緊急情報
更新日:2017年3月17日
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教育委員長;中野 義澄【2016年3月23日】
学校医の役割
私は教育委員に就任した最初の教育委員メッセージ(2012年10月24日)で学校教育における学校医の役割について述べました。「児童生徒の健康管理」と「児童生徒に命の大切さを教える」ことが学校医の重要な役割です。千葉市内の小中学校の内科系学校医は千葉市医師会から推薦された内科医、小児科医、整形外科医などが担当しています。それぞれ専門の科は違っても皆医学のプロです。学校医は年に一度の健康診断、学校保健委員会への出席、小学校の就学時健診などを行っています。これは「児童生徒の健康管理」としての役割です。もう一つの「命の大切さを教える」役割が、現在では残念ながらあまり実行されていないと思います。
千葉市教育委員会では、2011年から「いのちを守る教育推進プラン」で小5、中2を対象に心肺蘇生法の講習を行っています。命の大切さを教える上で大変重要なプランです。2011年は1中学校区4校、2012年は2中学校区7校、2013年は8中学校区24校、2014年は14中学校区37校、2015年は20中学校区59校と実施校が増えています。なお、市立高校では、1年生を対象に保健の授業の中で、心肺蘇生法の講習を行っています。
このプランの結果、授業後では90%以上の児童生徒がAEDの使用方法に対する理解を深め、人が倒れていたら助けると回答するようになっています。現在、保健体育科教諭、学級担任、養護教諭が主体的に指導しており、学校医はあまり関与していないのが現実です。こうした授業の前などに学校医が医師の立場から自身の経験を踏まえて命の大切さを児童生徒に話すような体制が必要と思います。
また、千葉市が委託して、千葉大学医学部附属病院に設置している「認知症疾患医療センター」では、孫の世代に認知症を理解してもらおうと「認知症こども力プロジェクト」で小中学生を対象に認知症について教育する試みを行っています。市内の小中学校でも一部で認知症サポーター養成講座が始まっています。しかし、これにも学校医は今のところ関与していません。認知症を理解することも命の大切さを知る上でとても大切です。
こうした「命の大切さを教える」機会に学校医がもっと積極的に関与できる体制を医師会、教育委員会が協力して作っていきたいと思います。
教育委員;和田 麻理【2016年2月2日】
いつか、何処かで
2011年3月11日14時46分、皆さんはどこで何をしていましたか?
私は15時から始まる会議に出席するため、千葉市役所にいました。
「あれ?地震かな?」と思っているうちに、次第に揺れは強くなり、大きく長く続き、「ついにそのときが来た!」と感じました。すぐにテレビをつけ震源が東北だと知り、皆で外に出て次々と起きる余震に怯え…と、今でも、目にした光景や感じたことを克明に思い出します。
千葉市では、当日の午前中に市立中学校の卒業式が行われていました。あれから5年。その卒業生が、今年成人式を迎えました。
未曾有の大地震と大津波を目の当たりにして以来、心がけていることが3つあります。
1つ目は、今、ここで、大きな揺れがきたらどのように動こうかとイメージすること。気がついたときに、さまざまな場所・時間でシミュレーションすることで、とっさの行動がとれるようになるのではないかと思っています。
2つ目は、家族を巻き込んでワンポイント避難訓練をすること。ワンポイント避難訓練とは、訓練時間を予告せず、突然地震が起きたと想定して、物が動いてこない、倒れてこない、落ちてこない場所で一次避難をする訓練です。実践している学校や職場もあるかと思いますが、いつ起こるかわからない地震に備えて、第一次避難を安全に行え、自分の身を自分で守れるよう、我が家では時々私が音頭をとっています。
3つ目は、まず自分の身の安全を確保したら、周りの人と助け合いながら避難しようと考えることです。誰かを助けようとする気持ちがあれば、自分の力以上にがんばれるのではないかと思うのです。
東日本大震災の後、千葉市教育委員会では、以前から行ってきた避難訓練や防災教育を、より実践的に充実させ、また、子どもたちの安全を最優先に進めてきた、学校施設の耐震化工事は昨年10月に完了しました。5年の月日はハード面やさまざまなシステムをしっかりと構築していくために、有効に費やされてきたと思います。
しかし、時間と共に、私たちの意識の中で、震災の記憶が少しずつ薄れてきていることは否定できません。
間もなく震災後5回目の3月11日が巡ってきます。この区切りの時にあたって、今一度、防災・減災について、家族や友人など周囲の人と一緒に考えてみませんか?そして、いつか 何処かで、遭遇するかもしれない、いざというときに自分ができることを、日頃から想定してみてはいかがでしょうか?
教育委員;小西 朱見【2016年1月20日】
キャリア教育について考える
昨年、子ども議会に参加した市内中学生と教育をテーマに意見交換をしました。その際、中学生から「将来の仕事に必要な資格や方法について学校で教えて欲しい。」という意見が出たことに感心するとともに、キャリア教育充実の必要性を感じました。昨年設置された市長と教育委員会が協議する「総合教育会議」の中でも、「キャリア教育の推進」は重要協議事項の1つとなっています。
弁護士を扱うテレビドラマが多いためか、私も、子ども達からよく「どうして弁護士を目指したの?」「弁護士になるにはどうしたらいいの?」と聞かれることがあります。
ドラマに出てくる弁護士は、1つの事件を追いかけ、法廷で自由自在に言葉を操り、鮮やかに、そして劇的に事件を解決します。弁護士の仕事に「正義の味方」「華やか」というイメージを持つ方も多いのではないでしょうか。
しかし、実際の弁護士の仕事はというと、意外に地味です。
裁判所で法廷に立っている時間よりも、事務所で依頼者から話を聴いたり、パソコンに向かって書類を作ったり、過去の裁判例や本を調べたり、という時間の方が圧倒的に多いです。
ドラマでは1つの事件のために電車や飛行機で全国を旅していますが、実際には、弁護士は、常に数十件もの事件を同時並行で抱えています。時間や作業に追われるバタバタな毎日です。他人に頭を下げる場面も多いです。1つ1つの事件が依頼者の人生を左右する以上、手を抜くこともできませんし、重圧と苦悩で押しつぶされそうにもなることもあります。そのような中でも、仕事をやり切った時や依頼者から感謝される時、この仕事をやっていて良かったと心から思います。
世の中のどのような仕事に就くとしても、理想と現実のギャップは必ずあります。子ども達には是非、実際に仕事をしている人から直接話を聞く機会をたくさん持ってもらいたいと思います。
また、子ども達は、学校の勉強をしている時に「この科目は自分とは関係ないや。」と思いがちです。しかし、弁護士も法律の知識だけあれば事件が解決するなんてことはあり得ません。社会や人間を知るために勉強の毎日です。教員の皆さんには、義務教育を通しての学びや経験が、どんな仕事に就こうとも、いずれどこかで必ず役に立つということを、しっかりと子ども達に伝えてあげて欲しいと思います。
ちなみに、ドラマの中の弁護士と実際の弁護士、違うところばかりですが、共通点もあります。それは「依頼者のために全力を尽くすこと」でしょうか。
教育委員;明石 要一【2015年12月22日】
リーダーを育てる試み
11月5日に千葉市の中学校の生徒会交流会が開かれました。報告書によれば興味深い結果が見られます。55中学校の中で生徒会役員を競争選挙で実施した学校は55%と半数に止まり、そのほかの学校は信任投票のようです。選挙は民主主義の原点です。そして、複数の候補者の中からふさわしい人を選ぶのが望ましいと言われます。
9月に千葉県の「少年の主張」が開かれました。県下から13名の中学生が選出されました。そこで気になったのが、13名中男性が1名だったことです。各地の選抜をくぐり抜けた大半は女性だったのです。かつて、弁論大会といえば、男性の独壇場でした。それが今や逆転しています。人前で自分の意見を表明するのが苦手な男性が増えているのでしょうか。
リーダーには判断力と責任と情熱が必要と言われています。生徒会役員の選挙の実態や少年の主張をみていると、リーダーの育成はなかなか難しいようです。
しかし、希望はあります。千葉市は子ども議会を行っています。この子ども議会は自慢できます。参加人数は、50~60人程度で、実際の議員定数とほぼ同じ数です。子どもの議員は市政だよりなどで公募されます。対象は小学校5・6年生です。
実際の本会議までに5回ほどの研修があります。1回目は熊谷市長の講話と班ごとでの課題発見を行います。2回目は、質問や提案のテーマを絞ります。3回目は市役所の職員からテーマごとのヒヤリングを行います。4回目は調査したことのまとめです。5回目が発表の模擬練習です。そして、当日を迎え市長や副市長、教育長、局長達に質問をします。
小学生なので当然、教育委員会の職員や中学生の世話役の援助はありますが、子どもたちは堂々と意見表明をしています。アドリブも入れています。千葉市の子ども議会はこれまで6回開催され、地道ですが将来のリーダー育成を目指しています。
教育委員;内山 英夫【2015年11月18日】
人と人のつながり 関わり合い
人が生まれたとき、多くの場合、最初のつながり、関わり合いは家族です。
家庭と言う小さな社会の中で、家族と共に過ごす日々、色々学習をしながら、生きていくために必要な事柄を身に付けていきます。成長するにつれて、自分の周辺にいる人を意識し始め、家族・親戚との関わり、更には親族以外へと次第に広がっていきます。
私の場合、両親、祖父と兄弟4人という家族構成で育ち、親戚である叔父・叔母、従兄弟・従姉妹が大勢で、しかも近隣にいたことから、共に行き来した良い思い出を持っています。また、叔父・叔母にお世話になったことからも、家族・親族のつながりの大切さを強く感じてきました。
年少から中学生くらいまでの近隣の大勢の子どもたちとの遊び、近所の大人とはお祭り等の行事で良い関わりがあったように記憶しています。
その中で、つながりを強く感じていたのは、何と言っても、学校の“先生”とのつながりです。良き師、尊敬する存在であり、その気持ちがあることで、学校は同期・先輩・後輩との良き学びの場でした。
私より上の世代はもとより、下の年代十数年くらいまでは、話題の中に同じような思いを持っているように感じています。
社会・経済の変遷の過程で、世相は様々に変化をしてきました。
子どもたちを取り巻く環境も、核家族化に代表されるように大きく変わり、私の時代には稀でしかなかったであろう「児童虐待」等、厳しい実態が多く見聞されます。
どのような環境であれ、大多数の子どもたちは元気に生活していくといつも思いますが、インターネットなどのように社会の動向に影響を受けることは否めませんし、生活環境や心身の障害から支援を要する子どもたちがいることも考えねばなりません。
子どもたちの育成のため、行政は色々な施策を実施しておりますが、それに加えて大切なのは、子どもたちとつながり、関わりがある周辺の大人や先輩・友人が心を寄せることではないでしょうか。
中でも、学校の教員は、すべての児童・生徒にとって登校して学習する日々、1年間で約1000時間前後を一緒に過ごす関係ですから、子どもたちが担任から受ける影響には計り知れないものがあり、それだけに教員はその全人格を問われる存在だと考えます。
近隣の小学校では、5月と10月に授業参観があり、出向いて子どもたちがどのように学習しているか、教員が全児童をしっかり掌握しているか、見守ります。
今年10月の参観の折、教員達が5月時点より授業力を高めている印象を受けました。この半年間、児童一人ひとりの性向を掴みとり、児童の成長に合わせて授業のあり方を検討・工夫した結果だろう、と受け止め、喜ばしく思いました。
全教員が児童・生徒から信頼される存在となり、子どもたちの育成に力を発揮して欲しいと願っています。
教育委員;中野 義澄【2015年10月21日】
委員長に就任しました
10月15日に教育委員長に就任しました。
大変責任の重い立場でありますが、他の教育委員の方々と協力して精一杯努力する所存ですので宜しくお願い致します。
千葉市教育委員会には志村修教育長を含めて6名の教育委員がおります。職業、年齢は様々ですが、皆教育に対する強い情熱を持っています。このメンバーの方々と一緒に仕事ができることを大変幸せに思っております。
今年度から市長と教育委員会とで構成される「総合教育会議」が定期的に開催されることになりました。これは予算の編成・執行に大きな権限のある市長と教育委員会が教育について直接協議・調整を行うもので、それを踏まえて今年度中に千葉市の教育に関する「大綱」を市長が作成することになっています。現在3つの大きな課題について協議が進められています。
1) 放課後の児童の居場所の充実のための体制整備
放課後子ども達が安心して過ごせる居場所を確保し、学ぶきっかけを提供できるようにします。
2) 地域経済・地域産業を支える人材の育成・確保
中学生の職場体験などを通して職業に対する目的意識を高めたり、工業・商業高校等、専門性の高い高校の理解の促進などを通して、地元企業の活性化、職業人材の定着を目指します。
3) 本市のアイデンティティ醸成につながる郷土教育等の推進
子ども達を含め、多くの市民に千葉市に誇りを持って生活してもらいたいとの趣旨で、千葉市の礎を築いた「千葉氏」についてもっと理解してもらうよう、学校や地域における郷土教育を充実させる予定です。さらに、国の特別史跡を目指している加曽利貝塚をもっといろいろな方法でPRすることも必要です。
今年度中には以上を協議するとともに、「千葉市教育に関する大綱」を策定します。教育委員会は学校教育のみではなく、生涯教育、文化財保護など幅広い分野の業務を行っています。これらの業務が円滑に進むよう教育委員長として努力していきたいと考えておりますので、宜しくお願い致します。
教育委員;和田 麻理【2015年9月16日】
書を持って、町へ出よう!
小学校6年生の夏の臨海学校。消灯時間が迫り枕投げに興じる同級生の騒ぎをものともせず、A子ちゃんはひとり読書に耽っていました。学校の図書室にあるような児童書ではなく、小さい活字がびっしり並んだ文庫本。なんてカッコイイ! 推理小説や世界名作シリーズ専門だった私にとって、衝撃的な光景でした。
それから私の書店通いが始まりました。時間があれば出かけ、文庫本の棚とにらめっこ。これはと思う本を選び、まずは裏表紙に書いてあるあらすじを読み、パラパラと中をめくってみる。次第に多くの文学作品に精通(?)するまでになりました。私に本を読む楽しさを広げてくれたのは、同級生のA子ちゃんでした。(書店のおじさん、お小遣いでは多くは買えず、立ち読みばかりしていてごめんなさい。)
千葉市の小中学生は、全国平均に比べてほぼ2倍の読書量を誇ります。しかし一方で、学校以外では本を読まないという子どもが2割近くいます。本を手に取るきっかけはさまざまだと思いますが、周囲の大人や友達の影響は計りしれません。たとえば、私たち大人が読書に親しんでいる姿を子ども達に見せることも大切だと思います。このメッセージを読んでくださった方、電車の中ではスマホを本に持ち替えていただけませんでしょうか? もちろん電子書籍もアリです!
10月に入ると、中央図書館を中心に、市内の地区館や分館で「子ども読書まつり」が開催される予定で、興味深く面白い企画が目白押しです。今までに図書館を利用したことがないという方、ぜひ、この機会に足を運んでみてください。どんな本を読んだらよいのかわからなければ、学校なら担任の先生や図書館指導員の先生、図書館ではスタッフに遠慮なく尋ねてください。「子ども読書まつり」では、私たち教育委員も、毎年おすすめの本を紹介しています。
ちなみに、臨海学校でA子ちゃんが読んでいたのは、杉森久英の「天才と狂人の間」。作家島田清次郎の生涯を書いた伝記小説で、とても大人びていて憧れました。大好きな本に囲まれていられる司書になりたいと卒業文集に書いていたA子ちゃん。夢を叶えたかな?
教育委員;小西 朱見【2015年8月26日】
「子ども議会」と民主主義
先日、千葉市と教育委員会が開催する「子ども議会」に出席しました。皆さんは、今年で6回目を迎える「子ども議会」をご存じでしょうか?
「子ども議会」とは、公募による子ども議員が、「みんなが住みたい千葉市にするために」をテーマにグループ毎に提案内容を考え、本番当日、千葉市議会本会議場で、本物の市長や教育長を相手に、劇を演じたり、手作りの資料を使ったりしながら、提案や質問を行います。
今年度は市内小学校5、6年生が子ども議員となり、「千葉常胤をテーマにした漫画を作ってほしい!」、「市長!私達が考えた『かそりーぬ体操』を一緒に踊ってPRして下さい!」、「給食で『千葉海苔ロール焼きそば』を出して欲しい!」など、子ども目線の素晴らしい提案が次々と繰り出されました。
この「子ども議会」を通して、子ども達は、政治を身近に感じるだけではなく、民主主義の基本を学ぶことができます。
民主主義と聞くと、多数決をイメージする方が多いのではないでしょうか。
しかし、民主主義で大切なことは、多数決よりも、多数決に至る過程です。
歴史を振り返れば分かるように、多数決による結論がいつも正しいとは限りません。何が正しいか分からないからこそ、みんなで十分に話し合って判断するという民主主義のルールが必要になってきます。様々な意見を持つ人が、自由に議論をし、それぞれの意見のメリットやデメリットを明らかにした上で、最後は多数決で決める。多数決は十分な議論を経た上であるからこそ正当性を持つ、それが本当の民主主義です。
子ども達は、「子ども議会」本番当日を迎えるまでに、何度も話し合いを重ねます。
時には、子ども達同士で意見がぶつかり合う場面も見られましたが、最後には提案内容をうまくまとめあげていました。子ども達は、自分と価値観の違う意見にしっかり耳を傾けること、自分達のことは自分達で決めることなど、民主主義社会を生きる上で大切なことをいくつも学び取ったのではないでしょうか(私も小学生の頃にこんな企画に参加したかった!)。
世界には、暴力や力で人を支配する、言いたいことを自由に言えない、そんな国がまだまだたくさんあります。
しかし、日本は、紙とペンで政治を変えられます。
公職選挙法の改正に伴い18歳から投票できるようになりました。是非、ご家庭で、政治や投票のことを気軽に話題にしていただきたいと思います。
そして、来年は、是非「子ども議会」に奮ってご参加・ご参観下さい!
教育委員;明石 要一【2015年7月15日】
6月1日に道路交通法の一部を改正する法律が施行され、自転車の運転による交通の危険を防止するため、危険行為を繰り返したものに対し、自転車運転者講習の受講が義務付けられた。
残念なことに、法改正のあった月の10日に19歳の学生による自転車の事故が稲毛区で起きた。その学生はイヤホンで音楽を聴きながら自転車を運転していたため、前方不注意となった状態で、横断歩道を渡っていた高齢の女性と衝突し、死亡事故を起こしてしまった。
千葉市の小中学校では安全教育に努めている。小学一年生には千葉県トラック協会から贈呈されたセーフティハンドを配付している。子ども達は、ランドセルのわきに黄色で手の形をしたものをぶら下げている。横断歩道を渡るとき、この手を掲げて渡る。千葉市は千葉県の中でも早い段階からこのセーフティハンドを活用している。
また、中学校では警察と協力しながらスタントマンが、車との衝突を再現し、交通事故の危険場面を直接見せることによって、交通事故防止の啓発もしている。
さらに、朝の登校時にセーフティウォッチャーの人たちが雨の日も熱心に子ども達の安全に気を配ってくれている。頭が下がる。
しかし、今や中高校生や大学生だけでなく、大人たちまでが歩きながらスマホを操作している。そして、イヤホンで音楽を聴きながら自転車を漕いでいる。自分の世界に浸っている。さらに、朝など歩道の中を猛スピードで自転車を漕ぐ。「ヒヤリ・ハット」を感じたのは私だけでないだろう。
稲毛区の事故は偶然ではない。これからも起こりうるだろう。何らかの手を打たねばならない。
交通安全の啓発は学校だけに任せてはいけない。家庭と地域、そして警察やPTAのサポートを受けて、子ども達の安全を確保しなければならない。
例えば、「ストップ・ザ・歩きスマホ」「辞めよう・イヤホンをつけた自転車乗り」といったわかりやすいコピーを掲げた市民運動を起こしたいものである。
教育委員;内山 英夫【2015年6月15日】
生活の中での利便性について考える
世の中 便利になりました。私のような年代(70歳後半)になると、その思いに強いものがあります。夏はうちわで暑さを凌ぐ、冬の暖房は火鉢・湯たんぽ、下宿先での冬の洗濯は洗濯板を使っての手作業、家族で帰省する切符を入手するために窓口に徹夜して並んだこと、山口から東京まで列車で18時間を要したことなど、昔話でしかありません。
少なくとも私の中学・高校時代までは、自身の体験や友人の話から言えることですが、子どもが家事・家業を手伝うという、生活の中での子どもの役割が多くの家庭でありました。
生活していくために家族が協力することを当然のことと思い、家族の間の連帯感が自然に生まれるという側面もあったのではないか、と思います。
今では、炊飯・洗濯・冷暖房等の生活を支える機器が高機能になり、社会全体で見れば、自動車の普及、交通機関・通信の発達、機械設備等の作動自動化等あらゆる面で利便性が高まり、当然のことながら、歩くという基本動作を含めて身体を動かす場面が大きく減少しています。洗濯ひとつとってみても、洗濯機の作動指示ボタンをセットするだけ、力を使うことなく、後は自動ですから一日当たり数十分の省時間です。
市内小学校での研修の場でしたか、四代目江戸家猫八さんの話を聞く機会があり、その中で「全自動ロボットの掃除機はよくない」といったような話を聞いた覚えがあります。
文部科学省の調査データに、体力水準の高かった昭和60年(1985年:30年前)頃と平成25年度とを比較したものがあり、平成25年度の方が体力テストの結果は低い傾向にあります。
① 小学生(握力・50m走・ボール投げ・反復横とび)では、反復横とびを除くすべての項目で男女とも下回っている。
② 中学生(握力・50m走・ボール投げ・持久走)では、男子50m走で上回り、男子ボール投げを除き低い水準。
③ 高校生(中学生と同じ種目)では、男子50m走は上回っているが、その他の項目では低い水準。
楽をしたい、自由な時間を増やしたい、というのは、人という生物の尽きることのない意思・欲望でしょうか?日々の生活で、省力・省時間は身体・精神両面にどのような影響を与えるでしょうか?これらは、個体差・環境条件等が複雑に絡み合う問題であり、体力面だけでみても、論ずることには難しいところがあるように考えます。
先日、近隣の中学校に出向き、体育授業の総括である体育祭を参観しました。
生徒たちの疲れを知らないかのように力強く競い合う姿に、子どもたちの体力についてはさほど心配しなくてもよいのではないか、との感想を持ち、心身の健全育成に取り組む教育現場での日々の努力に感謝したい思いを強くしました。
それでも、私が子どもたちに遊びを含めてスポーツを勧めるのは、単に体力だけのことではなく、身体を動かすことの爽快感、しんどい場面があっても我慢して乗り切った後の達成感、指導者や仲間との連帯感など、「生きていこう」という意欲につながることが多くあると思うからです。
益々利便性が増すであろう時代に、できだけ多くの子どもたちがスポーツで汗を流す喜びを知り、継続してくれれば、と願っています。
教育委員;中野義澄【2015年5月27日】
目標を持てない若者たち
高校生や大学生と話をしていると、将来何になってどんな仕事をしたいのか分からないという人たちが多いことが気になる。何をやりたいか分からないけど、とりあえず大学に行っておこうという人たちである。どうしてこうした若者が増えたのであろうか。
世の中全体が目標を失って元気がないことも一因であるかもしれない。
私が子どもの頃は世の中全体が貧しかったが、より豊かな生活を目指して皆が頑張っていた時代であり、活気があった。日本が経済成長を続ける中で多くの若者たちも将来社会に出て活躍したいという希望を持っていた。しかし、現在の日本はそうした状態とは全く違った環境である。生活のレベルは格段によくなり、物品も豊富である。また、一方でいろいろな情報が多過ぎて何を目指したら良いのか、かえって分からなくなっているとも考えられる。
自分が何になりたいかと考える上で、どうしたらその仕事に就けるのか、また、その仕事は実際にどんなことをするのかという情報が重要であるが、これが意外と少ない。
私は医師であるが、医師としての仕事は患者さんを診療する臨床医のみでなく、研究者、行政職、マスコミなど活動する分野は広い。
千葉市で行っている「千葉市未来の科学者育成プログラム」の医療系コースで話をする機会を頂いたので、医師の活動の場について説明したところであるが、教員の皆さんには是非多くの実際的な情報を集めて生徒に提供して欲しいと思う。
例えば、私の病院には医師、看護師、理学療法士、作業療法士、介護福祉士、介護支援専門員(ケアマネジャー)など医療系、福祉系の専門職が勤務している。中学校、高校の生徒がこうした仕事に興味を持ち、希望する職業に就いている人から直接話を聞くことはとても有益であり、近隣の学校の生徒たちが訪ねてくれるのは大歓迎である。教員の皆さんにはこうした近隣施設も含めて情報をしっかり集めて、生徒に提供して欲しいと思う。
子どもたちが将来に希望を持ち、学業、スポーツに元気に取り組んでこそ日本の未来は開けると思う。教員の皆さんの一層の努力をお願いしたい。
教育委員長;和田麻理【2015年4月15日】
身につけば 生涯消えない たからもの
「教育だより ちば」をお読みいただいておりますでしょうか?
千葉市教育委員会では、年に4回、「教育だより ちば」を発行しています。
市立学校に通学する児童生徒の全保護者の皆さまには学校を通じてお渡ししており、一般の方々は、教育関係施設、公民館、図書館、区役所などの公共施設でお手に取っていただけます。
2015年4月号(98号)では、「加曽利貝塚を特別史跡に!」を表紙に、「平成27年度教育関係の主要事業」、「学校イベントカレンダー」、「千葉市の教育『ここがスゴイ!』」など、市民の皆さまにお伝えしたい内容を選りすぐってお届けしています。
ますます紙面が充実して、読み応え充分。更に、読みやすさ度も上昇中です。
本年度事業のご紹介では、新規・拡充事業を中心に、ポイントになる点をご説明し、その事業の目的は何か、ということをわかりやすくお伝えしています。
「学校イベントカレンダー」では、市民の皆さまに自由にご覧いただける、特色ある取り組みの一部をご紹介。「うちの近くの学校、どんな雰囲気なのかな?」「私たちの頃と学校って変わったのかしら?」「最近の子どもの様子を見てみたいな。」とお思いの方、是非、このカレンダーを参考に、お誘い合わせて足を運んでみてください。
そして、「千葉市の教育『ここがスゴイ!』」。千葉市の教育自慢を、5つの「スゴイ!」でご紹介しています。(ホントはもっともっとあるんですよ!)当たり前だと思っていたことが、実は他の自治体と比べても「スゴイ!」ことをおわかりいただけるかと思います。毎号、「スゴイ!」が紙面にあふれるよう、益々尽力せねば、と改めて感じております。
今回から、「教育川柳」も募集を開始しました。私も一句詠んでみました。
(表題がそれです。おそまつ!)どんなに高価な品でも、多くの場合、時間と共に価値は下がりますが、教育だけは違います。一度自分の身につけば、どんな環境でも、いくつになっても、決して消えることはありません。
皆さまも、どうぞ奮ってご応募ください!
「教育だより ちば」は千葉市のホームページからもご覧いただけます。より一層、わかりやすく読みやすい紙面づくりを心がけてまいりますので、皆さまもぜひお読みいただいて、千葉市の教育への更なるご理解、ご支援を切にお願い申し上げます。
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