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園長メッセージ(2021年1月分)

更新日:2024年3月11日

園長メッセージ(2021年1月分)

2021.1.20

こんにちは。

今回は叫ばれて久しい地球温暖化について取り上げます。
昨年10月に菅総理大臣が「2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指す」と宣言し、グリーン社会の実現に向けて環境関連分野のデジタル化による、効率的、効果的なグリーン化を推進する事を掲げました。
1988 年に世界気象機関(WMO)と国連環境計画(UNEP)により設立された、国連気候変動に関する政府間パネル:IPCC(Intergovernmental Panel on Climate Change)のこれまでの報告によると、陸域と海域を合わせた世界平均気温は、1880 年から2012 年の期間に0.85℃上昇しており、今後、極端な高温が増えることはほぼ確実で、熱帯や中緯度地域における大雨の頻度が増す可能性が非常に高く、降水量の多いエリアと少ないエリアの差の拡大や更なる海面上昇を指摘しています。また、現状を上回る温暖化対策を取らなかった場合は、20世紀末頃(1986年~2005年)と比べて、21世紀末、すなわち2100年には平均気温が2.6~4.8℃上昇すると予測しています。地球温暖化には人間活動が95%以上影響していると言われており、産業革命が始まった1750年以降、温室効果要因の筆頭である二酸化炭素(CO2)は増え続け、大気中の濃度は1750年度比で40%増加し、これにより海洋の酸性化も進んでいます。
地球温暖化により起こる気候変動は、我々の生活のみならず、自然環境や地球上の生命に及ぼす計り知れないリスクを有しています。たとえば、平均気温が1~3℃上昇することで絶滅危機にさらされる野生生物は、世界全体の野生生物種の30%、4℃以上の上昇の場合は40%以上となるとの予想もされています。2020年以降の国際的枠組みである「パリ協定」では、「世界共通の長期目標として平均気温上昇を2℃未満に抑える」ことが採択されていますが、様々な検証データや予想から見れば現状の深刻さがわかります。取り返しのつかない状況を後世に引き継がないための様々なエコアクションが具体的になっていますし、これからもいろいろな枠組みでの施策推進で新たな成果が生まれてくると思います。肝要なのは、一人一人がこの問題に折に触れて向き合い、普段の生活でできる事に、より一層取り組むことでしょう。
「生きた動物の展示を通して、“共生”や野生動物を含む自然環境、ひいては地球全体を守る事へと人々の関心を向かわせる機会を供する場」が動物園の社会的な役割の1つであると、これまでも述べてきました。当園では以前からご紹介しておりますように、動物とご来園者にとっての、自然にも優しい環境づくりについて、木更津高等専門学校様や東芝キヤリア(株)様と実証実験に取り組んでいます。この度、東芝キヤリア(株)様と取り組んでいる「井戸水を利用した屋外空調装置」が、東芝のデジタル広報「Toshiba clip」で紹介されました。

dekki

2021.1.15

こんにちは!
今年は丑年。当園にはウシはいませんが、その歴史や特徴、当園にいるウシ科の動物たちについて少し触れておきましょう。
今から約1万年前に始まったとされる野生原種の家畜化。オオカミからイヌが、次いで野生ヤギ(ベゾアール,マーコール)や野生ヒツジ(ムフロン,アルガリ,ウリアル)からヤギとヒツジが、そしてオーロックスという原種からウシが家畜化されました。その後イノシシからブタが、野生原種馬からウマが、そしてセキショクヤケイからニワトリが家畜化されたのは今から5000年ほど前と歴史的には比較的最近という事のようです(最新のDNA分析でウマの祖先と言われていたモウコノウマは、実は家畜馬の子孫であったとの報告がなされています)。
ウシの先祖オーロックスは、ユーラシアに広く生息していましたが、乱獲によって既に絶滅しています。先史時代(約2万年前)に描かれたとされるフランスのラスコー洞窟壁画にも登場していますので、ヒトとの関係がとても古く、また深かったという事ですね。さてヤギやヒツジなどとともにウシは、食べ物を再び口の中に戻して再咀嚼する反芻動物として知られていますが、消化の途中でメタンガスが発生し、ゲップとして大気中に放出されたメタンは地球温暖化を引き起こす原因の一つであり、その削減に様々なアプローチが取られています。バイオ燃料としての活用やインフルエンザウイルスの増殖抑制効果などで注目を集めている微細藻類ユーグレナ(和名:ミドリムシ)を飼料の一部に使うことでヒツジのメタン排出量減少につながったという報告もあります。

さて当園にいるウシ科動物は、1月2日・3日に当園で行った「なぞなぞ初モ~で」で取り上げたシタツンガ、シロオリックス、ヤギ、ヒツジです。ウシ科の共通特徴は、シカ科の特徴である枝角とは異なり、頭蓋骨の突起が直接骨質の芯となって、それを鞘(角鞘)が覆う構造の洞角を持っていることです。この洞角は成長とともに伸び続け、シカ科の枝角のように骨質部が生えかわったりはしません。国内においてシタツンガは当園を含む7園、シロオリックスはIUCNによる評価が野生絶滅種(EW)で、同じく当園含め12園でしか会う事ができない貴重な動物。是非彼らと同じ偶蹄目に属するキリンや奇蹄目のグレビーシマウマやマレーバクなどと比較観察してみてください。

さて以前、千葉経済大学短期大学部 ビジネスライフ学科との連携についてご紹介しましたが、同学科長 影山教授のゼミ所属の1・2年生が制作してくれた「千葉市動物公園とモノレールの紹介ポスター」を科学館2階に掲出中です。学生の皆さんが取材した当園の見どころがまとめられていますので是非ご覧ください。

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(影山教授、そしてポスター制作にあたった学生さんと。千葉経済大学短期大学部にて)

1月9日は私の母校、市川学園市川中学校・高等学校の『土曜講座』に講師としてお招き頂き、動物園の歴史や社会的使命、園長就任来の取り組み等についてお話をさせて頂きました。各界外部講師による、教科学習の枠組みを越えた様々な分野・領域についての講演を通した「自ら学ぶ機会」と位置付けられている本講座の講師として立てたことを、大変光栄に思っております。同校とは、一昨年の同校第三教育センター内でのコラボコーナー設置や当園でのSSH研修の実施などの連携、また昨年は「ちばZOOフェスタ2020」へのご協賛も頂いており、今後もより連携を深め、動物園としての社会的使命を果たしていきたいと思っています。

今年春を予定している「シマウマ」と「ヤマアラシ」の新展示場オープンに向けた準備が追い込みフェーズに入ってきました。当園職員が制作したポスター画像も完成し、これから様々場面での掲出を予定しています。「平原ゾーン」の全面オープンをお楽しみに!

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今年の干支は、辛丑(かのと・うし)です。辛(かのと)は「植物が枯れ、種子を育み次世代に繋ごうとする状態」、また丑(うし)は「種子が硬い殻を破る命の息吹を表している」との事で“転換期”を意味するようです。昨年は子年で「新たな(サイクルの)始まり」「新しい命の息吹」、そして「繁栄」を象徴するとの事でした。今年がツライ(辛)事ばかりでなく、次世代に繋がる価値が生まれるとともに、心豊かな幸多き年となる事を祈ってやみません。

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