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更新日:2020年12月9日
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心の輪を広げる体験作文
中学生部門 優秀作品
「手話とカベ」
山田 悠生
(千葉大学教育学部附属中学校 2学年)
私の中学校には共生の時間があります。共に生きると書いて共生です。私は手話を学び皆に広めるというゼミでした。
私は手話なんて一つも知りませんでした。他の皆もそうです。最初は、基本の指文字や簡単なグリーティングを学びました。しかし、これらよりも大切なのは表情です。彼らは耳が聞こえません。耳が聞こえないということは自分の声も、発音もわかりません。声は相手の感情を読みとる一つの情報です。喋り方、声のトーン一つで相手にどのような印象をあたえるか、変わります。しかし、その声がわからないのです。ですから、自分の感情の相手に伝える他の手段を使わなければなりません。それが表情なのです。例えばニコニコしながら言う、「こんにちは。」と、ムスッとした顔で言う、「こんにちは。」では意味が全然違ってきます。それと同じなのです。他にも、障害のない人達とのカベを少しでもなくすように、口をパクパクさせながら話したりもしなければなりません。一言に「手話」といってもたくさんの工夫があるのです。
秋のある日、共生の遠足にいくことになりました。私達のゼミは、耳に障害を持つ人達の働くお店と、耳の不自由なお年寄りの人達がいる老人ホームに行くことになりました。しかし私はここに来て、今まで習ったことが本当に通用できるのかどうかと不安になりました。そんな不安な気持ちをかかえつつ、耳に障害を持つ人達に会いました。緊張と不安のせいで手の動きは小さく、表情も硬くなってしまっていた、自己紹介をしおえた私は、「失敗した…。」とおもわずつぶやいてしまうほど悪い結果でした。出だしからミスをし、自信をなくした私ははじの方で皆のうしろにかくれて話を聞いていました。そんななかで、いきなり私に話しかけてきてくれた人がいました。その人は17歳で一番中学生の私達に歳の近い人でした。手話初心者の私がしっかり読みとれるように、ゆっくり手話で話しかけてくれました。私はもう一度自己紹介をすると、指文字じゃない名字の表わし方をおしえてくれました。自分の手話がちゃんと伝わっているとわかった私はなんだか急に、自分に自信が持てました。それから、その人に好きな食べ物や色などを聞いて仲良くなれました。
他の人とも仲良くなりたいと思った私は、老人ホームにいたおじいさんに話しかけました。そのおじいさんはとても喜び、いろいろな言葉を手話でおしえてくれました。手話だけでは伝わらないところは筆談でおしえてもらったりもしました。いくらやネコなどの名詞や、うまいや歌うなどの動きを表す言葉をおしえてもらったので、最後には内容のある伝わりやすい手話を話せるようになりました。帰り際におじいさんが、「ずいぶんと上手になったね。またいつでもあそびにおいでね。」と、言われた時はとてもうれしかったです。
学校に帰り、共生の発表会をしたときは大成功でした。私達がやった内容は読み聞かせで、共生の発表会は、一般公開なので、小さい子でもわかるように、児童むけ文学の絵本にしました。そのせいか、小さい子でもとてもよろこんでくれました。
私はこの経験を通して、たくさんのことを学び、たくさんのことを考えました。一つは自信を持って行動することです。私は最初にミスを犯してしまってから自身がなくなってしまい、少しの間時間をムダにしてしまいました。失敗しても自信を持って行動することがとても大切です。もう一つは、カベをなくすことです。聴覚障害者の人達も、専用の職場だけではなく、自由に好きな場所、好きな仕事をする権利があると思います。聴覚障害者の職場専用の職場をつくっていることで、すでにカベをつくっているのだと思います。最後に、一番大切なのは理解する心だと思います。いくら障害者と一般人が一緒に働けたとしても理解する心がなければ何も変わりません。偏見を持たずに生きる世界を望みます。
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