更新日:2022年1月19日

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「千葉市都市文化賞2020」の受賞作品が決定しました。

令和2年度(2020年度)は、令和2年7月1日から9月30日まで募集を行いましたところ、33点のご応募がありました。

多数のご応募をいただきましたことに、心より御礼申し上げます。

応募された中から千葉市景観総合審議会千葉市都市文化賞表彰選考部会の選考により、下記のとおり7件の受賞作品を決定しました。

また、令和3年1月26日に表彰式を開催し、各作品の受賞者の代表者に賞状を授与しました。

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千葉市都市文化賞2020表彰式の記念写真(令和3年1月26日)

前列:各作品の受賞者の代表者、後列:選考委員(左右)、千葉市長(中央)

 総評

2020年は、新型コロナウイルスの蔓延に始まり、世界中でその終息を見ないままに終わるという、間違いなく世界史に刻まれる異常な年になりました。
当然のことながら、さまざまな催しが延期、あるいは中止においこまれました。
予定された建設も、資材や人材調達がままならず、工事は中断され、新たに計画されていた建設も着手できないままに年を越すことになりました。
千葉市都市文化賞の応募総数も、例年に比べ大きく落ち込みました。
しかし、応募された作品群をみていると、近年現れてきた都市住民の意識の変化が、この災厄時において、顕著に見て取れるようになってきました。
それは「公共の再構築」という意識です。
「共同体主義の再構築」と言い換えてもよいかもしれません。
都市とは単に人が集って、働いたり、学んだり、暮らしたりする場であるだけでは十全なものとは言えません。
人々が集団として共有し、維持している祭礼や儀式や伝統芸能や生活文化、さらには相互扶助の仕組みなどに基礎づけられたもの、人々がその振る舞いにおいて共有するもの、そのことによって暮らしが安全で快適になるもの。
つまりは「文化」の醸成こそが、「都市」と呼ばれるには必要不可欠なものなのです。
1964年の東京オリンピック以降、日本は経済の成長こそを国是としてひた走ってきたように思います。さらにグローバリズムと新自由主義が人々を分断し、「私たち」と名乗る共同主観的な主体が消滅してしまいました。
都市を、人が集まっているだけでつながりのない粒状化した砂のような「人工砂漠」だと呼ぶ人さえでてきています。
しかし、近年、それこそ身の回り、近隣からのささやかな共同体のたちあげを試みる活動が、ひろがってきています。たぶんアフターコロナではその動きが加速するように思います。
今回の応募作でも、そうした共同体の力強い萌芽を「富田さとにわ耕園 中田やつ耕園 下田農業ふれあい館」「手づくり公園まさご」「朝日ヶ丘公民館コミュニティガーデン『サンライズガーデン』」「園生の森」「西千葉工作室」にみることができました。
一方最終選考に残った建築作品においても共通した傾向が見て取れました。それはどれも、木造、あるいは木を表現の中核に置いたものでした。
そこで暮らす、あるいは活動するひとびとにとって、柔らかく肌触りのよい温もりを感じさせるだけでなく、その建築を外部から眺め、訪れる人々にとっても開放的であり、親和的なものとして、有機物の木が選ばれたのだと思います。
コロナの災厄を経験することで、あらたな「公共の再構築」が大きな流れとなることを願っています。

千葉市景観総合審議会

千葉市都市文化賞表彰選考部会長 栗生 明

受賞作品

優秀賞(7件)

【景観まちづくり部門】 西千葉工作室

所在地:稲毛区緑町2丁目

団体:株式会社マイキー/西千葉工作室
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京成みどり台駅と千葉大学を結ぶ学園通り沿いに位置する本施設は「ものづくり」のためのスペースと道具を地域住民に提供し、ものづくりに関する様々なイベントも開催しています。本施設の運営者は空き地を地域に開かれた広場とするハローガーデンも運営しており、西千葉の地域資源を地域にシェアする活動を継続的に展開しています。このような活動は景観という枠組みを超えて地域の生活の質を豊かにしていると言え、高く評価できます。(松浦 健治郎)

 

【景観まちづくり部門】 富田さとにわ耕園

所在地:若葉区富田町

団体:千葉大学工学部デザイン文化計画研究室
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かつて、公園は過密で劣悪な都市における“肺”として誕生しました。コロナ禍のもと、都市住民が表土に触れ、耕すという人間のプリミティブな行為は注目されており、この都市近郊農地は都市公園の新たな姿を体現しています。耕すことのできる“公園≒耕園”というのも魅力的なネーミングであります。 (霜田 亮祐)

 

【景観まちづくり部門】 園生の森

所在地:稲毛区園生町

団体:園生の森公園を育てる会

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 撮影:佐々木 知幸

「園生の森公園を育てる会」は市の指導を受けながらできる範囲の森の管理を行っているという話ですが、思っている以上にその活動は活発で広範囲にわたっています。そのおかげで地域の人々や千葉市民にとっても大変貴重な植物相が守られています。台風や温暖化による病害虫の発生など、毎年違う問題が立ち上がっていても皆さんが協力しあって、知恵を出し合って整備している部分がたくさん見られます。次世代への橋渡しが課題のようですが、ぜひこれからも積極的に続けていただきたいと思います。 (山﨑 誠子)

 

【景観広告部門】 富田さとにわ耕園 中田やつ耕園 下田農業ふれあい館

所在地:若葉区富田町、中田町、下田町

設計:千葉大学工学部デザイン文化計画研究室

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高度な都市化が進む千葉市においては農業景観は大きな魅力となっています。なかでも若葉区いずみ地区においては富田・中田・下田の3カ所に都市農業交流センターが整備され、それぞれ「富田さとにわ耕園」「中田やつ耕園」「下田農業ふれあい館」と親しみやすい愛称が付けられています。農村と都市の交流が目指されているこれらの取り組みにはロゴマークが作成され「富田さとにわ耕園」は庭のような親近感、温かさ、そして賑わいのイメージを楕円と円弧の重なるフォルムと暖色系の色彩に反映させ、「中田やつ耕園」はかっての谷津の地が畑や野バラ園の丘となり、その丘の連なりを柔らかなアースカラーによってシンボル化し、「下田農業ふれあい館」は人や作物が行き交う古道を柔らかな曲線とグリーンで表出する等、いずれも自然の視覚化に成功し、完成度の高いロゴマークとしてこの地を訪れる人々に穏やかに働きかけることと思います。 (田口 敦子)

 

【景観広告部門】 feel free coffee.

所在地:中央区松波2丁目

施主:feel free coffee.

設計:長谷川 祥 小林 佑輔

施工:株式会社ビリーフデザイン
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千葉大学脇ゆりの木通りにあるカフェ「feel free coffee.」。店舗前の通りに設置された仮設スタンド看板と入口床の「feel free coffee.」プレートがサインとして機能しています。商品パッケージにも使われているロゴマークは、柔らかい印象を与える店舗名とミルクピッチャーを想起させるグラフィックデザインでカフェの魅力を伝えるとともに、大学街に控えめながらカフェの存在感を示す上質なサインとなっており、景観広告の可能性を示す好例として評価されました。 (菊竹 雪)

 

【建築文化部門】 藤森小児科

所在地:花見川区作新台1丁目

施主:藤森小児科

設計:TSCアーキテクツ

施工:株式会社秀建ビルド
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ひと際目を引く2つの大屋根が、「大丈夫、安心して」と大きく手を広げているような印象を受けます。外壁には木がふんだんに使用されており、温かさと同時に重厚さをも醸し出しています。また、入口から幹線道路側の壁面には大きな窓が一面に使われており、歩道から見ると、明るく開放的なイメージです。さらに待合室に入ると日の光が燦燦とふりそそぎ、木と草木をモチーフにした室内はとても優しく、穏やかな空間になっています。 (大内 啓子)

 

【建築文化部門】 高円宮記念JFA夢フィールド クラブハウス

所在地:美浜区美浜

施主:公益財団法人 日本サッカー協会

設計:株式会社 三菱地所設計

施工:戸田建設株式会社 千葉支店

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 撮影:©JFA/KKPO Shota Hiyoshi

日本サッカー協会の新しい拠点施設である本建物は日本刀をモチーフにデザインされた木製の庇が印象的です。正面のエントランスホールに入ると、天井と壁に貼られた流れるような木製ルーバーの先に天然芝のピッチが見えます。4面のピッチは風向きや太陽の向きなどの条件を変えるために3つの違った角度で配置されており、幕張海浜公園とサッカー施設が一体となってデザインされています。幕張エリアを象徴する施設として高く評価できます。 (松浦 健治郎)

 

 

このページの情報発信元

都市局都市部都市計画課都市デザイン室

千葉市中央区千葉港1番1号 千葉市役所低層棟4階

ファックス:043-245-5627

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