緊急情報
更新日:2018年9月28日
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(平成29年7月30日)
千葉市では、避難所となる施設毎に、職員だけで避難所の開設や運営が困難な災害発生時にも、地域住民同士が主体となって避難所を開設・運営を行えるよう、町内自治会、自主防災会等が一体となった「避難所運営委員会」を設立していただいております。避難所運営委員会を設立したが、または、これから避難所運営委員会を設立したいがどのように運営していくべきか?といった疑問の声に対し、花見川区では、内閣府「避難所運営ガイドライン」の策定にも携わった浅野幸子先生を招き、「だれもが安心できる避難所づくり」について、地域の皆様と一緒に考えました。
平成28年4月に発災した、熊本地震では、家屋倒壊等で亡くなった直接死50人に対して、避難生活等で体調を崩すなどして亡くなった関連死が170人を超えています(平成28年4月末現在)。阪神・淡路大震災でも、避難生活等での関連死は900人以上に上りました。
特に、高齢者、障害者、持病のある人、乳幼児、妊産婦、女性がより困難な状況に直面する傾向にありますが、地域住民同士で工夫し合って、命と健康を守るための工夫をした例もあります。
以下、高齢者、障害者、乳幼児、女性等の観点から避難所を考える大切さについて、先生のお話を伺い、皆様と一緒に考えたことについてご紹介させていただきます。
日時:平成29年7月30日(日)13時30分~15時30分
会場:花見川保健福祉センター 大会議室
参加人数62人(女性18人、男性44人)
日時:平成29年7月30日(日)17時30分~19時30分
会場:検見川公民館 講堂
参加人数23人(女性15人、男性8人)
(保健福祉センターの様子) (検見川公民館の様子)
浅野幸子 先生
内閣府の「避難所運営ガイドライン」(2016年)策定委員。阪神・淡路大震災ではボランティア団体スタッフとして4年間、現地で避難者支援、復興まちづくり支援に従事。その後、東日本大震災女性支援ネットワーク運営委員会を経て、現在、減災と男女共同参画研修推進センター共同代表、早稲田大学地域社会と危機管理研究所招聘研究員、大学非常勤講師。専門は、地域防災。
千葉市では、災害対策基本法に基づき設置している千葉市防災会議の専門委員として地域防災計画の作成等に携わる他、地域における防災リーダー養成を目指す防災ライセンス講座の講師など、千葉市の防災施策に深く関わっていただいている。
被災者は必ずしも行政が指定している避難所に行くとは限らない。避難所に行かざるを得ない人、避難所に行きたくても移動が難しい人(寝たきり・車イスなど)、集団生活が難しい人(認知症の高齢者・障害者・乳幼児のいる家庭等は、徘徊・泣き声で周囲に迷惑をかける、本人が落ち着けないなどの問題に直面する)、避難所がいっぱいで入れなかった人など、多様な避難パターンが生じる。
避難のパターン
・指定の避難所に行く(小中学校、公民館などの公共公益施設)
・指定外の避難できる施設に行く(集会所、ガレージ、事業所等、車中泊)
・自宅にとどまる、親せきや知人宅へ避難(在宅避難)
少しの期間なら備蓄をされている方も多いだろうが、4・5日かそれ以上避難生活がつづくと、指定避難所以外で避難生活している被災者は、食料や生活必需品を手に入れることが難しく、支援に関する情報も入って来にくくなる。また、指定避難所でしか支援がうけられないとなると、自宅が被害を免れ余震が収まっても、指定避難所に留まり続ける人が生じる→避難所の混雑が緩和されず環境が悪化する、という悪循環にもつながる。
避難所は、避難者が寝泊まりするだけの場所か?
避難所は災害時の情報拠点であり、支援物資をやりとりする拠点である。
避難所運営をうまくするためには、避難所以外の場所で過ごしている避難者を考慮に入れること。どうやって情報をわたし、どうやって物資をやりとりするか。
そうすることで、避難所には、主に避難所に行くしかない人を収容することになり、それ以外の場所でも避難生活が送れるようになる。→避難所がすく。多くの人にとって、環境が良くなる。
「避難所」という言葉はわかりやすいが、避難者が寝泊まりする場所と思いがちである。「避難所」は物資や情報が集まる「防災拠点」と考え、避難所運営をしていく必要がある。例えば、在宅避難者のリーダーを決め、必要物資の取りまとめを依頼するなどの方法。
これまでの大規模災害の際に、避難所であった話し。男性が避難所運営の役員を担い、女性は炊出しの係という役割分担になった。さて、これでうまくいくだろうか?男性の役員さんには、生理用品やオムツ、介護用品の相談をされても、わからないことも多く、困ってしまって避難所の運営がパンクしてしまった。女性も、生理用品や必要な下着のサイズを男性の役員さんに伝えづらい。一方で、女性が担うことが多い炊き出しも長期化した場合、非常に重労働だ。
したがって、地域の役員・リーダー層に、男女、世代がバランスよく入るようにすること、一部の人に仕事が偏らないようにすることが大事だ。
特に、生活面での要望を災害対策本部や支援者に的確に伝えることができなければ、必要な物資も届かないが、家庭生活でそうした面を担っている人のほとんどが女性だ。したがって、特に女性の要望をしっかり集め、女性も入って意思決定することが不可欠だ。
例として、アレルギー対応食の話題がでた。東日本大震災で、食品企業から、多くのアレルギー対応食品が提供されたにもかかわらず、それを必要な人に届けることができなかったそうだ。障害がある方、アレルギーがある方は、ご自身やご家族が申し出なければ伝わらない。そして、その申し出を集約できる体制であることが必要である。女性も男性も積極的にリーダーシップを発揮することで、皆が必要なことが情報として伝わり、物資や支援の手として受け入れることが可能となる。
要配慮者の生活困難を、ご参加の皆さんと一緒に考えた。
「目の悪い方」「耳の悪い方」「体が不自由・車いすの人」「糖尿病・高血圧・嚥下障害の人」「喘息・食物アレルギー・アトピー性皮膚炎」「乳幼児・子ども」「外国人」など、配慮が必要と思われる人に対し、困ることは何か?必要な事は何か?を書き出した。
そして、それに対する資源を探してみた。
資源は「看護師」であったり、「近所の病院」であったり、「保育士」であったり。
今回の講演会では、各テーブルに色々な地区の方が座っておられるため、具体的に「○○薬局」とか、「子どもに人気の◇◇さん」などという具体例がでることは少なかったが、こういった、意見を出し合い、書きとめる取り組みを地域でやってみると、地域にどんな資源があり、どんな方がいらっしゃるのか?気づきの場となる。
資源となり得る人や組織には、避難所運営委員会に参加いただけるよう声をかけてみるとよい。
(意見を書き出している様子)
大規模地震で、上下水が思ったように使えないこともある。そうなれば、使い慣れた水洗トイレというわけにもいかない。そのために、トイレを我慢してしまう傾向があるそうだ。特に女性や高齢者に多いとのこと。トイレにできるだけ行きたくないから、水分を我慢し、結果的に体調不良や脱水症状を起こしたり、血流が悪くなりエコノミークラス症候群となり、これらから、震災関連死につながることもある。こまめに運動、そして水分、さらには安心してトイレに行ける環境が重要。
避難所では、トイレで女性と子どもが被害にあう事件も起きている。怖い目にあうことのないよう、安全に配慮する必要がある。不審者の対応には男性にも対応いただき、暴力は許さないという姿勢を明確に示して、警察にも見回りを依頼するなどが必要。
今回の講演会は、2か所合わせて85人にご参加いただき、83人にご回答いただきました。ご協力ありがとうございました。今後の避難所運営委員会設立促進や、みなさまにより良い運営をしていただくための参考にさせていただきます。
本講演会を、多くの皆様に、参考になったとご回答いただきました。
今回ご参加いただいた方が、避難所運営に携わっておられる方や、今後の運営を模索される方が多く、自由意見の中には、自治会や地域の行事の運営に苦慮されておられるご意見が多数みられました。今後、花見川区として、避難所運営に興味を示しておられない方にも、すそ野を広げていけるような施策を検討すべきであると気づきました。
(自由意見より取りまとめております。)
・町内会へ加入しない、地域の行事に参加しない人がいること
・個人情報の提供を拒む人がいること
・町内会等の役員の高齢化
・運営委員になることの負担が大きい
・避難所運営委員会へ参加する住民間の温度差
・避難所運営委員会の認知度、避難所のわかりにくさ
・避難所の構造や、周辺道路の狭さなど
・備品が少ないこと
・行政がどれくらいできるのかがわからないこと
(自由意見より取りまとめております。)
・実際の体験談、現場の映像や写真から、事例や問題点を知りたい
・避難所のレイアウト、施設の管理について知りたい
・参考となる良い事例、すそ野を広げていく事例等を知りたい
・集合住宅での火災の対応等について知りたい
・講演会を定期的に実施してほしい
・この種の講演会を自治会や避難所単位でやってほしい
(自由意見よりとりまとめております)
・避難してきた人に運営を手伝ってもらうという話が参考になった
・地域の情報拠点の整理を頑張りたい
・自治会で話し合いたいと思う
花見川区地域振興課くらし安心室
kurashianshin.HAN@city.chiba.lg.jp
電話275-6224
Fax 275-6799
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