更新日:2023年6月29日

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「千葉市都市文化賞2022」の受賞作品が決定しました。

令和4年度(2022年度)は、令和4年7月1日から9月30日まで募集を行いましたところ、45点のご応募がありました。

多数のご応募をいただきましたことに、心より御礼申し上げます。

応募された中から千葉市景観総合審議会千葉市都市文化賞表彰選考部会の選考により、下記のとおり受賞作品を決定しました。

また、令和5年2月2日に表彰式を開催し、各作品の受賞者の代表者に賞状を授与しました。

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千葉市都市文化賞2022表彰式の記念写真(令和5年2月2日)

後列:各作品受賞者の代表者(左右)、千葉市長(中央左)、選考委員(中央右)

前列:各作品受賞者の代表者

受賞者の声

表彰式後、各作品受賞者に受賞の感想を伺いました!

下記よりご覧ください。

総評

「優しさ」という平凡な言葉が、「時代のキーワード」になってきたように感じます。

「千葉市都市文化賞」の審査で市内をバスで回り、実際に体験した多くの作品から感じ取った印象です。

五感に優しい。

視覚に、聴覚に、嗅覚に、触覚に、そして味覚にも心地よい。

空間を構成する素材の温かさ、人間の身体感覚に呼応するスケールの適切さ。気持ちを穏やかで開放的にさせる空気感・・・。

つまりは、その場所がとても「居心地が良い」のです。

「呼吸が楽になる」のです。

「いつまでも居たくなる」のです。

「優しさ」は五感に対してだけではありません。

「弱者に優しい」作品も多く見られました。

社会的弱者(幼児、高齢者、病人、障害者・・・・、そして貧困に苦しむ人々)に寄り添う空間です。

社会的弱者も自尊感情を損なわずに、ゆったりと暮らせる空間と言い換えても良いかもしれません。

これらは、自然や社会に対してのつながりを重視する開放性や透明性の確保が図られ、

弱者の自立を支援する自由な選択可能性が工夫されています。

「現代は生きづらい時代」だと言う言葉がメディアに溢れています。

新自由主義によるグローバリズムが、その言葉に反して国民国家を分断し、地域社会を崩壊し、家族さえも解体しつつあります。

自由なようでいて人間個人は「自己責任」という檻に閉じ込められています。

結果として経済的格差が年々増大し、コロナ禍が生活苦に追い撃ちをかけています。

確かにストレスフルな時代を我々は生きていると言えそうです。

そうした中で、人々は意識的にも、無意識的にも「コモンの再生」を願い、人とのつながりの前提条件である「優しさ」を求め始めているのだと思います。

グランプリを受賞した「café madoi(カフェ円居)」は「21世紀型のコモン」のひとつの試みに見えました。都市における自然(造園)と建築と街路の融合をこれほど見事に実現させた例を私は他に知りません。

シェアキッチンや手作りお菓子やアクセサリー販売などの開き手や作り手のコラボレーションを前提にした「共有の家」「共有の庭」であることが、自由で開放的で居心地の良い「優しさ」に溢れていました。この試みが「新しい都市文化」のモデルのひとつになることを願っています。

今年から「C-HOPE賞(ホープ賞)」を創設しました。

「千葉市で期待する賞」という意味です。

ノーベル賞をはじめ、あらゆる賞は業績や作品の優劣といった「結果」に対する評価によってなりたっています。

しかし、この「ホープ賞」は違います。

業績としてはまだ熟していない、作品としては粗削りすぎる。まだ「結果」が出ているとは言いがたい。しかし、未来に期待が持てるものを先取りして評価しようというものです。

「予祝(よしゅく)」という言葉があります。

景気づけの前祝いですが、良き結果を引き寄せる力があるとされます。

将来に期待の持てる作者や活動団体の背中を押すといった「優しさ」を込めた賞だと理解していただければと考えています。

千葉市景観総合審議会

千葉市都市文化賞表彰選考部会長 栗生 明

受賞作品

グランプリ(1件)、優秀賞(8件)、C-HOPE賞(1件)

【グランプリ】 café madoi(カフェ 円居)

所在地:若葉区小倉町

施主:有限会社季織苑

設計:飯島さとし建築設計室

 :有限会社季織苑

施工:積水ハウス建設関東株式会社

 (旧社名:積和建設東関東株式会社)

 :有限会社季織苑

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 撮影:伏木 博

造園設計・施工を生業とする会社が本社建物にチャレンジショップを展開できるcaféと庭を併設した空間。スキップフロアのように上下するカフェ的な空間と個室から、小さな水の流れとバランス良い雑木風の庭を眺め親しめる。また、バス停前という場所を生かして緑地内にベンチを設置し道行く人々の居心地の良い空間も提供することに成功している。庭のデザイン、建物デザイン、街との調和、これらすべての要素に受賞に値する作品。(山﨑 誠子)

 

【景観まちづくり部門 優秀賞】 オオソラモ土気

所在地:緑区土気町

団体:株式会社拓匠開発

 :株式会社シロアナ

 :株式会社ウイン

 :上領大祐建築設計事務所

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 撮影:加藤 晋平、小川 大輔

それぞれの感性の戸建が並び、集える広場、集会室は、ガラス張り。「みんな違っていい」多様な暮らし方が、子どもたちの個性も発揮されるであろう「にぎやか村」につながることにワクワクを覚える。展望台で星の数を数える・・・大ぶりのゴツゴツの砂利も小さく、丸くなり、悪戯描きの石も出てくるだろうと想像が膨らむ。シンボルの「もみの木」の周囲には、話の輪が、きっと「絵本」になるだろう空間があった。(佐藤 聰子)

 

【景観まちづくり部門 優秀賞】 海へ延びるウッドデッキ

所在地:美浜区高浜7丁目

団体:株式会社ワールドパーク

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人工ビーチに掛けられた桟橋であり、官民連携で整備と運用が行われています。稲毛海浜公園という人工的につくられた水辺環境を空間資源として生かされている事例として評価できます。この場は地域の文脈からは切り離された空間とはなっていますが、富士山や東京都心の景観を眺望できる視点場にもなっています。また、海へと伸びる桟橋自体が美しく、風景の一部ともなっており、これまでになかった千葉の海岸風景が立ち現れています。(霜田 亮祐)

 

【景観広告部門 優秀賞】 珈琲とワインのある暮らし25

所在地:稲毛区黒砂1丁目

施主:珈琲とワインのある暮らし25

設計:TSUKURUDESIGNOFFICE&PARTNERS 施工:TSUKURUDESIGNOFFICE&PARTNERS

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静かな商店街の中に在る「珈琲とワインのある暮らし25」では、店前の足許のコンクリート地に刻印された店舗名と無造作に置かれた手描き文字の木の板や店主の似顔絵等々、手作り感溢れた店舗サインと共に、ガラス戸に描かれた線描のイラストが、珈琲やワインを楽しもうとする来店者を穏やかに迎えてくれます。自在な曲線がウィットに富んだユーモアを感じさせるイラストは店内壁面へと繋がり描かれて、洗練された空間を造り出しているお店です。(田口 敦子)

 

【景観広告部門 優秀賞】 裏ちばみんなの広場ミッケ

所在地:中央区新宿1丁目

施主:千葉駅B面研究会
設計:12番街Design  

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裏ちばみんなの広場「ミッケ」は、マルシェ、子育て世代に向けたイベント、ワークショップ型イベントにとどまらず、防災意識の向上をはかるイベントや遊休スペースの活用など、年間を通して地域の人と人を繋ぐ活動を通し、地域への愛着を育てることに貢献されています。指で輪っかをつくり何かを覗いているシロクマのロゴマークは、「ミッケ」の活動を分かりやすく楽しく伝えるビジュアルコミュニケーションデザインの好例として評価されました。(菊竹 雪)

 

【建築文化部門 優秀賞】 エルピザの里

所在地:緑区高田町

施主:社会福祉法人清輝会

設計:株式会社ゼロ・アーキテクツプラスコンサルティング

施工:輝建設株式会社

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 撮影:フォトワークス松田哲也

千葉東金道路の高田ICの近く、市街化調整区域内の森の中に建てられた障害者支援施設です。「閉鎖的ではなく開放的に」、「施設的ではなく家的に」というコンセプトで全体が設計されています。中庭を中心に様々な機能が配置され、それらが縁側廊下で繋がっており、居心地の良さそうな空間を随所で確認できました。地域住民の方々にも開放される交流ホールは屋外のアプローチ空間から直接アクセス可能であり、様々な交流が想起される良質なデザインだと言えます。(松浦 健治郎)

 

【建築文化部門 優秀賞】 金柑の実る住まい

所在地:花見川区花園1丁目

施主:T.M

設計:アトリエ24一級建築士事務所

施工:株式会社佐久間工務店

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 撮影:鈴木 文人

高度経済成長期に次々に建てられた「庭付き一戸建て住宅」の典型的なn-LDKの間取りや核家族構成の変化により、オーバースペックとなる場合が多いのですが、このプロジェクトでは一戸建専用住宅から集合住宅的な空間の変換可能な構造の空間化に成功しています。それはさながら、羽化を待つ「蛹」のようなものであります。継承された金柑の木は家族の記憶を象徴する存在でもあり、それはまた、街の風景の一部となっております。(霜田 亮祐)

 

【建築文化部門 優秀賞】 児童養護施設 房総双葉学園 小規模グループホーム

所在地:稲毛区天台3丁目

施主:社会福祉法人房総双葉学園

設計:伊藤潤一建築都市設計事務所

施工:株式会社カラカマ工務店

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 撮影:淺川 敏

外観は落ち着いた色調で、開口部が随所に設けられていることが特徴です。内部には木を基調とした大きなスケルトン階段や、ルーバー壁が施され、容易に人の気配を感じ取ることができます。一方、階段の向きや小屋裏空間など随所に工夫がみられ、一人でいたいとき、接したい時など、その時の気分に合わせて自分の居場所を決めることができるようにもなっており、安心面・安全面に十分な配慮がなされた快適な空間となっています。(大内 啓子)

 

【建築文化部門 優秀賞】 東京歯科大学千葉歯科医療センター
所在地:美浜区真砂1丁目 施主:学校法人東京歯科大学

設計:株式会社日本設計

 :清水建設株式会社一級建築士事務所
施工:清水建設株式会社千葉支店

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 撮影:株式会社 太右衛門

東京歯科大学のキャンパス再編に伴い新築された超大型の歯科医療センターです。正門から続く並木道に面して薄い屋根を低く抑え、ガラス貼りの外壁とあいまって人々を迎え入れるようなつくりとなっています。中からはこの構成が反転して、天井から軒先まで視線が連続するように設えられたフルハイト開口が、圧倒的な開放感をもたらしています。眩しさやプライバシーへの配慮から閉ざされることが多い診察室においてもこの開放感は踏襲されており、雑然としがちなユニットまわりも外から見られることを意識してスッキリと納められています。(河原 泰)

 

【C-HOPE賞(ホープ賞)】 みんなの想火 千葉・美浜
所在地:美浜区若葉3丁目及び美浜区真砂2丁目 団体:みんなの想火 千葉・美浜
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人々は夜空の下の「あかり」に魅了されます。本年9月、美浜区で開催された「みんなの想火」・「竹あかり」を灯すイベントは、竹の有効利用を目指してワークショップを開き、参加者の手で竹筒に模様を彫り込み、その竹筒の中に入れた火は豊かな形の穴から光を溢れさせて優しくあたたかい「あかり」となります。近年持続可能な社会を目指すことが求められるなかで、自然素材の活用の試みを進める「みんなの想火」プロジェクトがこれからも続けて開催されることを期待して、ホープ賞の第一回受賞作品となりました。(田口 敦子)

 

千葉市都市文化賞2022作品集はこちら(PDF:3,402KB)(別ウインドウで開く)

千葉市景観総合審議会千葉市都市文化賞表彰選考部会

委員(順不同)

役職等

大内 啓子 一般財団法人日本色彩研究所主任研究員
菊竹 雪 東京都立大学システムデザイン学部教授
栗生 明 千葉大学名誉教授
霜田 亮祐 千葉大学大学院園芸学研究院准教授
田口 敦子 多摩美術大学名誉教授
松浦 健治郎 千葉大学大学院工学研究院准教授
山﨑 誠子 日本大学短期大学部准教授
河原 泰 公益社団法人日本建築家協会関東甲信越支部千葉地域部幹事
佐藤 聰子 公募による市民

 

このページの情報発信元

都市局都市部都市計画課都市デザイン室

千葉市中央区千葉港1番1号 千葉市役所低層棟4階

ファックス:043-245-5627

keikan@city.chiba.lg.jp

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