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更新日:2015年12月8日
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心の輪を広げる体験作文
千葉市優秀賞受賞 作品
【中学生部門】
「ある日、私は駅で」
今泉 沙耶香
(千葉市立おゆみ野南中学校 3学年)
今から3年ほど前、私が友達と一緒に電車に乗って遊びに行った時、私は初めて「盲目の人」に出会いました。
当時、私はまだ小学六年生とか、中学に入ったか入ってないかというくらいの歳で、駅内で帰りの電車を待っていました。
そのころ私は、体に障害のある人、という人に出会ったりするのは学校の特別支援学級くらいだったので、外で遊んだり話をしたりしたのは、あまりありませんでした。
その日は、友達と電車に乗りおくれ、三十分駅のベンチで電車を待つことになっていました。
電車に乗る十五分くらい前でしょうか。一人の、長い杖とサングラスをつけた男性が電車からおりてきました。どことなくフラフラとしていて、私は一目で「あぁ、この人目が・・・」とわかりました。小学校のころフェスティバルで調べ、発表した「盲目の人」と思ったのです。
男性は白杖でフラフラ階段をおりていき、私はすごくソワソワとしました。けれど、その時は声をかけることができませんでした。
その、少しあと、友達の一人がトイレに行くということで、私は先ほどの方が心配になり、一緒についていきました。
下に行くと、男性はまだその辺をうろうろしていて、困った様子をしていました。道が分からなくなったのか、私が止める間もなく壁にぶつかり、ころんでしまいました。
すると、近くにいた女の人がその人を助け、道を教えたり、他の人たちも少しずつ手助けをしてくれました。私は何もできないのか、と足が動きませんでした。
けれど、男性のところにいた人たちも、しだいに離れていき、また男性はひどく困った様子になりました。私は友達の「もう電車来るよ、行こう」という言葉を聞き、あせりました。
私じゃなくても、他の人がなんとかしてくれるだろう、そう思いました。けど、男性のひどく困った表情、人とぶつかって止まる体を見て、考えはまとまりました。
「ごめん、先行ってて。」友達にそう言い、走ります。「あの、何かお手伝いできること、ありますか?」
男性は私の方を見て、ほっとした表情をとって、「じゃあ、○○までの行きかたを教えてください」といいました。駅からすぐ外の広場で、けど、口をどう説明すればよいかわからず、「肩につかまっていただけますか、案内します」といいました。男性は驚いて口を開きかけましたが、「お願いします」と言い肩に手をおきました。
不安と緊張がありましたが、肩におかれた手は私がたよりで、私に勇気をくれました。
広場に着くと男性は私にお礼を言い、笑顔を向け立ち去っていきました。
私は心があたたまるのと、後悔する方を選ばなくてよかったと思いました。
それからしばらくたった時、友達と共にまたあの駅に行くと、あの時の男性と、もう一人盲目で仕事をしている人に出会いました。
男性は私の事をおぼえていて、「あの時はありがとう」と言ってくださいました。
これらのいろいろな人とのふれ合いのおかげで今はきっと、すぐに言えるでしょう。
「何かお手伝いできることはありますか?」
困っている人たちに。
あの時の心のふれあいは、私の中に大切なものを残してくれたと思います。
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