかるようにしていくと、ずっと魅力的になると思います。

(区長)
線でつなげていくことで魅力を高めるというお話は非常によくわかります。「千葉」は古くから房総の交通の中心でしたので、外の部分を含めて色々な「つながり」はあったはずで、内も外も、「線」としてそういったものを活かしながら、土地土地を見つめなおしていくっていうことは、もっともっとやっていかなくてはいけないですね。

(館長)
 例えばスマートフォンで昔の写真が出てくるようにして、それを歩いてたどって行くっていうのも魅力があると思います。「ここからこっちに行くとここに行けます。」「あなたが今いるのは昔のここ」といったように。千葉の昔の写真をアプリなどで、拠点となる場所だけでもよいので見られたらもっと魅力的になると思います。そして、今の時代においては、多言語化をしていくということですね。そうするとますます・・・・。

(区長)
 それ、いいですね。ぜひ検討してみたいと思います。

 

 最初の市庁舎

 

にぎわいをつくる千葉市美術館の「千葉ならでは」

(区長)
今の「見える」のところと少しつながるのですが、田中一村の展覧会を千葉市美術館では2回開催、本当にたくさんの方々にいらしていただいています。一村の描いた里山の風景、あれは本当に「千葉」の里山の風景だし、それが今も「千葉」には現に残っているわけで、これを見られるよ、って言うだけでも違うと思うんです。
今、一村を出しましたが、千葉市美術館は本当に専門家の評価も高いし、私のような普通の市民にも面白く見ることのできる企画展を開催していて、我々の中央区じゃなく、千葉市が全国に、大げさに言えば世界に向けて誇れる施設だと私はずっと思っているんです。

(館長)
千葉市美術館は、コレクションの柱を立てるときにすでに「千葉ならでは」ということをかなり意識しているんですよね。「房総ゆかり」は勿論ですけれども、現代美術についても、当時、全国の美術館の中でそれほど大きい柱に立てているところは、まだありませんでした。そうした収集を続けるとともに、企画展も、東京がやらないもの、千葉ならではのものを意識してずっとこの25年やってきました。そういう蓄積と、それに対する評価をいただいていると思うんです。東京でやらないけれども、千葉だからできるということと、ここに来てもらうための魅力をどうやって作るのかを学芸員達がすごく考えて、内容が充実していて、どこでも見られる、というのではなく、千葉市美術館のこの展覧会でなければ見られない、ということを意識してやってきたことへの評価だと思います。
「千葉」のアイデンティティという意味で言うと、学芸員たちも「千葉」を意識して研究し、展示を企画し、美術資料等を収集してきているわけで、そこと歴史や民俗とか他領域が係わってくると、ますます中央区が魅力的なものになると思います。そして、具体的にこれが「千葉」のアイデンティティ、魅力だと、多くの人たちにも感じていただけるようになると、関連の施設と一緒に企画を行うといったことももっと出来てくるように思います。

(区長)
もっともっとお話しをお伺いしたいところですが、お時間が来てしまいました。
本日は本当にお忙しい中、お時間をいただいてきまして、ありがとうございました。いただきましたお話を参考にさまざまな取り組みを進めてまいります。

(館長)
私も美術館の賑わいをどのようにつくるかを、これからも、もっともっと考えていきたいと思います。

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