千葉市立加曽利貝塚博物館 > 総合案内 > 「館長の考古学日記」更新しました。

ここから本文です。

更新日:2021年5月16日

館長の考古学日記

2021年5月16日時とともにかわる「残るもの」

ここでハラリさんに反論させてください。確かに考古学研究では、遺跡に残るモノ、遺跡で見つかるモノでその時代、文化のイメージをつくりあげてきました。しかし、今日の考古学は、研究対象とするモノを幅広くとらえ、それらの中からさまざまな痕跡を見つけだすことで、失われたモノ、新たなモノの存在を明らかにし、人類史・文化像をより具体的なものへと書きかえています。残されたものから残らないモノ、残りにくいモノの存在をどのようにあぶりだしていくのか、これも考古学の重要な研究テーマです。そのために考古学は、自然科学を含めた他の研究分野とも協力しています。さまざまな学問領域と関係をもって研究できることも、考古学の大きな特徴と言えるでしょう。
15ヘクタールに及ぶ加曽利貝塚は、これまで約8%が発掘調査されています。その8%で見つかったモノ・痕跡の一部は、加曽利貝塚博物館でご覧いただけます。そして、館外に広がる手つかずの92%には、未知のさまざまなモノと痕跡が将来の研究のために残されています。そのこともまた、加曽利貝塚の価値のひとつです。


20210516

新たなモノ、痕跡をもとめて、今年も南貝塚の発掘調査を実施する予定です。

 

 

2021年5月12日残るモノ、残らないモノ

しかし、ことばのように残らないモノ、時間の経過とともに残りにくくなるモノ、失われるモノもあります。刑事ドラマで聞いたことありませんか?主人公に無理やり事件現場に連れだされた鑑識官のセリフ、「時間がたっているので、新しい証拠が出るかはむずかしいと思いますが・・・」(六角精児さんをイメージしてみました)。
あのベストセラー作品『サピエンス全史』で、著者のユヴァル・ノア・ハラリさんは、木や竹、革など、時間の経過とともに腐ってなくなりやすい材料の道具を使っていたはずなのに、残りやすい石器や骨だけで「石器時代」がイメージされてきたとして、「現代まで残った人工物を手掛かりに、古代の狩猟採集民の暮らしを再現しようとする試みはどんなものであれ、はなはだ問題が多い」(柴田裕之訳2016)とかなり手きびしく考古学を評価しています。

210512

3千年後も残るものは?

2021年5月9日人とモノ

アメリカの経済学者、ケネス・E・ボールディングさんは、生産活動の基本要素を「ノウハウ」「エネルギー」「物質」としました(猪木武徳ほか訳『社会進化の経済学』1987)。これは人の営み、人の行動全般に当てはまることです。近年。考古学・歴史学などさまざまな分野でも「人、モノ、コト(あるいは情報)」などのキーワードが使われています。ちなみにボールディングさんも「人」を入れるか迷ったようですが、「人」は「ノウハウ」を保持するものであり、それを実行する「エネルギー」であり、そして身体としての「物質」でもあるとして、「人」もまた、この3要素の組み合わせであると位置づけています。
くり返しになりますが、私たちは常にモノとかかわり、生きていると言っても過言ではありません。そのため、考古学が扱うモノの範囲も、大きく広がっていく可能性をもっています。考古学の研究対象とするモノやその考え方は、私たちの身近にあるものなのです。

210509

「人」は「ノウハウ」であり「エネルギー」であり、空間を占有する「物質」。

2021年5月5日考古学って、なに?(その3)

発掘調査もまた、遺跡という現場から人の活動に関係するモノを探しだし、それが残された場所・状態を記録し、採取・回収し、観察し、お互いの関係を分析し、その結果を文字・図・写真で記述し、記録します。この記録が発掘調査報告書です。
このように残されたモノ・痕跡からそこでなにが行われたのかを再現・復元する、それが考古学の基本です。人はモノに囲まれ、モノとかかわって生きています。モノと人のかかわりといえば、道具や衣服、家屋などがイメージしやすいのですが、たとえば「ことば」はどうでしょうか。人体の声帯という器官(モノ)を使って空気(モノ)を振動させ、鼓膜(モノ)で感知する、やはりモノがかかわっています。このように人はかならずと言ってよいほどモノとかかわって生きています。

210505-2

出土したモノはその場所に残して・・・

210505-1

出土した状態を記録します。

210505-3

過去の調査成果を現在の現在の視点で記録しなおした総括報告書。

2021年5月2日考古学って、なに?(その2)

パンアメリカン103便墜落の調査は、墜落した航空機の破片を徹底的に回収することからはじまりました。この時、最初に行われたことは、機体のどの破片がどこで回収されたのか記録がとることでした。そうすると、かなり広い範囲で破片が散らばっていることがわかりました。これは高高度で航空機の機体が破裂、空中分解したことを示しています。
続いて、回収した破片を本来の航空機にあわせて組み立てます。すると特に破損がひどく、失われた部分がありました。それが貨物室でした。さらにその貨物室の破片には強い圧力が加わって変形したものがみつかります。これによって、貨物室が何らかの圧力によって破損・破裂した可能性がでてきました。そこで回収された荷物を調べると、こげたスーツケースやタイマーがみつかり、さらにそれを分析すると爆発物の成分が・・・
これによってパンアメリカン103便は、爆破されて墜落したことが判明しました。9千mの上空で誰も見ていない出来事を、残されたモノと痕跡から再現したのです。さらにスーツケースに残された繊維片からある服が特定され、その流通経路をたどることで、爆発物がどのように機内に持ちこまれたのか、犯人の行動までせまっていきます。

20210502

2021年4月28日考古学って、なに?

一般的に「考古学」と聞くと、「スコップや竹べらで土器や石器を掘り出している」と言われるように、考古学イコール発掘調査のイメージが強いかもしれません。
この発掘調査の方法・考え方については、事故・事件の現場で警察が行う現場検証を例にして説明されることがあります。
現場検証では、現場に残された遺留品や痕跡などを採取・記録し、その場所で何が起きたのか再現・復元します。テレビの刑事ドラマやサスペンス劇場でおなじみの場面ですね。最近は現場検証を行う鑑識官を主人公にしたシリーズも人気です。
少し長くなりますが、ここからは現場検証の実例を紹介してみましょう。それは1988年にイギリスで起きたパンアメリカン103便墜落事件です。
アメリカに向かうため、ロンドンを飛び立ったパンアメリカン103便は、40分後、スコットランドで墜落します。これは事故か、事件なのか?上空9千mに目撃者はいません。それを確かめるため、調査、現場検証が行われます。

 

210428-2


210428

 

2021年4月24日「ちばが学べる施設紹介」に出展しています

千葉市生涯学習センターの1階アナトリウムで開催中の「ちばが学べる施設紹介」(会期4月29日(木曜日)まで)で、特別史跡加曽利貝塚を紹介しています。千葉市内に所在する博物館・美術館・図書館等が一堂に会して、それぞれの施設がやっていること、できることをアピールしていますので、お近くにお越しの際は、ぜひ、お立ち寄りください。これからも他の施設の皆さんに負けず、加曽利貝塚博物館をアピールしていきたいと思います。

210424-1

210424-2

 

2021年4月23日考古学と加曽利貝塚

考古学のもつさまざまな魅力をお伝えする「館長日記」、今年度は硬いあいさつからはじめてみました。
これからはこういう路線で行くの?と心配されている方もいらっしゃるかもしれませんが、引き続き「考古学とは何か」「考古学はどう考えるのか」について、加曽利貝塚を通して皆さまとともに考えていきたいと思います。

さて、言うまでもなく、ここ加曽利貝塚は特別史跡です。
文化財保護法では、貝塚や古墳など「我が国にとつて歴史上又は学術上価値の高い」遺跡のうち、重要なものを史跡、そして、史跡のなかでも「特に重要なもの」を特別史跡に指定することができるとされています。加曽利貝塚は、昭和46年(1971)の北貝塚の史跡指定にはじまり、平成29年(2017)には特別史跡に指定されました。
では、加曽利貝塚の何が「特に重要なもの」とされているのか?
日本で最大級の貝塚を伴う縄文時代集落遺跡であること、市民による文化財保護活動、先駆的な遺跡整備と活用手法、そして、日本における近代考古学研究の発展への寄与があげられます。
これらの指定理由を意識して加曽利貝塚を見ていくと、縄文時代研究のみならず、(チコちゃん風に)「考古学って、なに?」を考えるうえで格好の場所であることがわかるかと思います。縄文時代に限らず、考古学に関心があるという方々もぜひ、加曽利貝塚博物館にお越しください。


20210423

 

2021年4月13日ごあいさつ

令和3年(2021)4月に館長に着任しました。
着任にあたり御挨拶申し上げます。
千葉市立加曽利貝塚博物館は、昭和41年(1966)に加曽利貝塚を中心とする縄文時代の調査・研究と、その成果の公開・普及を目的に設置されました。約15haの敷地内には、加曽利貝塚への理解を深めるため、貝層断面観覧施設・竪穴住居跡群観覧施設・復元集落(復元竪穴住居)が整備され、縄文時代の景観再現を試みた植栽を含め、縄文時代を体感することのできる博物館です。そして、加曽利貝塚は日本最大級の規模を誇る貝塚であることに加え、先駆的な遺跡の保存・整備・活用の取組みが再評価され、平成29年(2017)、特別史跡に指定されました。
ただし、残念なことですが、現在、新型コロナウイルス感染症拡大予防のため、当館における施設利用や教育・普及活動に制約を設けざるを得ない状況が続いており、利用者の皆さまには御不便をおかけしております。その中にあっても、皆様には特別史跡加曽利貝塚の魅力に触れていただけるよう努めてまいります
これからも安心・安全な博物館運営を心がけながら、特別史跡加曽利貝塚の価値を高めるよう取り組んでまいります。職員一同、皆さまの御来館をお待ち申し上げます。

 

 

 

 

このページの情報発信元

教育委員会事務局生涯学習部文化財課加曽利貝塚博物館

千葉市若葉区桜木8丁目33番1号

電話:043-231-0129

ファックス:043-231-4986

kasorikaiduka.EDL@city.chiba.lg.jp

より良いウェブサイトにするためにみなさまのご意見をお聞かせください

このページの情報は役に立ちましたか?

このページの情報は見つけやすかったですか?

このページを編集して、改善提案する(改善提案とは?)