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更新日:2020年3月9日

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「千葉市都市文化賞」2013受賞作品が決定しました。

本年度は平成25年7月1日から8月31日まで募集を行いましたところ、33点の応募がありました。

多数の応募となりましたこと、心よりお礼申し上げます。

応募されたものの中から千葉市景観総合審議会表彰選考部会での選考により、下記のとおり決定しました。

また、表彰式を以下のとおり行いますので、多数の方のご来場をお待ちしております。

「千葉市都市文化賞 シンポジウム2013」

  • 日時:平成25年12月19日(木曜日)、午後1時30分より
  • 場所:千葉市生涯学習センター 2Fホール
  • 入場料:無料
  • 内容:
    <1部>表彰式、午後1時30分より

    <2部>パネルディスカッション、午後2時30分より

総評

近代建築家、三大巨匠のひとり、フランク・ロイド・ライトの言葉にこんなものがあります。

「そこが美しい敷地だったことは、その家が建てられるまで、誰も気がつかなかった。」

つまりその建築が建ってはじめて、人々はその建築を取り巻く環境の素晴らしさを発見し、驚かされたというのです。

美術館という、現実環境から切り離された、「箱の中」の作品を、鑑賞するのとは異なり、「自然の中」で、あるいは「都市の中」では、建築はその美醜や、良し悪しを計るとき、重要な環境の「関数」になるということです。

このように、現実の建築は「孤立した単体の作品」として評価するべきものではありません。建築はとりまく既存の環境に深く関わり、新たな環境を作り出します。

ですから、建築を作るということは、既存環境の魅力を引き立てるものであるのか、あるいは毀損するものであるのかが問われていると言って良いでしょう。

こうしたことは、べつに建築に限ったことではありません。道路や橋などの土木構築物も、看板・サイン・ストリートファニチュアのような都市を彩る小物にいたるまで、我々を取り巻く人工物すべてにこのことは当てはまります。

「都市文化」と呼びうる人工物は、既存の環境にもっとも相応しいかたちで付け加えられ、人々の生活の喜びを賦活するものでありたいものです。

「文化」とは生活に根付いた「繋がり」のことだと私は考えています。

それは「空間的繋がり」であるとともに、「時間的繋がり」でもあります。

今回の応募作には千葉市と深い繋がりのある、川崎製鉄の産業遺産を取り上げたものや、地震で崩壊した古い蔵を再建したものなど、時間(歴史)に敬意をはらい、現代の都市にこれらを繋げようとした事例などが目を引きました。一方、歩行者デッキに期間限定のイベントとして、トリッキーな絵画を描くことで、賑わいを演出し、「人々の繋がり」を意図した作品も、新しい「都市文化」の創出を予感させるものでした。


栗生 明(表彰選考部会長)

都市文化賞 受賞作品

優秀賞(9件)

【景観部門】大百池

所在地:中央区南生実町、緑区おゆみ野

おゆみ野にある大百池(オオドイケ)は、全体面積が約10ヘクタールの大百池公園の一部であり、水面積は2ha程です。池の中にはガマやアシが生い茂り、多くの野鳥種も見られます。この池の存在は1650年頃から確認され、古くから地域の人たちに親しまれてきました。

都市公園の一部として今の形に整備されたのは1997年で、池周囲に植えられたソメイヨシノによって花見の時期には近隣住民だけでなく、遠くからの観光客もやって来るそうです。


講評 八木 健一

【建築部門】アオハダの家


撮影:秋山実

所在地:若葉区多部田町

建築主:K.I

設計者:野口修アーキテクツアトリエ

施工者:(有)田中兄弟工務所

田畑の中に立つ特性を生かし、北側に広がる田園風景をピクチャーウインドウの窓で部屋から望めるようになっている一方、その窓には冬の寒さに対し障子をいかした二重窓が設置される等エコにも工夫がされている。

限られた床面積を立体的な構成で解き、居間、台所、居室の平面、垂直方向への移動が楽しくできている。住む人と作る人の楽しいやりとりがわかるような木を生かした外観も温かみのある景色をつくり、新しいのに懐かしい感じがした。


講評 山﨑 誠子

【建築部門】蔵

所在地:花見川区犢橋町

建築主:Y.T

設計者:江口英雄建築設計事務所

施工者:江口英雄建築設計事務所

この「蔵」がある花見川区の犢橋(コテハシ)地区には古くからの民家がまだ多く存在し、ややタイムスリップしたような農村風景が見られます。この蔵は東日本大震災で壊れたものを、地元の大工さんに依頼して元どおりの姿に新築したものです。

従って文化財的な価値はありませんが、このような建物を残したいという依頼主の文化意識と、それを造る伝統技術が継承されていくということは、ひとつの都市文化賞に値するものとして選ばれました。


講評 八木 健一

【建築部門】水野胃腸科・内科

所在地:中央区今井

建築主:K.M

設計者:造工房+(株)ナカヤマアーキテクツ

施工者:(株)渡辺富工務店

蘇我駅近くの病院の改築。歴史ある緑豊かな庭を望める大きな窓の待合室が落ちつきのある空間になっている。接道から目立つ外壁のサクラ色のタイルは庭のシンボルツリーのサクラの色をイメージした特注品で、ファサードの柔らかさを演出している。

病院の看板も大きさ、配置、色とも十分に考えられていて、街への配慮が感じられる。スタッフの居場所も落ちつきのある空間となっており、角地の喧騒さを感じさせない。


講評 山﨑 誠子

【建築部門】みどりの森めばえ保育園

所在地:緑区大木戸町

建築主:社会福祉法人友和会

設計者:(株)AEA総合計画事務所

施工者:白井興業(株)

保育園というと、ピンクや原色調の色使いが施された外観が多く見られますが、みどりの森めばえ保育園は、レンガタイル等のアースカラーを基調とした穏やかな色合いで構成されています。そこに、煙突や大屋根形状がアクセントとなり、落着きと楽しさを同時に感じさせる魅力的な外観となっています。

各部屋の扉には指はさみ防止の工夫や、各部屋を見渡すことができる大窓・間仕切りの設置など、安全面にも配慮された素敵な空間です。


講評 大内 啓子

【建築部門】独立行政法人放射線医学総合研究所 研修棟

所在地:稲毛区穴川

建築主:独立行政法人放射線医学総合研究所

設計者:(株)竹中工務店東京本店設計部

施工者:(株)竹中工務店東関東支店

放射線を扱う施設であるという性質上、これまでこの種の施設はかなり閉鎖的にならざるを得なかった。この研修棟は、厚いコンクリートで包まれる放射線管理区域の廻りを、ガラス等の透明感のある外皮で包むことで、見た目には放射線施設であることを感じさせない。この施設の他の建築物と比較して、異彩を放っている。

そして、その外皮も、水平方向ラインの強調や高い透明性といったデザイン性だけではなく、西日を遮蔽する立体ファサード等を採用して、内部環境性能の向上も実現している。あまり一般の方が利用する施設ではないが、その夜間景観は特に美しく、一見に値する。


講評 野澤 康

【建築部門】学校法人渋谷教育学園 幕張中学・幕張高等学校30周年記念棟

所在地:美浜区若葉

建築主:学校法人渋谷教育学園

設計者:(株)竹中工務店東京本店設計部

施工者:(株)竹中工務店東関東支店

学校の校舎建築は、その学校の教育理念を具現化するものである。この校舎は、30周年記念事業として図書館・ロッカールーム棟を建替えたものであるが、単なる建替えではなく、この学校の建学の精神である「自調・自考」を「自ら調べる『知層』」というコンセプトで建築に持ち込み、この大胆な外観の中に「知の層」を構成している。

そして、積み重なる層を様々な形で上下につなぎ、層を超えた見る・見られるの関係、他の層の活動の気配を感じさせる空間構成、換気や採光といった環境的な性能を実現している。この校舎で、たくさんの才能が育まれ、社会に出て大きく開花してほしいと思えるものである。


講評 野澤 康

【まちづくり部門】蘇我副都心地区におけるモニュメントと西山彌太郎千葉歴史記念館

所在地:中央区川崎町

企画・運営:J FEスチール(株)東日本製鉄所

近年蘇我地区では大型商業施設の出店、スポーツ施設、公園の設置等新しい街づくりが進んでいる。この地は「鉄」の生産工場が核となる工業地域としての歴史があることから、街づくりのアイデンティティの構築に、当時の工場内で使われていた機械類をパブリックアートとして点在させる試みが魅力的である。

広大な開発地区を繋ぐ役目を果すこれらのモニュメントは、西山彌太郎記念館とともに街づくりの中核の意味も持っているようだ。


講評 田口 敦子

【まちづくり部門】QVCスクエア 3Dアート

所在地:美浜区ひび野

企画・運営:(株)QVCジャパン

幕張新都心地区のQVCスクエアビルに面したスカイウエイ(歩行者デッキ)上に、トリックアートが描かれ、行き交う人々の話題になっていた。平面的に描かれた絵が、見る位置によって立体的に見えるトリックアートは驚きと発見の楽しみをもたらした。本来私的な使用を禁じている歩道橋上ではあるが、届け出をすること、一定の使用制限を伴うことを前提として、人々が集う場、にぎわいを創出する場として期間限定で活用することは考えて良いのではないか。

本作品はその成功例と言える。


講評 田口 敦子

入選(5件)

【景観部門】モノレールのある風景

所在地:中央区、稲毛区、若葉区

事業主:千葉都市モノレール(株)

千葉市の市街地内には道路上空にモノレールが通っているため、この軌道構造物が特徴的な景観形成要因となっていますが、そこを通過する車両のデザインもほかの電車や自動車とは逆に下から見上げられる特殊な要素です。

昨年グッドデザイン賞を受賞した「アーバンフライヤー」という車両は、その外観もさることながら、車内のデザインも斬新で、この車両が走る時刻表まで作られているほど、利用者からの高い人気を集めているようです。


講評 八木 健一

【建築部門】新田の家

所在地:中央区新田町

建築主:M.O

設計者:(有)翔建築設計

施工者:(株)山田工務所

千葉市中心市街地の一角にあり、周囲の建物は、業務、商業、マンション、駐車場となっている。高層の建物が周囲にあることで日差しが入る時間が限られ、周囲からの視線や騒音もあるという悪条件を、明るさを取り入れるデザインウォールや坪庭等を設置し、明るさとプライバシーを確保している。

2階の寝室等は吹き抜けで階下とのつながりを考慮しながら、将来車いすで利用できるような動線も確保されデザインと機能がきちんと両立できている。


講評 山﨑 誠子

【建築部門】日企千葉みなとビルディング

所在地:中央区中央港

建築主:日本企業投資(株)

設計者:(株)INA 新建築研究所

施工者:(株)竹中工務店東関東支店

新たな発展を遂げようとしている千葉みなと駅そばに立地するオフィスビルである。オフィスとしての最新性能を持ち、またCASBEEのAランクという高い環境性能を実現する設計となっている。それに加えて、1,2階を商業ゾーンとして開放的な空間として、まだ殺風景なこのまちに一石を投じようと試みている。

まだ、こうした施主や設計者の意図が周辺の敷地のデザインに十分に反映していないのは残念であるが、近い将来、こうした意欲的な取り組みが周辺を先導し、活き活きとしたまちができていくことを期待したい。


講評 野澤 康

【建築部門】千葉市立松ヶ丘中学校

所在地:中央区松ヶ丘町

建築主:千葉市

設計者:(株)千都建築設計事務所

施工者:鵜沢建設(株)

施工者:(株)山田工務所

外壁はコンクリート打放しですが、一歩校舎に入ると木をふんだんに使用した造りとなっており、これら素材のコントラストによって木の持つ温もりがより一層引き立てられている。入口ホール先にある大きな木の階段は、大きな窓からの日の光と相まって、暖かく出迎えてくれる。

建替えに伴い、敷地内にあった銀杏を一部伐採したということだが、ロッカーとして再生するなど、様々な配慮がなされた建築である。


講評 大内 啓子

【小道具部門】中心市街地案内板

所在地:中央区弁天

設置者:千葉市

都市の高機能化、動線の多様化等々、公共サインの見直しが求められ、千葉市中心市街地においても、特に街の案内板の設置は急務であったと思われる。

新しいサインのデザインは、確かな視認性を確保すると同時に、中心市街地でありながら緑豊かな街並みのシンボル化を、黄色味を含む「緑」の色彩を施したサイン本体に託し、表示面には地区の案内表記と周辺の商業施設の広告を併記することで、公共サインに新たな機能を加える工夫がなされている。


講評 田口 敦子

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都市局都市部都市計画課都市デザイン室

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