更新日:2023年5月25日
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これまで東国武士といえば、草深い坂東の地に土着し、開発を進めて所領とする領主で、弓術や馬術をはじめとする武芸の鍛錬に励み、自給自足の生活を送る「質実剛健な在地領主」というイメージで語られてきました。彼らは、教養に乏しく粗野な面を持つものの、地方の乱れを顧みずに京で華美な生活を送る貴族たちと対比され、新たな「武士の世」としての中世という時代を切り開く勢力と位置づけられてきたのです。
しかし、近年の急速な研究の進展により、このような中世武士像の見直しが迫られています。中世武士は地方に土着した存在ではなく、その出自や職能とする「家業」としての騎射の武芸、日本列島を通じた流通や交通のネットワークに立脚していた経済人であった点などにおいて、政権の所在地であり、文化・経済の中心地でもあった「京(みやこ)」と深い結び付きを持った存在でした。そして、それを維持・強化するために、中世武士は地方の所領と京との間を頻繁に行き来し、皇族や貴族などの中央の権力者とも密接な関係を築いていたのです。
坂東武士の典型とされ、鎌倉幕府の創設に大きく貢献した下総の豪族的武士団千葉氏についても、近年の研究の進展により上記のような新たな姿が明らかになってきています。
本パネル展は、武士と貴族、東国と京とを対立するものとして捉えてきたこれまでの理解から離れ、従来はあまり注目されることのなかった「千葉氏と京との結び付き」について紹介します。
令和5年5月25日(木曜日)~11月19日(日曜日)
郷土博物館1階展示室
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