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更新日:2020年3月9日

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「千葉市都市文化賞2014」の受賞作品が決定しました。

本年度は平成26年7月1日から8月31日まで募集を行いましたところ、51点のご応募がありました。
多数のご応募をいただきまして、心よりお礼申し上げます。
応募されたものの中から千葉市景観総合審議会表彰選考部会での選考により、下記のとおり、受賞作品を決定しました。
また、表彰式を兼ねたシンポジウムを以下のとおり行いますので、多数の方のご来場をお待ちしております。
(シンポジウムは終了いたしました。)

「千葉市都市文化賞 シンポジウム2014」(終了しました。)

  • 日時:平成26年1225日(木曜日)、午後1時30分より
  • 場所:千葉市生涯学習センター 2Fホール
  • 入場料:無 料
  • 内容:<1部>表彰式、午後1時30分より
    <2部>パネルディスカッション、午後2時30分より

総評

2020年に東京オリンピックの開催が決まりました。新聞、テレビでは「オリンピック・レガシー」という言葉がよく聞かれます。オリンピック効果によって期待される、将来に受け継がれるであろう「ポジティブな遺産」のことです。
1964年に開催された東京オリンピックのことを思い出すとよくわかります。高度経済成長期の日本はこのオリンピックを契機に一躍先進国の仲間入りを果たしました。東海道新幹線の開業、首都高速の開通といった都市インフラの整備にはじまり、各種スポーツ競技場、宿泊施設などの建設を通じて、ハード面の充実は目を瞠るものがありました。
ハード面だけではありません。日本のピクトグラム(絵文字)の認知はこの東京オリンピックが最初でした。勝見勝氏をリーダーとしたオリンピック会場全体だけでなく町の路上に掲げられたサイン計画は、世界から高い評価を受け、その後のオリンピックに引き継がれています。初めて訪れる海外からの観光客を案内するボランティアの通訳やガイドも今に引き継がれている遺産の一つだと言ってよいでしょう。
さて50年前のこの年、東京オリンピックとは直接関係ありませんが千葉市にも二つのレガシーが生まれていました。そして奇しくもこの二つの建物、「千葉大学ゐのはな記念講堂」と「千葉市中央コミュニティセンター松波分室」が今回そろって千葉市都市文化賞を受賞しました。
「千葉大学ゐのはな記念講堂」は戦後日本の近代建築の傑作のひとつです。千葉大学の学生や教職員、さらには同窓生に愛され親しまれてきたこの建築は、丁寧な耐震補強、と老朽化した部分の修復にとどまらず、現代の機能に合わせてデザインされています。一方「千葉市中央コミュニティセンター松波分室」は、贅を尽くした木造数奇屋建築と手入れの行届いた庭によって構成された私邸でした。寄贈を受けた千葉市が機能を変更してコミュニティセンターとして使うため耐震改修をしたものです。
本来の意匠を損なわぬように細心の注意をはらった解体補強修理は素晴らしい成果をあげています。50年という風雪に耐え機能しつづけ、建築主の深い理解のもとに未来に継承されていく建築は、千葉市の「都市文化遺産」として特筆されるものだと思います。
「都市文化」とは空間的な価値もさることながら、時間の中で価値が増大するものの事です。都市住民の生活に密接に関わり、記憶の中に深く刻み込まれてこそ文化の名に値するものだからです。今回表彰された新しい景観・建築も千葉市の未来に受け継がれ、50年後、100年後も千葉市民が誇りに思うようなレガシー(遺産)となることを期待されての評価です。

千葉市景観総合審議会
千葉市都市文化賞表彰選考部会長 栗生 明

受賞作品

優秀賞(7件)

【景観部門】西千葉カフェ・ル・グレのファサード、外観
所在地:中央区春日
事業者:カフェ・ル・グレ
施工者:レスク(株)
多くの情報が存在する都市空間において、屋外広告が発信する情報とそのデザインは景観に大きな影響を与えるものとして関心が高まっています。
西千葉駅前の「カフェ・ル・グレ」の屋外広告の捉え方は、看板の形式のみに頼らず、店前の空間を使ってオープンカフェの設えを準備し、テーブル、イスの配置、そこに座る人々の動きをも含む空間全体が作る情報に、カフェの存在を知らせる役割を担わせています。中心市街地の繁華街から離れた、落ち着いた景観を見せるマロニエ通りに、カフェという業種の特性を生かした情報発信の考え方として魅力的な手法であると評価します。

講評 田口 敦子
【建築部門】医療法人社団葵会 東京ベイ先端医療・幕張クリニック
所在地:美浜区豊砂
建築主:医療法人社団 葵会
設計者:中日設計(株)
施工者:(株)鴻池組
クリニック(外来診療所)はホスピタル(総合病院)より小規模ですが、本来のホスピタリティ(おもてなし)精神は共通です。この施設を応募資料で見た時には、やや華美ではないかと感じましたが、実地審査では、ホテルのような内装に込められたきめ細やかな配慮が伝わり、審査委員の評価も上がりました。休診日のため、患者さんや医療関係者の様子を見る事はできませんでしたが、ガン入院経験者の私個人としては、こんなクリニックなら結構リラックスできそうな気がしました。

講評 八木 健一
【建築部門】千葉市中央コミュニティセンター・松波分室
所在地:中央区松波
建築主:千葉市
設計者:(有)アイム設計
施工者:(株)佐久間工務店
昭和39年建築の木造2階建て数寄屋建築を耐震補強し、住宅からコミュニティセンターにコンバージョンした建物。構造材以外はほとんど改修したということだが、建築時の雰囲気をこわさず耐震性を高めるように鋼板の耐震壁を設置、屋根部分の重量軽減させるため瓦からガリバリウム鋼板に変更など、数寄屋造りの瀟洒なイメージを壊さない工夫が随所にみられる。庭の部分は手を加えられたばかりであるので、未熟な感じがするが、徐々に街並みに調和していくだろう。
都市文化賞と名称変更されたことで、新築の建築にかぎらず、千葉市の文化に寄与する建物や景観を表彰するという意義を伝えることにおいても十分に賞に値するものである。

講評 山﨑 誠子
【建築部門】千葉大学ゐのはな記念講堂 改修
所在地:中央区亥鼻
建築主:国立大学法人 千葉大学
設計者:(株)槇総合計画事務所
施工者:(株)竹中工務店
改修前のものが「現代建築ガイドブック・千葉市」の表紙にもなった、設計者の槇文彦にとって国内2作目の昭和38年建築の千葉大学記念講堂の改修。51年を経て、外装コンクリートやカーテンウォールの劣化、冷暖房設備施設の不備、施設利用や音響・映像施設の変化発展による容量不足、耐震性等を充足させるための改修となっているが、既存建物外に増築することなく納められ、ホール内に新たに造られた壁もアルミサッシに変更になったファサードも違和感なく刷新されている。
昭和30年代以降に建築された有名建築物が取り壊されることが多い中、現代のニーズを解決しながら保全できることを示した良い例といえる。

講評 山﨑 誠子
【建築部門】千葉大学医学部附属病院 外来診療B棟
所在地:中央区亥鼻
建築主:国立大学法人 千葉大学
設計者:(株)久米設計
施工者:鹿島建設(株)
病院建築は、日進月歩で進化している。外来棟であっても、病人を診察して治療する単なる箱というだけではなく、様々な高度な機能や環境が求められる。この新外来診療棟は、世界水準の先端医療を提供することはもちろん、「感性に訴える」建築環境を目指して、患者本位の計画・デザイン、環境に配慮した緑溢れる明るい空間づくり、木材を用いた温かみの演出などによって、これまでの病院に対するイメージを覆し、一新してくれる空間を実現している。
ここに来て、ただ座って佇んでいるだけで、病気が治ってしまうようなを持った建築である。プロジェクトは今後も連続して進められていくようであり、今後の展開にも大いに期待したい。

講評 野澤 康
【建築部門】学校法人千葉白菊学園 千葉白菊幼稚園
所在地:美浜区幸町
建築主:学校法人千葉白菊学園
設計者:(株)千都建築設計事務所
施工者:(株)新昭和
正門から建物をみると、パッとカラフルな8色の細い柱が目に飛び込んでくるが、建物に近づくと、幼稚園としては珍しく、落ち着いた色調のタイルに黒いサッシを組み合わせたシックな作りになっている。柱と壁面との対比により、カラフルな柱が軽快なアクセントとして絶妙なバランスで効果的に表現されている。
建物内に一歩足を踏み入れると、天井一面に描かれた空の絵や、トイレ・部屋に付けられた可愛いピクトグラムなど、とても楽しい素敵な空間となっている。

講評 大内 啓子
【建築部門】学校法人中村学園 Nタワー
所在地:中央区新宿
建築主:学校法人中村学園
設計者:(株)ICAデザイン研究室
施工者:清水建設(株)
この学校建築の素晴らしさは、特に1階部分に表現されている。地域と積極的に交流する学校の精神を表して、1階部分の教室を開放的にして、あたかもショールームや店舗であるかのように教室を見せる工夫がなされている。また、イベント時などにはさらに開放できるようにつくられており、ストリートの賑わいづくりに一役も二役も買っている。
この校舎は、中央区の中心市街地の中に立地しているが、近年、周辺にはマンションが増えてきており、そうした住宅の居住環境にも十分に配慮し、かつこの建物自体の省エネをも両立させたボリュームやファサードとなっている。
周囲の環境に溶け込みつつも、学校とまち、学生とまちの人々が生き生きと交流する場に育っていってほしい。

講評 野澤 康

入選(3件)

【景観部門】 山口歯科クリニックのSign Design
所在地:中央区椿森
事業者:山口歯科クリニック
意匠設計及び施工:(株)将建築設計
角地に建つ、直方体が特徴の建物デザインに設置された歯科医院の屋外広告が評価されました。建物の造形性と融合させることを目指し、広告物のデザイン、サイズ、取り付け場所等々の判断が優れています。建物正面入り口に医院名の頭文字をロゴマーク化した「YA」と、和文名が表記され、車道に面してロゴマークと英文YAMAGUCHI DENTAL CLINIC、駐車場案内、医院案内がそれぞれ取り付けられていますが、壁面の素材感を邪魔しない配慮や、視認性を確保しつつ過剰な造形性を避ける等、シンプルで美しいデザインとなっています。また夜間のライトアップがもたらす効果が昼間に比して際立ち、魅力的です。
従来、屋外広告物はいくつかの視点場の確保を狙う余り、過剰設置が問題視されてきましたが、本作品は必要最小限の設置を目指し、十分効果を得ていると思われます。

講評 田口 敦子
【景観部門】南町共栄会 衛生環境部
活動地域:中央区南町 外
活動団体:南町共栄会
平成17年に千葉市から「屋外広告物適正化推進員」の認定を受けて、地域の違法看板撤去活動のほか、防犯パトロールや公共空間の清掃など、街の環境改善と美化に貢献している団体です。
安全で美しい環境づくりの基本は危険なモノや醜いモノを排除することです。私は日頃からこれを「消去法の美学」と言っています。
造られたモノほど目立つ訳ではありませんが、人が環境を創りその環境が人を育てるということを忘れずにこれからも活動を続けていただきたいと思います。

講評 八木 健一
【建築部門】amu
所在地:緑区あすみが丘東
建築主:Y.K
設計者:フリーダムアーキテクツデザイン(株)
施工者:(株)工藤工務店
玄関を開けると、そこには陽の光が立ち込めるテラスが眼前に広がる。さっと視界が開けるので、とても気持ちのよい空間になっている。外観は白を基調としたモダンな作りに対して、室内は木を中心としたアースカラーで構成され、陽の光と木のハーモニーにより、まるで自然の中に身を置いているようで、とても心が癒される。テラスとリビングは段差のないフラットな床面になっており、そこを仕切るガラス戸は全て開け放つ事ができる。
日本人がこれまで好んできた、外と中の空間に隔たりを作らない構成は、現在の陰影礼賛といってよいかも知れない。

講評 大内 啓子

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