千葉市動物公園 > アカデミア・アニマリウム(教育・研究) > アカデミア・アニマリウム講演会 > ちばZOOフェスタ・2021~アカデミア・アニマリウム~
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更新日:2024年4月24日
動物園の社会的役割として、「種の保存」「調査研究」「教育普及」「レクリエーション」があります。千葉市動物公園では、さまざまな学校、研究・学術団体、企業との連携も含め、包括的な調査研究、教育普及活動を「アカデミア・アニマリウム」と称し、活動を推進しています。
「ちばZOOフェスタ・2021」では、その成果の一部を口頭発表とポスター発表しました。
現在動画は公開しておりません。
当初、アーカイブは非公開の予定でしたが、多くの方より再視聴のご要望をいただき、外部講師による公演の一部の発表について期間限定で公開することとなりました。
公開期間は2022年1月15日(火)までとなります。ぜひこの機会にご覧ください。
10/30(土)・31(日)・11/3(祝)・6(土)・7(日)
動物科学館1Fレクチャールーム
アカデミア・アニマリウムの開催にあたり、イントロダクションとして、動物園って何だろう?と言った素朴なテーマから、動物園の歴史や課題を踏まえた千葉市動物公園の様々な取り組みをご紹介させて頂きます。
動物園は世界中のさまざまな動物を飼育していますが、その目的は展示と発信にあります。では、動物園は何のために、生きた動物を展示しているのでしょうか。動物園展示のいろいろな実例を紹介しながら、「動物園はなぜ、何を、どのように伝えるべきか」を考えるヒントをお話しできればと思います。
動物科学館に「動物園で考古学」コーナーを設置しました。動物公園のある台地上は、約4500年前の大きな縄文ムラであり、出土品を現地に展示するとともに、ヒトと動物の関わりの歴史を紹介しています。かつて下総台地は野生動物の宝庫でした。貝塚の多い千葉は、動物との関わりを知るための材料も豊富です。ヒトは動物とどのうように関わってきたのか、ながい歴史を概観したいとます。
48,000−1,500=46,500 何の数字だと思いますか?
実はこの数字、千葉県内で1年間(有害駆除された動物)−(ジビエなどに利活用された動物)=ゴミとして捨てられた動物…の数字なのです…頂いた命をどうするのか?未来に向けて何をするべきなのか?猟師の立場からお話させていただきます。
ニューギニアに生息する哺乳類は、オーストラリアと同じく基本的には有袋類です。その特異な動物相の中で狩猟採集する人びとの暮らしについて、様々な場面の写真を交え紹介していきます。狩猟対象としての動物、飼育対象としての動物、物語のキャラクターとしての動物、それぞれ日本とは関係性が異なりますが、だからこそ動物園における人間と動物の関わりについて視野を広げて考えられるのではないでしょうか。
霊長類とはどんな動物かご存知でしょうか? 霊長類には我々ヒトも含まれますが、霊長類に共通する特徴や霊長類の分類、さらにヒトだけが持つ特徴など、あまり知らない方もいるのではないでしょうか? 本発表では、千葉市動物公園にいる霊長類を中心に霊長類の特徴や違いについて、クイズも交えながら紹介します。これを聞けば、きっとあなたも動物園でサルをじっくり観察したくなること間違いなし!?
私たちは動物園の動物がWellness(心身ともに健康)な生活が送れることを目指して、生活環境に注目し、IoTや5GなどのICTを活用した「Gorillas in the 5G」を提案する。千葉市動物公園のゴリラの生育環境に着眼し、①暑さ対策、②刺激不足、③動物園のICT化が不十分の3課題を中心に、IoTミスト装置や刺激を与えうるパズルフィーダー、データ活用基盤の開発・実証を通じて、動物園における5GやIoTを活用した環境エンリッチメントを実現し、地域社会への貢献として還元する。
ニシゴリラを含む類人猿はヒト科に属し、たいへん知能が高く、飼育していく上で、その生活の質(QOL)の充実が、以前にも増して重要となってきています。そのゴリラたちが、少しでも快適に過ごせるよう、工夫してみました。さらに、謎に包まれていた、夜間の行動をビデオで撮影、分析しました。
ワタボウシタマリンの人工哺育は、前回、取り上げた「あおちゃん」の3年後におこなった、双子のプラちゃんとダンちゃんについて取り上げたものです。「あおちゃん」の時と比べてみました。
フラミンゴの嘴は、成長に従って曲がることが知られていますが、成長の過程で「いつから」、「どのように」曲がるのかについての報告はありません。2018年に人工ふ化、里親育雛という自然に近い状態で育ったベニイロフラミンゴ1羽の成長を追うことができ、嘴の成長の一事例として、貴重な報告です。
バードホールには現在3頭のフタユビナマケモノが暮らしています。姿を見つけるのはなかなかたいへんです。バードホールの中でナマケモノがどこにいるのかを朝、昼、スコール後、夕方の4つの時間帯で調べました。なかなか動かないからこそ、見つけるのが難しく、現在まで生き延びてきたことの証ともいえます。行動調査の一端をご紹介します。
2015年、国連本部において、2030年の達成を目指す持続可能な開発目標が採択されました。これがみなさんご存知のSDGs(Sastainable Development Goals)です。採択の背景には、気候変動、貧困や飢餓、武力による衝突など、全世界の深刻な課題があります。一方、野生動物が形成している社会は、自然との共存、動物同士の共生で溢れています。もしかすると野生動物の世界には、人類のSDGs達成に向けたヒントが多く存在するかもしれません。みなさん、動物が実践しているSDGsを一緒に考えてみませんか?
AI技術を使用して“クロザル” の生態の認識、データ化に取り組んでいます。AIで人手を使用せずに生態データを取得できるようになることで、動物の調査研究や種の保存活動への貢献できると考えています。クロザルは全身真っ黒で、人間でも個体認識が難しく、AIとしても難易度は高くなっています。試行錯誤の結果、ある程度の個体認識ができるようになりました。
今年の2月に亡くなってしまったオランウータンのフトシ君は、神経症状がじわじわと悪化していく経過をたどりました。生前に原因を特定することは困難でしたが、東京大学獣医病理学研究室のご協力のもと、ご遺体を検査させてもらい、フトシ君の身に何が起きていたのか、少しずつ明らかになってきました。その概要をご紹介いたします。
カリフォルニアアシカは、1992年以来15回の繁殖があったが、子どもを離乳させ自力採食(自分で魚を食べる)までに、いずれも、かなりか苦労していた。しかし、2018年の16 例目繁殖では、離乳から自力採食への移行が、苦労することなくスムーズであった 。本報告では、過去の15例と16例目について比較検討し、その要因を推察した。
園内には沢山のカラスが生息しています。そのカラスたちは展示している動物の毛を頻繁にむしっていきます。毛を抜かれるだけでなく皮膚を傷つけられる恐れもあるため、対策が必要だと考えました。今回は、園内で毛刈りによってでた羊毛を展示場に設置してカラスに利用させることを試みました。
当園では、フラミンゴの繁殖が軌道に乗らず、営巣・産卵をしても孵化に至らないことが多くなっていました。そこで、今年はフラミンゴの飼育下繁殖を目標に、ビデオカメラの記録からフラミンゴがどのような行動をとっているのかを解析したり、フラミンゴがどのような環境を営巣場所に好んでいるのかについての考察も行いました。
私たちは動物の幸せをどう捉えていけばいいでしょうか?そもそも私たちは動物とどう関わっていくべきでしょうか?本講演では、こうした問題に向き合っていくためのいくつかの考え方、なかでも特に「動物福祉」の概念についてお話しします。さらにその具体的な取り組みとして、千葉市動物公園で飼育されているアメリカビーバーを対象とした夜間放飼の効果について調べた研究も紹介します。
皆さんは動物園ってどんなところだと思いますか。珍しい動物を眺めさせてくれる行楽地,そんなところでしょうか。でも実際は,生き物の不思議について来園者に解説したり,飼育下で詳しく生き物について研究したり,飼育により得た技術や知見をもとに野生の生き物の保全なども大事なお仕事なんです。でも,そんなに沢山のことを行うのは大変では?そこで大学が何かお手伝いできないかと考えたのがZoo Science Hubです!
トレーニング下で実施するレッサーパンダの体重測定は、彼らにストレスを与えずに、健康状態を把握するのに重要な情報です。担当をしていた12年のこの結果から、昨年は新生児の体重の変化について発表しました。今年は成獣のメスの体重測定の結果から、体重の変化と季節の関係や、妊娠の有無の特定や、妊娠期間の幅が大きいレッサーパンダの出産日の推定ができるかどうかを調べてみました。
ゾウの健康管理を行うには、ターゲットトレーニングやボイストレーニングなどで、長きにわたって行っています。ライオンのトレーニングは、初めてのことでしたが、チャレンジをしてみました。健康管理を行う上で、必要性を実感しています。先ずは、体重測定ができるようにすることから開始しました。知られることのない舞台裏では、地道な努力の積み重ねです。
子ども動物園にインコ舎があります。そこにいるアカコンゴウインコの雄は、7年前より、てんかんのような症状が、時々出ます。今回、その個体について、検査等を行いましたので、その概要をご紹介いたします。
野生のミーアキャットはメスがリーダーとなって群れをつくります。リーダーとなるメスが複数頭いると闘争が起こりやすくなります。そのため、当園の展示はオスのみで群れをつくり展示しています。この群れの中には、他個体と比べて餌への執着が著しく低い個体がおり、そのままにしておくと他個体から攻撃を受けてしまいます。そこで、群れで攻撃を受けないための取り組みを検討しました。
ブチハイエナの現在のお見合いの状況を報告します。イトゥバとカロアの相性を確認中です。イトゥバとカロアのペアが誕生した後、2頭の子供を含めた群れの形成を目指して取り組んでいます。女王社会であるブチハイエナの社会は順位と挨拶が大切だと言われています。現在確認できている挨拶の種類も紹介します。
野生チーターの生息数は、この100年の間に90%以上も減少し、このままでは近い将来この地球から消えてしまうと言われています。昨年6月、世界各国の動物園の協力により、繁殖を目的として7頭のチーターが千葉市動物公園にやって来ました。今回、めでたく繁殖に成功したので、誕生するまでの裏話をご紹介します。
千葉市動物公園では、チーターの繁殖を促進するにあたり、2020年6月の導入直後から、雌チーター4頭の糞中ホルモン測定及び行動観察を継続的に行なってきました。本講演では、繁殖に向けて行動観察をする意義と2021年6月に出産に至ったズラヤの交尾までの行動の変化について紹介します。
動物園で希少種の飼育をより効果的に行うために,様々な取り組みが行われています。希少種の繁殖には確立した法則がないため,繁殖を成功へ導くために日々研究が続けられています。日々の実践と研究とが並行して進められ,絶えず情報蓄積が行われ,それが繁殖技術の向上や繁殖特性の解明につながっていきます。飼育下繁殖が難しいチーターやハシビロコウなどを例に,動物園で性ホルモンの測定がどのように活かされているかを紹介します。
閉会のことば (千葉市動物公園長 鏑木一誠)
ポスター掲示による発表
10/30(土)~11/7(日)9:30~16:30
動物科学館1階及び2階特別展示室
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