災害に備えて

 
IV 応急手当
 

反応も呼吸もない場合

◆心臓マッサージ

1. 準備

平らな場所にあお向けに寝かせ、救助者はそのわきで両膝立ちの姿勢をとる。

2. 圧迫

胸部の下半分に、片方の手のひらの手首に近い部分を当て、その上にもう一方の手のひらを重ねる。ひじを伸ばし、胸全体が4~5cm沈むように胸骨を押す。

小児の場合は片手又は両手を用い、乳児の場合は2本の指を当て、胸の厚さの3分の1程度沈むように押す。

3. 繰り返す

圧迫し終わったら、からだを起こし、手の力をゆるめる。この動作を1分間に100回のリズムで繰り返す。

◆心肺蘇生法の実施

30回の心臓マッサージと、2回の人工呼吸のサイクル(30:2)を繰り返す。

ポイント

●心臓マッサージ30回と人工呼吸2回のサイクルを、救急隊員が到着するまで続ける。
●もし、救助者が2人以上いる場合は、1人が119番通報し、もう1人が心肺蘇生法を行う。そして、心肺蘇生法を実施している人が疲れた場合には、他の人が代わって心肺蘇生法を続ける。
●もし途中で意識的な動作又は普段どおりの呼吸が見られた場合には、気道を確保しながら回復体位にする。

AEDについて

電気ショック(除細動)は、心停止前の心臓がブルブルと細かくふるえている状態の傷病者の救命に大変有効な手段です。この電気ショックを一般の人でも簡単に安心して行うことができる機器が「AED(自動体外式除細動器)」です。最近では 公共施設などに備えられていることも多くなっています。

AEDは傷病者の心臓のリズムを自動的に調べ、必要な操作を音声メッセージなどで指示します。

AEDを実施したら、成功・失敗にかかわらず、ただちに心臓マッサージを開始し、心肺蘇生を行います。心肺蘇生を再開して2分(心臓マッサージ30回と人工呼吸2回の組み合わせを5サイクルほど)たつと、AEDが再度「(電気)ショックの要・不要」を指示します。以後、この手順を救急隊員や医師に引き継ぐまで繰り返します。


ここで示した応急手当は、心肺蘇生法委員会から平成18年6月に示された「日本版救急蘇生ガイドライン」をふまえたものです。

これまでの救命処置から変わった点はいろいろありますが、「日本版救急蘇生ガイドライン」は、これまでの救命処置の方法を否定するものではなく、より良い方法を推奨しているものです。したがって、いざという場合には、これまでの方法であっても自信をもって実行に移し、救命に役立てることが重要です。